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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

『ザ・ロード』に圧倒されたりしながら

3連休、あっというまに終わってしまいました。わたくしはどこへ出かけるでもなく、家でごろごろ、独り昭和特撮映画大会を深夜に催したりして、過飲気味です。


さて。いつもおもしろ本をおすすめしてくれるジュンク堂書店新宿店Sさんおすすめ本です。


  • コーマック・マッカーシー『ザ・ロード』(早川書房)



核戦争、もしくはそれに類する何かで壊滅、灰に覆われた世界。そんななかを、父と子がただただ南を目指して歩いていく、そんな物語です。


子を持つ身にはなかなかにつらいというか、ヘビーな設定で、とにかく最悪のことが起こらないようにと願いながら読んでいる間は、一瞬たりとも気が抜けません。なんというか、緊張を強いられる読書なんですが、それが不快かというとそんなことはなくて、最後まで一気に読まされてしまいます。


プロの本読みの注目も集めているようで、新聞の書評では、「世界は終わり、荒涼とした道を淡々と」(6/29付朝日新聞)、「ザ・ロード」(7/6付日経新聞)、「荒廃した世界の親子愛」(7/7付読売新聞)があります。書き手はそれぞれ、朝日が鴻巣友季子、読売が小野正嗣、日経が豊崎社長と読み巧者がずらり。小野氏の書評は、再版でかけかえられた帯に引用されています。


コーマック・マッカーシーは、米文好きには説明不要の存在でしょう。映画好きなら、『すべての美しい馬』を思い浮かべることでしょうし、何より、つい最近の作で言えば、コーエン兄弟にオスカーをもたらした『ノー・カントリー』の原作、『血と暴力の国』がありますね。



これら原作・映画のファンならもちろん、未読・未見の人にも広くおすすめしたい、傑作です。個人的には、翻訳文学では、『わたしを離さないで』を読んだとき以来の感銘です。


◆今日のBGM◆


  • Everything But The Girl『Idelwild』


大好きな1枚。難点があるとすれば、じっくり聴いてしまうので、読書のBGMにはあんまり向かないこと。「I don't want to talk about it」「Apron strings」……なんど聴いても沁みます……。


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