平常時でも毎週末鳥見に行くような熱心なウォッチャーとはとても言えない、なんちゃってウォッチャー兼万年初心者の空犬です。
このコロナ禍、鳥見を楽しめるような場所は密ではないところがふつうですが、でも、行き来の電車があるので、徒歩や自転車、せいぜいバスで行ける近隣の鳥見スポット以外にはまったく行けずにいます。何しろ鳥見に行けないものですから、アームチェアバードウォッチングにも力が入るわけで、野鳥本はせっせと買い、せっせと読んでいます。
先日は、めずらしい野鳥マンガに出会いました。
- 津田七節『秋山さんのとりライフ』(秋田書店)
版元の内容紹介によれば、このような作品です。《ストレス解消で立ち寄ったバードカフェで鳥のかわいさに目覚め、一眼レフカメラにまで手を出してしまったデキる女の秋山さん。ある日、部下の高崎くんがバードウォッチングに行くと知り、鳥見たさについて行ってみたが最後、鳥&カメラの”沼”にどっぷりハマってしまうのであった…。巨乳眼鏡のカメラ女子と二人きりで週末バードウォッチング! 鳥マニアの作者が贈る初心者大歓迎のアウトドア漫画!!》。
野鳥本は割にしっかりチェックしているほうだと思いますが、バードウォッチングが添え物ではなくメインに扱われるコミック作品はめずらしいですよね。たくさんの野鳥が登場、鳥好きに大人気の『とりぱん』(大好きです)がありますが、あれはバードウォッチングを描いているわけではありませんからね。ほかにも、野鳥が主人公だったり、野鳥を描いたりといったコミック作品はありますが、バードウォッチャーが主人公のコミックとなると、ひょっとして小山田いく『ウッド・ノート』(秋田書店)以来、でしょうか(1984〜1988年連載の作品です)。
鳥の生態や、鳥見の様子もしっかり描かれていますし、登場人物の機材へのこだわり、うんちくなどもおもしろい。バードウォッチャー寄りの野鳥マンガとしては大変おもしろく読めるものになっているように思いました。
ただ、ちょっと気になる点があるとしたら、内容紹介にもある通り、そして、この書影にある通り、主人公が「巨乳眼鏡のカメラ女子」で、やたらに胸が強調されて描かれているんですよね……。掲載誌が青年誌だから、主なターゲットは男性だし、内容的にも、とくに性的な感じには描かれていないので、どうこういうようなことではないのでしょうが、これがなければ、それこそ、親子でも読めそうな、老若男女で楽しめそうな作品になっていたようにも思えるので、そこだけが残念かなあ……。カメラはともかく、「巨乳眼鏡女子」目当てなら、ほかにもいくらでもそのような作品はあるわけで、野鳥とかぶせなくてもなあ、と、そんなことをちょっと思ってしまったのでした。
ただ、くどいようですが、内容的にはHな感じはなくて、まっとうすぎるくらいにまっとうな、バードウォッチングの魅力と、機材へのこだわりに目覚めていく女性の姿がストレートに描かれているので、鳥見のベテランが読んでも初心者が読んでも、両方楽しめそうなものになっています。