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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

新古書店と図書館、新古書店とデフレ文化

ブックオフ関連の記事が続けて目についたので、紹介しておきます。




「続けて」としましたが、後者は、FINDERS掲載の元記事を見ると、昨年2018年9月13日の記事ですから(Yahoo!ニュース版の最後にも《この記事は2018年9月13日にFINDERSにて掲載されたものです》の断りがちゃんと出ていました)、共通点のある記事が偶然続いたわけではないようです。まあ、でも、Yahoo!ニュース掲載が上の日付で、ぼくがそうだったようにまさに続けて目にすることになった方も少なくないでしょうから、まとめて取り上げます。


前者は、古本屋を、「ブックオフ以前」≒従来の古本屋と「ブックオフ以後」の古本屋≒新古書店の2種類があるとし、後者は《新しいタイプの「図書館」であるとは考えられないだろうか》と投げかけています。《だれもがその中に入ることを許され、そこでの立ち読みまでが許された(ブックオフの特徴の一つとして「立ち読み」を公然と許可したことがある)図書館のようであり、それを実現しているのではないか》。そのような《ブックオフの図書館的な側面》を書き手は、《「ブックオフの公共圏」と呼んでみたい》としています。


第1回とあるように、この記事単体でなんらかの結論が示されているものではありません。《ブックオフの公共圏は図書館や古いタイプの古本屋にくらべていかなる特徴をもち、どのような公共圏を描き出しているのか。次回からはその輪郭を少しずつ探ってみることにしよう》とありますので、今後どのような論が展開されるのか、続きを楽しみに待ちたいと思います。


少なくとも、
(新刊書店・出版社にとって)新古書店=新刊の売れ行きにマイナスの影響を与えてきた敵対的な存在
(従来型の古本屋にとって)新古書店=個々の本の価値を見ない一律の値付けによって、本の持つ価値を貶めた存在
といったよくある見方をはみ出すような新古書店論が期待できそうな感じがしますね。


書き手は文中で《ブックオフについて賛成とか反対とかいった意見表明をこえて、ブックオフについてかんがえてみたい》と表明していますが、ぼくも賛成反対、好き嫌いなどを抜きに、読んでみたいと思います。


後者「ブックオフとTSUTAYA的なデフレ文化の終わりに」は、まったく違う書き手がまったく違う媒体に書いたものですが、そこここに先の記事と響き合うような記述、内容が見られます。


後者の書き手は、《「平成」とは、旧来の古本屋やビデオレンタル店、レコードレンタル店などがこれらの新しい形態の店によって淘汰され、取って代わられた時代でもあった》としています。もちろん《新しい形態の店》はブックオフとTSUTAYAのこと。


一時代を築いた2チェーンですが、書き手は《ブックオフとTSUTAYA的な文化には終わりが見えはじめている。2018年(=平成の終焉マイナス1年)現在、この2つのチェーン店について凋落が語られている》としています。《「平成」期を通じて栄えたこの2つのチェーン店はまさに「平成の終わり」の直前にして、それに添い遂げるかのようにその存在感を失ってきている》、だからこそ《「平成の終わり」を、「ブックオフとTSUTAYAの時代の終わり」と重ねて考えることは可能であるだろう》と言います。


前者の記事では、子どもを含む読者・利用者が、自由に入って自由に立ち読みすることのできるブックオフの特質を、図書館的側面としていました。後者には、こんなくだりがあります。《このような話を大学の授業でした時の学生からのコメントに興味深いものがあった。曰く、子どもの頃、マンガを買おうとしたら親から無駄遣いをするなと言われ、ブックオフに連れていかれた。さらに最近になると、お金がかからないからと違法マンガサイトの存在を教えられたとのことである。こうしたコメントは一人二人からのものではない》。


この前段には《インターネットによって、「平成」的なデフレ文化よりももっと安く、さらには違法な形態を含めて無料で文化に触れることが可能になった》という記述があるのですが、ブックオフが代表するデフレ文化が、「公共圏」どころか昨年メディアの世界を騒がせたマンガの違法サイトのような「違法な形態」にまでつながってしまっているわけですから、「ただで自由に立ち読みができる」店舗の存在の難しさを考えさせられます。


後者も1とありますから、続きがあるはずで、そちらも気になりますが、本稿執筆時点では、FINDERSのサイトには続きはあがっていないようです。


どちらの記事も、新古書店・ブックオフがいい悪いといった単純な論考ではありませんし、後者はそもそも新古書店が中心の論でもないのですが、続きを待ち、併せて読んでいきたいなあと思いました。(新)古書店のこと、ブックオフのこと、また新古書店の新刊への影響などに関心のある方は、チェックしてみるといいのではないでしょうか。


ブックオフについては、以前にこんな記事を書いたことがあります。あの、ブックオフのコミックの棚の前で一心にマンガを読みふけっていた子どもたち。あの子たちが、歩きや自転車で行けるブックオフがなくなってしまったあと、いったいどうなったのか。どこでマンガや本を手にしていたのか。マンガや本からまったく離れてしまいはしなかったか。そんなことが、今でも気になります。


新古書店の図書館的側面については、個人的に、いろいろ言いたいこと、書きたいこともありますので、これらの記事の続きが出ましたら、それらを読んだうえで、あらためてこの件についてふれたいと思います。


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