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空犬通信

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アラン・ホールズワース在籍時代のU.K.ライヴが発売に

しばらく前の記事で英国のプログレバンド、U.K.のトリオ時代のライヴ盤を紹介しましたが、今度は4人時代、アラン・ホールズワース在籍時のU.K.ライヴ音源がAlive The Liveからまとめて発売になりました。



  • U.K.『Live Toronto, June 26th 1978』(King Street)
  • U.K.『Live In Boston 1978』(King Street)
  • U.K.『Live...Agora Ballroom, Ohio 1978』(King Street)

ジャケ写 UK トロントジャケ写 UK オハイオ

2つめのボストンのライヴについては、すでに紙ジャケ日本盤もあり、ほかにもいくつかの版で出ている、ファンにはおなじみの音源ですので、割愛。今回は、他の2種『Live Toronto, June 26th 1978』(以下『トロント』)と『Live...Agora Ballroom, Ohio 1978』(以下『オハイオ』)を紹介します。


発売元の内容紹介によれば、このような内容です。《「70年代のプログレッシヴ・ロック・シーンの最後を飾るスーパー・バンド、U.K.元イエス〜キング・クリムゾンのビル・ブルーフォードと元ファミリー〜キング・クリムゾンのジョン・ウェットンを中心に元カーヴド・エア〜ロキシー・ミュージックのエディ・ジョブソンと元テンペスト〜ソフト・マシーン〜ゴングのアラン・ホールズワースという強力な布陣で結成されたこのバンドはパンク・ロック全盛の中でプログレッシヴ・ロック・シーンの一筋の光明を差す。そんな彼等が1978年3月にデビュー・アルバム『U.K.〜憂国の四士(原題:U.K.)』をリリースして行う北米ツアーの模様を収録したライヴ・アルバムが遂に登場!》


ライヴの詳細ですが、ライナーによれば、まず『トロント』のほうは、1978年6月に始まった北米ツアーの開始地トロントのエル・モカンボというクラブでの3日連続演奏のうち2日目のもの。当時地元のFMで放送されているのだそうです。一方の『オハイオ』は同年11月、ツアーの最終地であるオハイオ州クリーヴランドのクラブ「アゴラ・ボールルーム」での演奏。こちらも当時ラジオで放送されたとのこと。ちなみに、同時発売の『Live In Boston』は同ツアー、9月のボストン公演のもの。


収録曲はまず『トロント』が以下の通り。


  • 1 アラスカ
  • 2 タイム・トゥ・キル
  • 3 ザ・サハラ・オブ・スノー(パート1&パート2)
  • 4 キャリング・ノー・クロス
  • 5 ジ・オンリー・シング・シー・ニーズ
  • 6 サーティー・イヤーズ
  • 7 イン・ザ・デッド・オブ・ナイト
  • 8 バイ・ザ・ライト・オブ・デイ
  • 9 プレスト・ヴィヴァーチェ・アンド・リプライ

『オハイオ』はこちら。


  • 1 アラスカ
  • 2 タイム・トゥ・キル
  • 3 ジ・オンリー・シング・シー・ニーズ
  • 4 キャリング・ノー・クロス
  • 5 フォーエヴァー・アンティル・サンデイ
  • 6 サーティー・イヤーズ
  • 7 バイ・ザ・ライト・オブ・デイ
  • 8 プレスト・ヴィヴァーチェ
  • 9 イン・ザ・デッド・オブ・ナイト
  • 10 シーザーズ・パレス・ブルース

当日のセット・リストは、『トロント』は全9曲、『オハイオ』は全10曲をそれぞれ完全収録とのこと。4人時代のライヴでは、トリオ時代のアルバムに収録されることになる曲の4人版の演奏が聴けるのが売りですが、U.K.のアルバム収録曲以外の演奏が聴けるのもうれしいところ。ビル・ブルーフォードが脱退後にアラン・ホールズワースを誘って結成するバンド、ブルーフォード名義のアルバム『ワン・オヴ・ア・カインド』に収録される「ザ・サハラ・オブ・スノー(パート1&パート2)」が『トロント』で、「フォーエヴァー・アンティル・サンデイ」が『オハイオ』で聴けます(後者は『Live in Boston』にも収録)


演奏のほうですが、『トロント』のほうは、ツアー後には袂をわかつことになる組み合わせとは思えぬノリで、ハイレベルな演奏が全編で聴けます。音質や楽器のバランスも悪くない。個人的には、ややギターがオフ気味なのがアラン・ホールズワースのマニアとしては残念なのと、ドラムのスネアの音がスコンと軽めで、チューニングの音がやや高めになっているのが気になる、というのがあるのですが(ドラムプレイ自体は最高です)、まあ、それは大変こまかいことですね。


「ザ・サハラ・オブ・スノー」はブルーフォードとエディ・ジョブソンの共作。この時点ですでに用意されていたんですね。ブルーフォードの『ワン・オブ・ア・カインド』にはエディ・ジョブソンは参加していませんから(そちらのほうのキーボードはデイヴ・スチュワート)、ジョブソン参加のバージョンが聴ける貴重なテイクに。アラン・ホールズワースも弾きまくっています。


