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空犬通信

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ゴダイゴのギタリスト、浅野孝已さんが亡くなりました

またひとり、子どものころに音楽のすばらしさを教えてくれた存在がこの世を去りました。




訃報、いろいろなメディアに流れていましたが、この朝日新聞の記事の見出しにある「屋台骨のギタリスト」という表現が、浅野さんの立ち位置をもっとも的確に表しているのではないかなあ。ファンにとってうれしい表現だし、もしもご本人が知ることがあったら、きっと喜んだのではないかなあ、と、そんなことを思いました。


記事の一部を引きます。《「銀河鉄道999」などのヒットで知られるロックバンド「ゴダイゴ」のギタリスト・浅野孝已(あさの・たかみ)さんが12日、東京都内の病院で死去した。68歳だった。後日、お別れの会を開く。12日朝に自宅で倒れているのを家族が発見し、病院に搬送されたが、死亡が確認された》。


続けて、《ギタリストとしては、日本でまだあまり知られていなかったギターシンセサイザーを取り入れるなど》にふれられているのもうれしいところ。


ゴダイゴは、ぼくが小学生の頃、もっとも好きだったバンドの1つでした。ゴダイゴは、高い演奏力をほこる本格的なバンドスタイルのアーティストでしたが、ロック系のバンド・アーティストのなかにはテレビの歌番組には出ないというスタンスの人たちも多かったなか、ゴダイゴは気さくなお兄さんたちという雰囲気で、歌番組にも積極的に登場。当時は、いわゆるお茶の間に愛される存在でした。


そして、重要なのは、当時の子どもたちがロックや洋楽に関心をいだくようになるきっかけをつくってくれたことではないかと思います。歌謡曲とロックをつないでくれた存在。ゴダイゴはそのような立ち位置のバンドだったのではないかと思います。


(以下、ギターを弾く人以外にはあまり関係のない、もしくはわかりにくい話が続くかもしれません。)


浅野孝已さんは、クレジットを見るかぎり、自身では曲は手がけていません。まさにバンドサウンドをつくりあげるのに徹するタイプのプレイヤーだったということですね。ゴダイゴといえば、ミッキー吉野とタケカワユキヒデという天性のメロディメーカー二人を抱えるバンドです。彼らふたりの後ろでギターを弾くのは大変でもあり、ギタリスト的には楽しみでもありという感じだったのではないかと想像します。訃報を伝える記事にタケカワ氏のコメントが引用されていましたが、《僕のどんな曲にもすぐにギターを弾いて合わせてくれるオールマイティーなギタリスト》がすべてを表していますね。ギタリスト冥利に尽きる評価ではないですか。


浅野孝已さんは、ギターソロを弾きまくるようなギターヒーロータイプではなく、バンドのアンサンブルを支える職人タイプのギタリストでした。ベスト盤を聴いても、代表曲とされるヒット曲で、ギターソロが入っているのは「僕のサラダガール」くらい。


派手なギターソロこそないけれど、印象的なプレイはヒット曲のあちこちに、アルバムのあちこちに聞くことができます。たとえば、大ヒット曲で、彼らの名前をお茶の間に広めることになった1曲、「ガンダーラ」。


当時は、のりのりでかっこいい「モンキー・マジック」に比べると、ちょっとかったるい感じもするなあ、などと生意気なことを思ったりしたこともあったのですが(すみません……)、後年あらためて聴くといいんですよね、これが。


印象的なイントロのアルペジオは、12弦を含む複数のギターがからんだもので、後ろにさらに別のギターも聞こえますから、最低3本、おそらくはそれ以上のギターのアンサンブルになっています。実際に弾いて見ると、難しいことをしているわけではないのですが、12弦の響きをうまく活かしたプレイは弾いていて気持ちよくて、自分で音を重ねてみたくなります。


アルペジオと言えば、Bメロ(「その国の名は」のところ)のバックで聴けるプレイもいいですね。ちなみに、ここのコードは|Bm7 G△7|C#m7-5 F#7|かな。


浅野孝已さんは、カッティングの名手でもありました。とくに後期になると、分厚いバンドサウンドに隠れてギタープレイがよく聞こえないものもあるのですが、誰が聞いてもこれは!という感じの、浅野孝已さんのベストプレイの1つは、やはり「モンキー・マジック」でしょう。


同曲の全編で聞けるきれきれのカッティングは、40年後のいま聴いても超かっこいい。裏拍をうまく使った独特のハネ具合。複音と単音の組み合わせも効いています。実際に弾いてみると、これ、けっこう難しいんですよ。腕に覚えのあるギタリストはぜひトライしてみるといいと思いますよ。浅野孝已さんのすごさがよくわかる曲だと思います。


