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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

場所だけ用意して、肝心の本は寄付で、でいいわけがない

場所だけ用意して、肝心の本は寄付で、という案件を報じる記事を目にする機会が最近多いのですが、そのたびにもやもやします。



そういう事例をあえて紹介することになるのは本意ではないため、記事のリンクなどは載せませんが、この半年ほどの間にも複数件あります。

場所だけ用意して、肝心の本は寄付で、などという人は、子どもに本をと言いながらも、実際は、思いが子どもにも本にも向かっていないのではないかと思います。


図書館・図書室のような場所・施設を用意するのはいいでしょう。でも、その中身を、一般の方の寄付に頼ったりしたら、ゾロリや、うんこドリルやハリポタや図鑑やざんねんないきものなどなど、人気があって、いろいろな家庭でたくさん買われ、たくさん読まれたものは、充分に集まるかもしれません。それこそ、複本ができるほど集まるでしょう。


でも、子どもに本を、というときに、それだけでいいのでしょうか。それなりに売れて、最初に買われた家庭で不要になった、そういう本だけを集めればそれでいいのでしょうか。


学校図書館や公共図書館は、ゾロリやハリポタなどの本はもちろんきちんとそろえていますが、それらのようには売れないかもしれないけれど、おもしろさなら負けない本や、同じくらい子どもたちに読んでほしい本をたくさんそろえています。「子どもたち本を」を毎日真剣に考えているプロが書き、プロが本にし、プロが売り、プロが選んだ本たちです。そのようにつくられ、世に出された本のなかには、個人ではなかなか購入しづらいような、巻数が何巻にも及ぶシリーズもの・セットものなどもあります。そういう本をきちんとそろえ、読者に提供するのも、学校図書館や公共図書館のような図書施設の大事な役割です。


子どもたちに本を、というときに、とりあえず各家庭で余っている子どもの本を集めて与えておけばいい、などと考えてるのだとしたら、それは決定的に間違っているといいたい。小学1年生と小学6年生は、年齢ではわずか5年ほどの差しかありません。でも、この5年ほどの間に、子どもたちが、いったいどれだけたくさんの漢字が読めるようになり、どれだけたくさんの語彙を身につけるか、考えたことがあるのでしょうか。どれだけ精神的に成長するか、小学生の興味関心が年年どれだけ変わっていくものなのか、考えたことがあるでしょうか。


そのような子どもたちの知的な「伸び」、興味のありようの広がりのことを少しでも考えたことがあるならば、仕事として本に関わっているプロの目や手を経ずに、一般からの寄付で募った本で、そのような子どもたちの興味関心をカバーできるなどとは思えるはずがないでしょう。


何も、売れている本、人気のある本がだめだと言っているわけではありません。そういう本もどんどん読まれてほしいし、そういう、多くの子どもたちの心をひきつけてやまない本にはどんどん登場してきてほしいと思います。でも、子どもに本をというときの「本」は、もっと幅の広いものであるはずです。それは一般の人の手持ち本や不要本からの寄付でカバーできるようなものではないと思うのです。

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