fc2ブログ

空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

電子図書館はサブスクではない

いや、そもそも別ですから……。




記事の一部を引きます。《24時間365⽇、いつでもどこでも本を借りることができて、読むのはスマホやパソコン上。期限が来たら出向かなくとも⾃動的に返却されてしまう…。そんな便利な「電⼦図書館」がいま、注⽬されています》。


コロナ禍で非来館型サービス・非接触型サービスが求められるなか、上記にある通り、電子図書館が伸びているのは数字のうえでもたしかです。全国のあちこちで電子図書館システムが導入された、または導入予定であることが、この数か月の間にいくつも報じられました。コロナが収束したとしても、この動きはいっそう広がっていくだろうと思われます。


そのようなタイミングで、メディアが電子図書館がどんなものかを紹介するのはいいのですが、このタイトル、どうなんでしょうか。誤解を呼びそうですし、そもそもこのタイトルでは中身のほうも大丈夫かどうか、気になります。


サブスク=サブスクリプション(subscription)(ここでわざわざ説明するのもなんですが)定額制のことで、《一定料金を払えば、一定期間内なら商品やサービスを何度も自由に利用できるビジネスモデル》(日本百科大全書より)ですからね。


一方、電子図書館は、紙の本を貸し出している図書館と基本の仕組み自体は同じで、利用者登録をすれば利用者が図書館の本を無料で借りられるのが図書館のしくみ。紙の本の代わりに電子書籍が借りられるというだけで、基本的には無料の公共サービスである点は変わりません(公共図書館に導入された場合。学校図書館、大学図書館などに導入された場合も無料である点は同じ)


この記事タイトルは、電子図書館のことをよく知らない人にとってまぎらわしいし、「定額制なの?」「有料なの?」という誤解を与えかねません。しかも「究極の」などとあります。そもそも、電子図書館がサブスクでないのに、さらに「究極の」などとすることで、この記事の発信者は何をイメージしているのでしょうか。


新しい本のサービスを紹介するのは、それも実地に体験してみたうえで紹介するのはいいことですが、公共放送がやることにしては、いかにもやり方が雑です。電子図書館のことも、サブスクリプションのことも、いずれもわかっていないのでは、などと言われてもしかたないでしょう。


電子図書館がどんなものなのかについては、やや古い記事ではありますが、JEPA(日本電子出版協会)「電子図書館(1)とは?」にわかりやすくまとまっています。全国の導入状況がどうなっているかについては、AEBS(電子出版制作・流通協議会)が毎年、導入状況を調査し、サイトで好評しています。最新のデータはこちら。「電子図書館(電子書籍貸出サービス)実施図書館(2021年01月01日)」


スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する