自分が、いま、こんなにギターを好きなのは、ギターを実際に手にしたりバンドを始めたりする前に、ゴダイゴのサウンド、浅野孝已さんのギタープレイにふれていたことも大きかったのかもなあ、などと、いまになってあらためて思います。ロックに目覚めてからは洋楽漬けだったので、実際にバンドでゴダイゴをコピーしたりしたことはないのですが、でも、ギタープレイをコピーしたかどうかとは関係なく、もっと深いところで影響を受けていたのかもしれないと、そんなふうに思っています。


浅野孝已さん、ありがとうございました。心からご冥福をお祈りします。



訃報を知ったその晩は、ゴダイゴの音盤を引っ張りだし、独り、ゴダイゴ追悼大会を開き、なつかしい曲を片端から聴きました。小学生のころは主に歌番組で接していたので、レコードは1枚も持っていなかったけれど、その後、いろいろ買い足したので、たくさんあるのです。


ジャケ写 ゴダイゴ 西遊記

↑『MAGIC MONKEY(西遊記)』。最初が「The Birth Of The Odyssey〜Monkey Magic」で、次が「ガンダーラ」という、A面最初から最高です。ジャケットの浅野孝已さんが若い。


ジャケ写 ゴダイゴ CM1

↑これも好きだったなあ。『CMソング・グラフィティ・ゴダイゴ・スーパー・ヒッツ』。CMソングを集めたアルバムが成立し、しかも、音楽作品として楽しく聴けるなんて、大滝詠一とゴダイゴくらいじゃないでしょうか。大滝詠一もゴダイゴも、Vol.2まで出ています。


「僕のサラダガール」はシングルバージョンより、『新創世紀』とこの盤で聴けるアルバムバージョンが個人的には好きです。浅野さんのスライドプレイが聴けるし、ギターソロもこちらのバージョンのほうがいいんですよね。


ジャケ写 ゴダイゴ 中国

↑ゴダイゴは複数のライヴ盤を出していますが、個人的に好きな1枚がこちら、『中国 后醍醐(ライヴ・イン・チャイナ ゴダイゴ)』。1980年、中日友好音楽祭出演時のライヴ。スタジオ盤よりもワイルドな浅野さんのプレイが聴けます。


我が家に何枚もあるゴダイゴの7インチを見直していたら、こんなのが出てきましたよ。


ジャケ写 ゴダイゴ ポートピア1ジャケ写 ゴダイゴ ポートピア2

『ポートピア』の7インチ、ピクチャー盤。我が家のゴダイゴ音盤のなかで、最大の珍盤かもしれません。ポートピアというと、ぼくの前後の昭和小学生世代には微妙な響きなのかもしれませんが(遠足でポートピアランド行ったなあ、とか、トラブルが多いことで有名になってしまったポートライナー、とか;苦笑)、1981年開催の同博覧会のテーマソングであるこのゴダイゴの曲自体は、ブラスロック+バラードみたいなドラマチックなつくりで、いま聴いてもなかなかかっこいいんですよね。


阪神淡路大震災のときにSNSがあったら、「それでも街は生きる」を高らかに歌い上げたこの曲に、再び注目がされることがあったかもなあ、と、今聞き直しながら、そんなことを思ったりしました。


先にあげたライヴ盤『中国 后醍醐』では、スタジオバージョンには入っていないギターソロが長めにフィーチャーされた「ポートピア」が聴けます。


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コメント

名曲の時代

空犬様,こんばんは.
10代前半だった当時,初めて接する様な独特の
メロディーとリズムの「ガンダーラ」「異邦人」
「思い出は美しすぎて」などの魅力にはまりました.
レコード等なかなか買えなかったけれどラジオやテレビで
流れてくると食い入るように聴いていました.

なかでもゴダイゴはバンドですのでそれぞれの演奏が
かっこよく,今でも唯一全員の名前言えます.
「モンキーマジック」は初めて英語歌詞を覚えた曲です.
今でも口ずさめます.若いときの記憶力凄い!
「999」アニメ大ファンで,レコード買いました.
テレビ版と違いすぎて戸惑いはありましたが,
階段を駆け上がるような歌いだしが,そう意図された
ものと後年聞いて,後のロングヒットも納得でした.

浅野さんの存在がサウンドを支えていたんですね.
思い出を沢山作ってもらいました.浅野さんに感謝です.
またじっくり改めて聴き直してみます.

  • 2020/05/17(日) 02:39:26 |
  • URL |
  • みこ #nLnvUwLc
  • [ 編集 ]

Re: 名曲の時代

みこさん>
いつもありがとうございます。

> レコード等なかなか買えなかったけれどラジオやテレビで
> 流れてくると食い入るように聴いていました.

同じような音楽体験ですね。ぼくもまさに
そんな感じでした。後に、リベンジのように
レコードを買いまくったりしたものです。

> 「モンキーマジック」
> 「999」
どちらも名曲ですからねえ。
後者は、我々の世代にとっては
特別なアニメ映画の1本になりましたよね。

出会いから時間がたって聴き直すのも
いいものです。楽しい再会の機会に
なりますように。

  • 2020/05/17(日) 23:01:02 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

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