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空犬通信

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ラヴクラフト世界の語り直し?!……『ブラック・トムのバラード』がおもしろい

読む前に予想していた以上に、こわおもしろい作品でした。




書影 ブラックトム

版元の内容紹介によれば、このような作品です。《相反するすべての思いをこめて、H・P・ラヴクラフトに捧げる――「レッド・フックの恐怖」から90年後、アフリカ系アメリカ人作家ヴィクター・ラヴァルがラヴクラフトの世界を語り直す》。


作者のヴィクター・ラヴァル、当方は未読の作家で、というか、おそらくは多くの海外文学好きにとってもそうだろうと思いますが、デビューから20年の間に、シャーリィ・ジャクスン賞、英国幻想文学大賞受賞、世界幻想文学大賞といった、このジャンルが好きな読者なら反応せずにはいられない受賞歴の持ち主。書き手が世界幻想文学大賞受賞作家で、翻訳がデニス・ジョンソンやサルバドール・プラセンシアなどを手がけている藤井光さんとなれば、これは手にとらないわけにはいきませんよね。


版元の紹介ページにあらすじもありますし、朝日新聞の書評「朝宮運河のホラーワールド渉猟」でも取り上げられていましたから、気になるけれど、もう少し内容が知りたいという方は、それらをご覧になるといいでしょう。「アフリカ系アメリカ人が語り直すラヴクラフトの世界 V・ラヴァル「ブラック・トムのバラード」書評」。ちなみに、後者では、怪奇幻想ジャンルの紹介者である朝宮運河さんが《こんなに怖くて面白いホラーを読んだのは、本当に久しぶりである》と大絶賛。


『ブラック・トムのバラード』が大変おもしろかったので、元ネタ(というかオマージュの対象というべきかもしれませんが)であるH・P・ラヴクラフト「レッド・フックの恐怖」も再読しました。『ラヴクラフト全集』(創元推理文庫)の第5巻に収録されています。本作を読んでいなくてはいけないというものではありませんが、こちらの作品も合わせて読んでおくほうが、作品世界をより深く楽しめるかもしれません。


書影 ラヴクラフト5

ちなみに、この『ラヴクラフト全集』第5巻には、先頃(2020年1〜2月)、アップリンク吉祥寺他でリバイバル上映されていた映画『ZOMBIO/死霊のしたたり』の原作である「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」も収録されています。


本書『ブラック・トムのバラード』は、東宣出版「はじめて出逢う世界のおはなしシリーズ」の1冊。《“大人も、子どもも楽しめる!”をコンセプトに、独創的な海外文学を紹介》というこのシリーズ、ブッツァーティなど、ユニークすぎるラインナップに目を引くPOPな装丁と、とてもいいシリーズにですよね。以前に、水濡れ本の記事でふれたエドゥアルド・メンドサ『グルブ消息不明』もこのシリーズの1冊です。今後のラインナップが楽しみです。




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