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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

バラードじゃないほうの『クラッシュ』に今さらながらノックアウト

アカデミー賞、といえば、今は邦画ダブル受賞の話題がまだ続いているようですが、最近になってようやくこれを観ました。





2005年アカデミー賞、作品賞・脚本賞・編集賞受賞の三冠王作品ですね。監督・脚本は、イーストウッドの『ミリオンダラー・ベイビー』の脚本を手がけたポール・ハギス。うーん、あきらかに良さそう。観たい。観たいと思ったのです。


でも、アカデミー受賞の“感動”作で、しかも人種差別がらみのテーマ、と聞いただけで、空犬はちょっと引き気味……。感動を安売りする映画も、「泣ける」かどうかを作品の良し悪しの判断基準にするかのような映画の見方も苦手なんですよねえ……。ポール・ハギス脚本作品がそういうタイプだとは思えないんですが、マット・ディロンが女性を抱きかかえるポスターの雰囲気も微妙なものに思われたもので……。




さらに、たまたまた目にしたスチルが娘を抱いて号泣する男の姿(DVDの裏パッケージに使われている写真)だったり。子持ちにはつらそうな展開が待ってそうな予感全開です。そんなもので、気にはなるんだけど、なんとなく引いてしまい、これまで避けてきたのでした。


しかし。間違ってました。損してました。いやはや、これ、すごい映画でしたよ! 今さらこんな「!」付きで宣言するのもなんですが、ほんと、すばらしい脚本すばらしい俳優陣で、あっというまの2時間弱、実に見事な作品、いたく感銘受けた次第です。


例によって、物語の紹介はしませんが、とにかく、これをご覧になる方は、丁寧に、丁寧に観てください。登場人物の顔(と、できれば名前も)をきちんと覚えて、彼らのちょっとした台詞、ちょっとしたやりとり、ちょっとした表情を見逃さないように、丁寧に観てください。主要登場人物だけで何人何組も出てくるので、群像劇が得意でない人には大変かもしれませんが、とにかく、ムダな伏線がひとつもありませんから、雑に流し観していくわけにはいきません。そうやって丁寧に観ていって、ラストにそれらがつながったときの感動といったら……脚本賞、編集賞受賞もまさに納得、これこそが映画を観る楽しみだと思うのですよ。


ふだんは台詞の機微なんかどうでもいい、というか、そのようなものが存在しないようなダメホラーとかダメSFとかダメ怪獣ものとか、そんなんばっかり観てるせいか、久しぶりに、台詞の細部まで神経を集中させて映画に入り込んでしまい、ラストでは心地よくノックアウト。


アカデミー賞作品賞受賞作を2年も3年も経ってからすすめるのもなんですが、ぼくと似たような理由で、とか、なんとなくとかで見逃している映画好きがいたら、強くおすすめしたいです。


ちなみに、先に書いた「娘を抱いて号泣する男の姿」のところにひっかかる方がいるかもしれません。そのシーンですが、あまりの展開に耐えきれず、わたくし、はずかしながら声をあげて泣いてしまったのです。ただ、(ちょっとネタばれ気味ではあるかもしれませんが)子持ちのあなた、後味の悪い作品は一切ダメというあなたでも大丈夫なサプライズが直後のシーンに用意されてますから、どうぞ安心して観てください。




↑こっちの「クラッシュ」も好き。ただ、原作は大好きなんだけど、映画はどうもなあ。クローネンバーグ+バラードと、空犬の好みからすれば最強に近い組み合わせですが、役者がちょっと好みに合わない感じで……。



◆今日のBGM◆


  • ジェームス・ブラウン『ライヴ・アット・ジ・アポロ』



当サイトによく遊びに来てくださるサンドラさんがアポロシアターに行かれたそうで、そんな記事を読んでたら、アポロと言えばこれ、というこの盤を聴きたくなりました。


1967年、若きジェームス・ブラウンのものすごさを真空パックした奇跡的かつ圧倒的な1枚。聴くたびにおなかいっぱいになります。


アポロ劇場といえば、言わずとしれた黒人音楽のメッカなわけですが、白人がらみでは、こんなのもあって、けっこう好きです。




80年代最強デュオの一つ、ホール&オール、1985年の実況録音盤です。アナログのA面は、テンプテーションズのオリジナルメンバーであるエディ・ケンドリックとデヴィッド・ラフィンとの共演で、「ゲット・レディ」「マイ・ガール」「エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ」といった往年の名曲を楽しそうに演じています。「僕のベイビーに何か」「エヴリタイム・ユー・ゴー・アウェイ」も聴かせます。とくに前者はダリル・ホールのかげに隠れて地味なジョン・オーツがけっこう達者な歌を聴かせてくれる1曲で、GEのギター、曲のアレンジもよくて、すばらしい仕上がりです。




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