先日、水戸に行ってきました。先日の記事で書いた、道中読書をするためだけの電車での遠出、青春18きっぷを使った、読書旅をしてきたのです。
水戸は、東京からだと(特急を使わない場合)2時間半ほど。往復5時間の車中読書ができるわけです。
もちろん、道中読書が主目的の旅ですから、ほかにこれといった目的も目当てもありません。水戸まで行って、水戸駅で水戸の名物でも食べて、駅周辺の本屋さんに寄ってそのまま帰ってくる、それだけの予定でした。
道中、水戸で検索している(基本、読書旅なので、スマホはなるべく使わないように、とは思っていたんですが、でも、やはり行き先の書店と飲食店は調べないわけにはいきませんからね)と、水郡線なる、水戸と郡山を結ぶ線があるのがわかりました。水戸から終点まで行くのは時間的に無理でしたが、途中駅までの往復なら可能です。調べてみると、駅前に本屋さんがある駅があるではないですか! ならば、ということで、行ってみることにしました。

↑水郡線の「上菅谷」駅。水戸から15分ほどの駅です。

↑地図アプリによれば、駅前にあるはずの上菅谷書店は、どうやら閉店になってしまっていたようで、残念ながら、ありませんでした。
また水郡線に揺られて水戸駅に戻り、水戸駅ビルエクセル5Fにある川又書店エクセル店に寄ってきましたよ。


売り場面積400坪と、商業施設内のワンフロア型の店舗としては、広めのお店です。店内中央にスターバックスのあるブックカフェ型の店舗でした。

↑お店の雰囲気を伝えたくて、通路から1枚だけぱちり。
このレジからカフェスペースをはさんで反対側の通路に、書籍の棚がずらりと並んでいます。文庫・新書は教養系のレーベルもばっちりカバーされているようで、全体に在庫点数も多め。専門書などのかための本も、駅ビル内の書店としては多め・厚めにそろえた品ぞろえになっているように見えました(ものすごく短時間の滞在だったので、印象程度でしかないのですが……)。
駅ビル内のお店ということで、幅広い客層に向けた、バランスのいい品ぞろえと、歩いていてストレスのない、見やすいレイアウトのお店になっているなあ、という印象を受けました。商業施設内で、老舗の屋号を残しつつ、硬軟両方に対応した品ぞろえや洗練された店舗デザインを無理なく実現できている感じは、しばらく前に訪問した静岡の谷島屋などと共通するものを感じます。こういうお店が駅ビル内にあるのを見ると、しかも、ちゃんとお客さんに支持されているらしい様子を目にすると、やはりうれしくなりますね。

↑「ひたちなか海浜鉄道10周年記念川又書店コラボイベント」だという「親子乗り鉄・撮り鉄・食べ鉄大集合 教えて!!『ひたちなか海浜鉄道のひみつ』」のチラシ。店頭では、関連の「鉄道ブックフェア」が展開中でした。



↑川又書店の書皮。老舗らしい落ち着いた雰囲気のブックカバーで、色味の違うタイプから選べます。しおりもお店独自のもので、こちらは数種類の色から選べるようになっていました。ビニールもお店独自のものです。

↑川又書店で買ってきた本。新保国弘『オオタカの森 都市林「市野谷の森公園」創生への道』(ふるさと文庫)。発行元の崙書房は千葉県流山市の版元ですから、本書は厳密には茨城・水戸関連本ではありませんが、郷土書の棚に、このタイトル・テーマの本が並んでいるのに出会ってしまったら、買わないわけにはいきませんね。「ふるさと文庫」は「文庫」とありますが、新書サイズのシリーズです。
エクセル店は2015年に、文具売り場とカフェ(スターバックス)を併設した店舗として、増床リニューアル。売上の好調ぶりが当時の業界紙の記事になっていますが、今も地元客からの支持の厚いお店という立ち位置を維持できているということなのでしょうか、この日も、店内は(カフェスペース含め)たくさんのお客さんでにぎわっていました。
川又書店は明治創業の、水戸の老舗ですが、同店を代表する店舗であった水戸駅前店が2011年に閉店。現在はブックエースの運営になっています(2012年に吸収合併)。ブックエースのサイトには「川又書店」の屋号の店舗が外商を除くと4店あがっていますが、うち笠間店は、この8月末で閉店になることが、ブックエースのサイトで告知されています。
川又書店については、以前に少し調べたことがあり、過去の記事でふれています。水戸駅前店が閉店になったときのもの、つまり2011年ですのでちょっと古い記事ですが、同店の歴史とブックエース傘下になった経緯にふれていますので、よろしければこちらの記事も参考にご覧ください。


↑おっ、図書館が表紙になっている冊子が!ということで目に留まり、水戸駅で入手した「みとフィルムコミッション」の「水戸市ロケ地めぐりリーフレット」。表紙は映画『図書館戦争』のロケに使われた水戸市立西部図書館の館内の様子だとのこと。
全部が本に関連しているわけではもちろんありませんが、本関係の施設ではほかにも「水戸市立見和図書館」が載っています。しかも、特撮者にはうれしいことに、ロケ作品として『仮面ライダーチェイサー』と『仮面ライダードライブ』があがっているではありませんか。WEBだと、こちらに、茨城県水戸市のロケ地情報がまとまっています。こうして見ると、けっこう特撮のロケに使われていることがわかりますね。
……と、話が脱線しまくりましたが、何が言いたかったか、というと、車中読書を主目的にした読書電車旅は、なかなか楽しいものですよ、ということです。本好きの休日の過ごし方として、冷房の効いた屋内で、ゆっくり読書というのもいいですが、文庫本数冊と、最小限の荷物だけを持って、電車にとび乗ってみるのも、青春18きっぷを片手に、ふだんはしない遠出をして、行き帰りの車中でたっぷり読書、というのも、夏休みの過ごし方として、悪くないかもしれませんよ。
先日の記事で紹介した『旅する本の雑誌』があると、行き先のセレクトの参考になりそう。また、冊子の時刻表をあえて買ってみる、というのもおすすめ。Webの路線検索サービスではわかりにくい、その電車が始発かどうかが確認できたり、乗換・乗り継ぎの情報を、Webよりも視覚的に把握できたりしますし、何より、紙の本を読むための旅、という目的に、こんなにばっちりな本はありませんよね。数百円で買えますしね。
というわけで。夏は、文庫本と青春18きっぷを片手に車中読書を楽しむ日帰り旅はいかがでしょうか。