空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

阪急古書のまち、梅田古書倶楽部、駅前ビル……大阪古書店巡りレポ

出張先の大阪から無事に帰還した空犬です。


今回は土日1泊、土曜は完全に仕事で一日つぶれ、日曜は人に会ったり書店を回ったりの半日。知り合いと飲みに行く時間もない、あわただしい旅程でした。


それでも、多少は書店を見てくることができたので、大阪の新刊書店事情、報告の機会を逸している3月の出張のときの分と併せ、2回分まとめていろいろ書きたいんですが、なかなか気力が……。今日は、新刊書店回りの合間に、古書店ものぞいてきたので、古書店がらみだけ先にレポします。


大阪、それもキタ=梅田近辺で時間ができたときに空犬がのぞきにいくことにしている古書スポットは3か所あります。阪急古書の街梅田古書倶楽部、そして、大阪駅前第3ビル地下2階にある古書店通り(正式な名前かどうかは不明)の3つです。


阪急古書のまち入り口1梅田古書倶楽部看板駅前第3ビル古書店通り

駅前ビルは日曜はお休みの店が多いんですが、この日も営業はもっきりやだけ。残念。


ところで。上のリンクの記事にも書かれていますが、昔は駅前第1ビルの1階に複数の古書店が並んでいた時代もあったんですよねえ。もちろん、現在は全滅。まあ、そもそも駅前ビルに古本の路面店が入っていたこと自体が今にして思えば驚くべきことだったんですけどね。



なくなったと言えば、駅前ビル、以前は中古レコード/CDのお店もけっこうあったんですが、激減してますね。カーニバルレコードのシャッターに、テナント募集の貼り紙が出てました。


そして、梅田古書倶楽部。ここは、探偵・SF・幻想・特撮と、空犬の好きなジャンルの本やグッズが決して広いとは言えないスペースにてんこもり、この筋の者にはまさにオアシスのような場所なのです。ソフビなどのグッズが充実していることもあり、特撮者なら眺めているだけでも楽しい気分にひたれるお店です。


ただねえ、買い物となると話は別。こちらもこのジャンル好き歴30数年、趣味の重なる店にありがちなことですが、なかなか買えるものがないんですよね。持ってるか、読んでるかで。で、持ってないものとなると、これがレア本でとんでもない値段がついてたり。ため息をつきながら棚を眺めるだけになることがしばしば。


ところで、この梅田古書倶楽部、名前から想像される通り、複数のお店が軒を連ねたモールのようなお店なんですが、参加店のうち、ジグソーハウスさんが5月末で撤退されるそうです。梅田古書倶楽部自体がなくなるわけではないようなんですが、探偵・大衆文学に強い同店がなくなるとなれば、当然、そちら方面の品揃えにも影響があるでしょう。次行ったときも、今とあまり雰囲気が変わらずにあってくれるといいなあ。


最後に阪急古書の街へ。今日は時間がなかったので、通り抜けるだけに近かったんですが、ここでまさかの出来事が。


以前に大阪の古書店めぐりのレポを書いた際に、阪急古書の街内の1店、加藤京文堂のことを紹介したことがあります。こんなふうに書きました。


《入り口を入ると、左には探偵小説や幻想文学がずらり、正面がレジ、そしてレジのガラスケースには探偵者垂涎の、探偵もの・文芸ものの稀覯本がおさめられています。レジの後ろから左奥にかけての棚にはパラフィンに包まれた文芸初版ものがずらり。お店の左半分手前は、小さな小さな画廊の趣で、絵や版画が飾られていて、表のショーウィンドーから眺めることができます。》


《高校のころから何度となく通っていますが、今でも大阪に来たら、どんなに時間がなくても、古書店のうちこのお店だけは欠かさずに顔を出しています。カバーしているジャンルといい、品揃えといい、お店の規模や雰囲気といい、ぼくにとっては理想の古本屋さんの1つなのかもなあ、そんなことを行くたびに思ったりするのです。》


その、ぼくにとっての「理想の古本屋さんの1つ」だったお店が、なんと、絵画を扱うお店兼ギャラリーに変わってしまっていたのです……。



京文堂

↑左手前の瀟洒なウインドーが加藤京文堂あらため京文堂。


予感はあったんですよね。前回行ったときに、ウインドーに飾られていた探偵関連の稀覯本や足穂の本なんかがごっそりなくなっていたりしたことがあったので。ひょっとして、この手のジャンル、縮小しているのかな、って。ジャンル縮小どころの話ではなかったわけですね。


お店に、店主らしき若い女性の方がいらっしゃったので、お店のことをたずねてみました。なんでも、前の店主の方が引退され、2代目の店主になったのだとか。それを機に、以前扱っていたような文芸関係はやめて、絵画販売をメインにすることにしたのだとか。それが昨年の6月のことなんだそうです。このところ来るチャンスがなくて、こんなに長い間気づかなかったのが、またくやしい。


本の棚は入り口脇にある1本だけ。わずかに、金子國義さんの画集など、以前の品揃えを思わせるものもちらほら見えましたが、美術書や画集が中心で、文芸の単行本はまったくありませんでした。


お店自体がなくなってしまったわけではないですが、でも、この大変身、そして、名前も「加藤京文堂」の加藤がとれて「京文堂」に変更になっていますから、実質的にはまったく別の店ですよね。第一、ぼくが買いたいような本はもうないわけですから……。新たな形態でがんばっている若い店主の方がいるわけですから、残念だ、なんて言っちゃいけないのですが、でも、これでまた、大阪でなじみの店、必ず寄ることにしている店が1つなくなってしまったことになるわけです。さびしいことですよ……。



↑かつての加藤京文堂がどのような店であったかに興味ある向きはぜひこの本を。



阪急古書のまち通路阪急古書のまち案内板

↑今の姿を記録しておかなくちゃと、撮ったはいいが、通路を正面から写したのでは意味がない。京文堂ショック後に写真ゆえ、そこは大目に見ていただきたい。右は案内板。



ちなみに、阪急古書の街では他にも変化があって、小さな店の半分ほどが文庫でぎっしりだった萬字屋さん、棚がなんだかすっきりしてしまって、文庫の量がずいぶん減ってしまっていました。中尾書店の向かいにあった、紀伊國屋書店が出していた映画書の専門店「シネマシネマ」がなくなり、「紀伊國屋書店アウトレットブック by Kinokuniya」なる店に変わっていました。こちらに関連記事があります。


というわけで、今回は、駆け足で回ってきただけで、とても古本屋さん巡りをじっくりできたという状態からはほど遠いんですが、それでも見ておいてよかったです。いつでもあるからと思い、行くのを先延ばしにしていたら、なくなってたり、変わってたりがあるかもしれませんからね。はあ、それにしても、今回の大阪出張、最後が京文堂事件で終わってしまったせいで、なんだかとてもさびしい印象の旅になってしまいました。はあ……。



◆今日のBGM◆


  • James Brown『In the jungle groove』



新幹線のなかでは、これをBGMに、行きは『天地明察』を、帰りは長らく途中になっていた『マルドゥック・スクランブル』の続きを読んでました。


これ、かっこいいギターカッティングと、かっこいいファンクドラムの宝庫で、何かに集中したいときに、バックに流しっぱなしにしておくと、たいそう気持ちよくひたれるのですよ。


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