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空犬通信

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待たせるにもほどがある……テッド・チャン、2冊目の作品集『息吹』が刊行

SF読みにとって、「待望の」という枕詞がこれほどふさわしい1冊もなかなかないでしょう。




書影 息吹

映画『メッセージ』の原作「あなたの人生の物語」を含む『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫SF)から16年。ファンを待たせるにもほどがあるという感じの、テッド・チャン2冊めの作品集です。


版元の内容紹介によれば《『千夜一夜物語』の枠組みを使い、科学的にあり得るタイムトラベルを描いた「商人と錬金術師の門」をはじめ、各賞受賞作9篇を収録》。


単行本刊行に先立って、『S-Fマガジン』に刊行記念特集が掲載されました。



書影 SFマガジン1912

「テッド・チャン『息吹』刊行記念特集」とうたわれていますが、第二特集で(メインの特集は「小川隆追悼」)、分量はちょっと少なめかな。掲載短篇(「オムファロス」)も単行本収録作の先行掲載ということで、この特集に反応する人は必ず単行本も買うであろうことを思えば、ちょっと残念なセレクトかも。(といっても、なにしろ作品の少ない人なので、単行本未収録作品やエッセイ、インタビューなども少ないから、選びようがない、というのもあるのでしょう。)


その他の内容は、『ニューヨーク・タイムズ』に掲載された、こちらは短編集にも入っていない最新短篇「2059年なのに、金持ちの子(リッチ・キッズ)にはやっぱり勝てない――DNAをいじっても問題は解決しない」、インタビュー「SF作家テッド・チャン、わたしたちとテクノロジーの関係、資本主義、絶滅の脅威について語る」。


翻訳を待ちきれずに原書を買っちゃった、というファンも多いのではないでしょうか。まさかこんなに早く翻訳が出るとは思わなかったこともあり、ぼくも原書に手を出した一人です。



書影 Exhalation

Books Kinokuniya Tokyoの店頭でペーパーバックは見かけていたのですがが、英Picador版だったので、米Knopfのハードカバーで購入。奥付を見ると、2019年5月刊の本が、6月で5刷。英語圏でも新作を待っていた人がたくさんいるってことですね。PenguinRandamhouseのサイトでは、同書のオーディオブックのサンプルも聴けます。


原書を読み切らないうちに、翻訳版刊行のニュースが飛び込んできましたので、翻訳刊行前に読み切るぞー、原書で読んでから翻訳も読むぞー、おー!、とか張り切っていたんですが……結局追いつかれました(苦笑)。そりゃあ、テッド・チャンの作品はそんなに早く読めませんよね……。


というわけで、以上、まったく内容にふれていませんが、書評はこれからいくつもあがるでしょうから、内容が気になる方はそれらを待つといいでしょう。ちなみに、原書のほうは、『ニューヨークタイムズ』書評欄が選ぶ2019年のベスト10冊にも入っていましたね。記事はこちら。「The 10 Best Books of 2019」(11/22 The Nyew York Times)


《Many of the nine deeply beautiful stories in this collection explore the material consequences of time travel. Reading them feels like sitting at dinner with a friend who explains scientific theory to you without an ounce of condescension. 》とすてきな紹介がされています。


それにしても、テッド・チャン、1990年デビューで執筆期間はまもなく30年になろうというのに、『あなたの人生の物語』の原書『Stories of Your Life and Others』が2002年刊で、今回の短編集がやっと2冊目。自分が現役の読者でいられる間に、次の本を手にすることはできるかなあ。などと思うと、なおのこと、丁寧に、じっくりと読まないといけないなあ、という気になりますね。


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