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空犬通信

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ただのアナログ化ではなかった……アラン・ホールズワースのアナログボックス(ただしいろいろ疵が……)

アラン・ホールズワースのねたでいったい何本の駄文を重ねるつもりだ、って話ですが、すみません、マニアにできることはコンテンツにお金を出すことと布教活動、それくらいしかないのですよ……。



全作品完全ダブりを承知で買ってしまいました。アラン・ホールズワースのアナログボックス『Allan Holdsworth Solo Album Collection』(以下「アナログボックス」)。これがどのようなものなのかは以前に記事にまとめましたので、そちらをご覧ください。


ジャケ写 AH アナログボックス表ジャケ写 AH アナログボックス裏

先行して発売になったCDボックス『Man Who Changed Guitar Forever』(以下「CDボックス」)をアナログ仕様にしただけのものかと思っていたのですが、実物を手にしてみると、いろいろ違いがあることがわかりましたので(何より、タイトルも変わっていますからね)、これから買おうと考えている方の参考にということで、気づいたことをまとめてみます(そのようなニーズがあるとも思えませんが、とりあえず)


(以降、マニア以外には、下手したらマニアにさえも、ほぼ何の意味もない些末な情報を書き連ねます。)



■ボックス


どちらも、ソロ名義のアルバム12作がまとまったボックスセットである点は同じなんですが、写真にあります通り、ボックスの写真が変わりました。写真はやはりストラト時代のアランの演奏姿をとらえたアナログボックスのほうがかっこいいですね。


■ジャケット


ボックスやジャケのつくりが、それほどしっかりした感じではないのは、今回のアナログボックスもCDボックスと同じ。CDボックスでは、ジャケットはみな紙ジャケで、しかも全作品、ゲイトフォールド(見開き)仕様でしたが、今回のアナログボックスでは、12作品すべてシングルジャケットです。従い、見開きの内ジャケにパーソネルなどの情報が載っていた盤に関しては、そうした情報の掲載場所が失われてしまったことになります。


ただ、CDボックス版の各アルバム内ジャケの記載情報のうち、文字情報はおおむねアナログボックスの裏ジャケに場所を移して記されているようです。(その分、裏ジャケが文字量的に窮屈な感じになっているものもありますが。)『ウォーデンクリフ・タワー』では、裏ジャケの曲の表記は、SIDE ONE、SIDE TWOに分けた表記になっているのに、パーソネルの参加曲表示は誰々は6曲目、7曲目に参加などと、CD版のママで、曲の表記と合わないかたちになっていたりするものもあります。まあ、こまかいことなんですけどね、詰めが甘いというかなんというか……。


図版類には、残念ながら割愛されているものもありました。『ウォーデンクリフ・タワー』の内ジャケ左側にあった図版や、『ナン・トゥー・スーン』『フラットタイア』の内ジャケにあったアランやメンバーが楽しそうにしている様子のわかる写真や、前者にあったシンタックス(SynthAxe)の写真はアナログボックス版には掲載されず。


ジャケのデザインは基本的にはCDボックス版もアナログボックス版も同じ。初アナログ化の『ウォーデンクリフ・タワー』以降の6枚のジャケットはCDの図版を引き伸ばしたもののようで、ぼけぼけに見えます。まあ仕方ないことではあるものの、現在の技術ならば、もう少し見栄えを整えられそうな気もするのですが……。


ジャケのデザインの一部に、従来版とCDボックス版で違っているものがあることはこの記事にも書いた通りですが、CDボックス版とアナログボックス版で違っているものもありました。(ジャケ違いは表面の話です。裏面は、先に書いた通り、内ジャケの文字情報を移したために、ほぼすべての盤でレイアウト自体が異なっています。)


『サンド』は、イラストレーターもデザイナーも同じ人のようですが、別イラストが使われているようです。アーティスト表記とアルバム名の色がCD版は白ですが、LP版では赤と青になっています。イラストに見えるテントのようなものも縞の色使いが異なり、また影が左右逆になっていたりします。LP版裏ジャケには、CD版のジャケにはなかった、ギターを抱えたアランのような影絵も描かれています。


ジャケ写 SAND LP表ジャケ写 SAND LP裏

↑『サンド(SAND)』のジャケット。上の、ボックスの裏ジャケに全12作品のジャケットが掲載されていますが、ボックスに載っているのはCD版のジャケットです(こういうあたりも詰めが甘い……)ので、比べていただけると違いがわかるでしょう。


■曲・音源


CDボックスでは、ボーナストラックがあるものは(先の記事に書いた通り、ごく一部例外はあるものの)各盤に収録されていましたが、今回のアナログボックスは、ボーナストラックを含まない、従来の収録曲・曲順のオリジナルの仕様(収録曲)に合わせてあるようで、盤自体にはボーナストラックは収録されていません。同梱のダウンロードコードでダウンロードできる音源には含まれている、ということですが、ボックス内で商品として完結しているCDボックスに比べると、ちょっと不親切というか、商品として残念な感じがしますよね。


