前作から7年。『離島の本屋』の続編が刊行されました。
- 朴順梨『離島の本屋ふたたび 大きな島と小さな島で本屋の灯りをともす人た』(ころから)

《北は礼文島から南は与那国島まで。誰もが知る小笠原諸島から、地元民だけが知る家島まで――。22の島で「本屋」の灯りをともす人たちの物語》という内容の『離島の本屋 22の島で「本屋」の灯りをともす人たち』は2013年の刊。その続編は、サイトの内容紹介によればこのような本です。《22の島を訪ねた話題作『離島の本屋』から7年。「ふたたび」の旅がはじまる。消えかけた本屋の灯りを再びともした島民、島のつらい歴史を伝える本を売り続ける心意気、そして閉じる決断をした本屋たちとの出会いを描く》。
『離島の本屋』が出た2013年は、『本屋図鑑』(夏葉社)が出た年でもあります。こちらは、離島だけではありませんが、全国各地の本屋さんを訪ねてまとめたもの。さらに、この年には、宇田智子さんの『那覇の市場で古本屋 ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々』(ボーダーインク)も刊行されています。同じ本屋本で、いずれも沖縄の書店が登場する、そんな3冊が偶然にも同じタイミングで刊行されたわけです。なんだか不思議な縁ですよね。当時、書店の店頭でこの3冊が仲良く並んでいるのをよく目にしたことをなつかしく思い出しました。ちなみに、前作を取り上げた記事はこちら。
ちょっと脱線しました。『離島の本屋ふたたび』は沖縄の書店だけを取り上げたものではありませんが、離島といえば沖縄という感じですから、必然的に沖縄の本屋さんが多く登場するものになっています。前作は22編のうち沖縄が登場するのは2回だけでしたが、今回は全18編収録で、うち、「沖縄県」と表示のあるのが8編と、半分近くを占めており、ぐっと沖縄度があがっています。
書き手の朴順梨さんの現地での案内役として、那覇の出版社で前出の宇田さんの本を版元でもあるボーダーインクの喜納えりかさんがあちこちに登場。沖縄の書店ツアーの同行メンバーを見ると、ぼくが沖縄で書店巡りをしたときのメンバーと重なっていたり、さらに行き先も重なっていたりしていますから、なんだか、自分の沖縄書店訪問記を、別の方の名義の本で読んでいるかのような、そんな不思議な感じがしました。もちろん、当方のだらだら書きのブログ記事と、朴順梨さんの本では比べるべくもなく、一緒にするのが失礼なくらいなんですが(苦笑)。
沖縄の書店事情に関心のある方には必読の一冊になっていますので、前作の読者はもちろん、前作を読んでいない方にもおすすめです。
なお、前回記事からの流れで、沖縄の書店を中心にした紹介になっていますが、沖縄以外のエリアのお店も、なかなかふらりとは訪ねにくいようなところが多く、どれもおもしろいものになっていますので、沖縄だけに興味があるわけではないんだけど……という本好き本屋好きにもおもしろく読めるものになっていると思いますよ。