洋楽雑誌、FM雑誌、ギター雑誌、アーティストの自伝評伝、インタビュー集、ディスクガイド、楽典、教則本、楽譜……音楽に親しむようになった子どものころから、音楽の傍らには常に音楽本や音楽雑誌がありました。
それらは、音楽の楽しみ方を教えてくれたり、音楽に関する知識や興味を広げてくれたり、演奏技術を伸ばす助けとなってくれたりしました。
ぼくのような本と音楽の両方に心を奪われてしまった者にとって、音楽本や音楽雑誌は、広大な音の海を航海する際の、大事な海図であり羅針盤であり灯台でした。というか、過去形ではなく、今なお、そのようなものであり続けています。
このたび、「音楽本大賞」の創設をかかげた、クラウドファンディングが始まりました。
「音楽本大賞」はクラウドファンディングのサイトによれば《すぐれた音楽本の存在をもっと知ってもらい、もっと多くの読者に届けたい、さらには書店の音楽本コーナーをもっと盛り上げたい、という願いから立ち上げる》ものだとのこと。
賞の対象については、このように説明されています。《2022年1月1日から12月31日までに初版が刊行された(原則として奥付に記されている発行日を基準とする )音楽をテーマとする書籍。原則として新版・新装版・復刻版などは除き、対象期間に初めて世に出たものにかぎる。翻訳書も対象とする。楽譜・曲集・技術書および選考委員自身による著作などは対象外とする。また、第1回にかぎり実行委員が関わった本は大賞の対象としない》。
音楽本大賞実行委員会のメンバーは、アルテスパブリッシングの鈴木茂さん(ぼくの音楽飲み仲間でもあります)他の方々。選考委員長は横川理彦さん(音楽家)、第1回の選考委員は大和田俊之さん(アメリカ文学者/音楽研究者/慶應義塾大学教授)他4名の方々(肩書きはクラウドファンディングのサイトより)。
鈴木さんは、サイトに「音楽本の魅力をもっと多くの人に届けたい! 書店の音楽書コーナーを盛り上げたい!」の一文を寄せていますので、この賞を立ち上げようと考えたみなさんの思いについては、そちらをぜひご覧ください。
賛同人には、サイト公開時の段階で60人超の方が名前を連ねています。ミュージシャン他音楽関係者、出版関係者など、錚々たるメンバーのなかに、ぼくのような素人の名前が混ざるのは効果的にどうなのか、という思いも多少はありましたが、応援の意から、ぼくも賛同人に名を寄せさせてもらっています。
音楽本大賞の詳細はクラウドファンディングのサイトと、同賞のツイッターアカウント「音楽本大賞2023」(@MusicBookAward)をご覧ください。
この賞によって、音楽本の存在、魅力が今まで以上に広く知られ、音楽の世界を楽しむお伴としてはもちろん、独立した書物としても、多くの音楽本が読まれるようになることを、音楽好きの一人として心から願っています。