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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

本を紹介するのはむずかしい

こんな本を読んでいると、本を紹介することのむずかしさ、についてあらためて考えさせられます。


  • 車谷長吉『文士の生魑魅』(新潮社)


タイトルの難しい漢字は、「いきすだま」と読みます。作家が自らの読書遍歴を綴ったもので、『文士の魂』の続編的な1冊。



文士=作家が、過去の文学作品を自らの血肉にするとはこういうことなのか……作家の読みのすさまじさを見せつけられます。こういう本を読むと、なんだか自分の読書がとたんにうすっぺらいものに思えてきてしまいます。まあ、比べてもしかたないんだけど……。



そういえば、映画雑誌が苦戦だ、という記事が先日新聞に載っていました。「映画や音楽の宣伝、専門誌より「ブロガー」頼み」(9/2付け産経新聞)。苦戦中の国内の映画雑誌8誌のなかには、空犬が愛してやまない『映画秘宝』も含まれています。



文学と映画では、また、小説家の本と映画雑誌とでは事情が違い過ぎて、比較したところで意味がないのは十分承知のうえで書くのですが、ぼくのような駄ブロガーがとうてい太刀打ちできない、同じフィールドに足すら踏み入れられない、プロの“すごみ”のようなものが、車谷の本には満ちあふれています。これは、やはり文士=小説家というプロの持つ業(わざ)、なのでしょう。だから、このような“業”がブログのようなオンラインメディアにとってかわられることは、ない、とは言えないかもしれませんが、そう簡単には起こりえないでしょう。


車谷本には、深沢七郎、野呂邦暢、安部公房といった、ぼくも敬愛する作家たちに混じって、あまりぼくの読書生活には縁のない名前も出てきます。たとえば、向田邦子。久世光彦ほか、多くの本読み(それもぼくの好きな)が絶賛している作家ですが、ぼくのような中学25年生にはやはり敷居が高いのか、大人過ぎるのか、気になりつつつもどうも良さがわからずにいる作家です。たとえば森瑤子。ぼくとは無縁なおされな世界をお書きになっていたのであろうと勝手に推定、なんとなく敬遠したまま、ほぼノーチェックの作家です。こうした人たちが、実に魅力的に、帰り道にすぐにでも紹介されている文庫本を買いに走りたくなるほど魅力的に紹介されているのです。



人を動かす文章の力。先日紹介した『川の光』もそうでした。すぐれた本は、1冊で完結した魅力を持っているのはもちろんですが、それだけでなく、読後にまた新たな本の世界へと読む人を駆り立てる力をも持っているような気がします。そういう本に出会えること、本読みにとっていちばんうれしいこと、かもしれません。


追記。余談ですが、毎号ではないものの、たまに購入する映画雑誌、『この映画がすごい!』(宝島社)が、来月から480円に値下げになるそうです。ほぼ半額。へえー、ずいぶん思い切ったなあ、でも、読むところいっぱいの秘宝に比べると、カラーが多いとは言えボリュームの割に高値感があったからなあ、などと、本誌に記された告知を読んだときには呑気に考えていたのですが、上の記事を読むと、なるほどそういうことだったのか、と複雑な気持ちも。スターいじりに走りすぎのところもあり、全面的に好みというわけではないのですが、でも、他の映画雑誌にないユニークな面は多々あり、なくなってしまったりしたらさびしい雑誌です。半額化はコスト的には厳しいでしょうが、ぜひがんばってほしいものです。



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私はこの作家はこのシリーズしか読んでいませんが飛行機戦のバトルが非常に熱いです。毎回楽しみにしているシリーズものです。とくに空中戦はまるで詩を詠んでいるかのストーリーテリングでわくわくさせます。とにかく読めば、納得そんなシリーズものです。2004年6月25日リ

  • 2007/09/29(土) 01:33:51 |
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