『デンジャー・マネー』収録曲の「キャリング・ノー・クロス」。ビル・ブルーフォードのドラムはテリー・ボジオとはリズム解釈が異なる感じで、ギターが入っていることもあり、トリオ版のスタジオテイクとは相当に印象の異なる曲になっています。


「ジ・オンリー・シング・シー・ニーズ」も同盤収録曲。スタジオテイクではテリー・ボジオの印象的なドラム・ソロとリズムユニゾンから始まりますが、頭のドラムソロはなし。テリー・ボジオのドラムが引っ張るようにぐいぐい進む印象のスタジオテイクに比べるとゆったりめのテンポ。サビの歌詞がスタジオテイクとは違っているのを含め、このあたりのアレンジの違いは、『Live in Boston』ほかの4人時代のライヴ音源を聴いたことのあるファンにはおなじみでしょうか。好みが分かれそうですが、2番サビ後の展開もスタジオ版とはぜんぜん違うものになっていますね。このソロパートではアラン・ホールズワースの流麗なソロ(前半のゆったりしたパートもいいですが、後半のテンポアップしてからのプレイがほんとうにすばらしい)がたっぷり聴けます。


『オハイオ』のほうは、聞き所の1つはブルーフォードの『ワン・オブ・ア・カインド』収録曲「フォーエヴァー・アンティル・サンデイ」でしょうか。エディ・ジョブソンのプレイはドラマチックで、アラン・ホールズワースのギターもよくうたっています。


『デンジャー・マネー』収録の2曲もすばらしい出来。『トロント』がツアー最初、『オハイオ』がツアー最後の演奏ということで、その時点でまだアルバムに収録されていなかったこの2曲はアレンジも固まっていなかったのを、ツアーで演奏しながら整えていったのでしょう。後のスタジオテイクと違うというだけでなく、2つのライヴの演奏もけっこうアレンジが違いますから、そのあたりもファンには楽しめそう。


『デンジャー・マネー』収録曲でいうと、『オハイオ』では、『トロント」には入っていなかった、かつ、UKファンには人気の高い「シーザーズ・パレス・ブルース」が聴けます。これも、スタジオ版ではテリー・ボジオのドラムがパワフルで、今回のライヴのブルーフォードのドラムのライヴ版と聞き比べると二人のドラマーの資質の違いのようなものがはっきりしておもしろいですね。


音質的には、聴く人によって楽器のバランスや分離など、可不可の判断、好みが分かれそうですが、まあ、発掘音源ライヴにあまりそういうのを求めてもね、ということで、個人的には2枚ともふつうに聴いて演奏を楽しめるレベルなのかな、と感じました(個人の感想&意見です)


大変うれしい発売であるだけに、気になった点も。いずれも輸入盤に日本語帯と解説をつけた、よくある「輸入盤国内仕様」「直輸入盤・日本語帯解説付」になっているのですが、解説が使い回しのようで、今回入手した2種については、8割方同じ文章で、2枚で違っているのは数行程度のみ、というものになっていました(ただし、半分強が元の英文ライナーの翻訳で、元の英文ライナー自体が同じ文章)。〈Album Notes〉とされている文章も、上に引用した、サイトなどに掲載されている内容紹介と重複。おそらく残りの1枚、ボストンもそうなのでしょう。


この記事で紹介したアラン・ホールズワースのライヴ盤もそうでしたが、日本語解説付きをうたうなら、わずかな分量の文章とはいえ、もう少しなんとかしてほしいところですよね。ライヴについては、ツアーのスケジュールやその他の訪問地、セットリスト、機材、会場の詳細など、ほかにもファンが知りたい情報はいくらでもありますからね。


あと、これは間違いなのかどうかわからないので、くわしい方がいたらご教示いただきたいのですが、『オハイオ』、4人の写真が内ジャケに載っているのですが、ビル・ブルーフォードの写真がロートタムを並べたセットを使用しているものになっています。1978年のツアー当時って、このセットでしたっけ? ビル本人の見た目も、他のメンバーと一緒に写っているUK時代であることが明らかな写真よりも、短髪でやや感じの違う見た目になっています。発掘ライヴ音源なんだから、ライヴ当日ならベスト、そうでなくても当時の写真を使うべきですから、もしこれ、別の年の写真なのだとしたら、ちょっとねえ、という感じですよね(苦笑)。ただし、当方の勘違い/勉強不足の可能性もありますので、くわしい方がいらっしゃいましたら、教えていただけるとうれしいです。


とまあ、よけいなことまでいろいろ書きましたが、ジャケの情報や写真などは些末な問題で、ライヴ音源として貴重なことには変わりはありません。U.K.のファン、そして当方のようなアラン・ホールズワースのファン、マニアは絶対に聴いておくべき1枚でしょう。


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