『ザ・シックスティーン・メン・オブ・テイン』は、アナログは出ていなかったアルバムですが(1999年リリース)、CDでは、初リリース時にはなかったボーナス・トラックを含む版が出ていました。なぜかボーナストラックが1曲目に収録されているため、本来のアルバムトップナンバーではない曲でアルバムが始まる仕様になっていたのですが、CDボックスにはその版が収録されています。アナログボックス版にはボーナストラックはありませんので、元のバージョンの通り、タイトルトラックの「ザ・シクスティーン・メン・オブ・テイン」で始まる構成となっています。


ただ、この盤の曲追加・曲順変更はアラン本人の意向だったようなので、だとすると、アナログボックスに収録する版は、元のものでよかったのか、という気もするのですが、どうでしょうか。


■ブックレット


CDボックスに同梱されていたオールカラー40ページのブックレットは、アナログボックスには残念ながらついていませんでした。この記事で報告しました通り、このブックレット、めずらしい写真なども掲載されていて、ファンにはなかなかうれしい1冊になっていたので、値段的により高いアナログボックスのほうにこれがないのはちょっと残念ですね。同じ内容のブックレットがLPサイズになっていれば、それだけでもボックスの価値をより高めることになったろうになあ。音源のダウンロードコードをつけたのだから、紙でつけられないのだとしたら、これもPDFでダウンロードできるようにすればいいのに、などと思ってしまいました。


ブックレットなし、見開きジャケもなし、ということで、ビジュアル情報、文字情報については、アナログボックスは大幅に後退、ということになりますね……。ちなみに、LPの場合、ジャケではなくインナースリーブにパーソネルや歌詞などの情報が載っている場合がありますが、今回のアナログボックスの12枚はすべてふつうの白いスリーブで、文字情報はなし、です。


■ダウンロードコード


各アルバムにはデジタル音源のダウンロードコードがついています。ジャケの中に名刺サイズくらいのカードが入っています。ボックスで買っているのだから、ダウンロードは1回のアクセスでまとめて、とか、好きな作品を選べるようにとかすればいいのにとふつうは思いますが、全作品個別のコードが割り振られていて、全部を入手するには、個別に入力&ダウンロードをしなくてはなりません。しかも、アルバムを丸ごとダウンロードできるようにはなっていなくて、1曲ずつ、選んでは保存を繰り返さないといけないという。不正ダウンロードを防ぐための意味合いもあるのかもしれませんが、なんだかなあ(苦笑)。安くないお金を出して買ったユーザ相手に、不親切というかなんというか。


昔出ていた、フランク・ザッパのアナログボックスには「ミステリー・ディスク」がついていました。今回のアランのも、ボーナストラックだけを集めたボーナスディスクをつけてもよかったのでは、などと思ってしまいました。高価なアナログボックスを出すなら、それぐらいしてもいいのでは、と思いますし、仮にそのために、アルバム1枚分、2000、3000円高くなったからといって、ファンは買うのをやめたりしないでしょうし、むしろ逆にそのために買うファンが出てきてもおかしくないくらいだと思うのですが、どうでしょうか。


というわけで。マニアとしては、ソロ名義全作品をアナログでそろえられたという点では満足ですが、今後このようなものはもう二度と出ないであろうことを思うと、アランの決定版ボックスとするには、ちょっと工夫が足りないというか、ファンサービスに欠けるというか、素材はいいのに「編集」が甘いというか、いろいろとマイナスポイントの目につく商品になってしまっているように感じられました。


CDボックス版が出た「後に」、わざわざアナログボックスを買おう、それも、より値段が高いうえに、先行するCDボックスに比べて足りない要素がいくつもあるボックスを買おうというのは、ほぼ確実にマニアだけ、でしょう。であるならば、多少値段が高くなってもいいので、資料面でも、つくりの面でも、もう少し手をかけて、マニアをうならせる完全版ボックスのようなものを目指してもよかったのではないかと、そんなふうに思います。ほんと、編集者として関わらせてほしかったくらいです……(苦笑)


今回のボックス自体に関するライナーノーツや、各盤の基本情報をまとめた、それこそ、LPサイズ裏表の紙1枚がついているだけでも、ずいぶんイメージが違ったはずなのになあ。マニアとしてはちょっと残念ですが、でも、アランの音楽自体には関係のないことなので、CDとアナログを、そのときの気分で使い分けながら、長く愛聴していきたいと思います。


……と、個人的には、まあ、自分を納得させてはいるのですが、これからどちらかを買おうという方には、アナログボックスのほうは、強くはおすすめにくいものになっているのも事実ですので、どちらにするか(両方をという人はあまりいないと思いますので;苦笑)慎重に判断されるといいでしょう。


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