FC2ブログ

空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

ボリス・ヴィアン、最大の問題作が新訳で文庫に

こんな文庫が出ましたね。



書影 お前らの墓につばを吐いてやる

ヴィアン、最大の問題作とされるノワールですね。版元の内容紹介によればこんな本です。《伝説の作家がアメリカ人を偽装して執筆して戦後間もないフランスで大ベストセラーとなったハードボイルド小説にして代表作。人種差別への怒りにかりたてられる青年の明日なき暴走をクールに描く暗黒小説》。新訳で、訳者は鈴木創士さん。


ボリス・ヴィアン、大好きな作家でした。大学生のときに買い始めて、社会人になりたてのころにそろえた早川書房の『ボリス・ヴィアン全集』全13巻は今も大事にしている宝物で、一時期はほんとにむさぼるように読んだものです。


その早川版『ボリス・ヴィアン全集』での同作のタイトルは『墓に唾をかけろ』。旧版の訳者はヴィアン作品を数多く手がけている伊東守男さん。新刊文庫読了後に、翻訳がどんなふうに変わったのか、旧版と新訳版を読み比べてみました。


書影 墓に唾をかけろ

新版の訳文はさすがに読みやすくて、読んでいて気になるようなところはありませんでした。何か所か、無作為に選び出して、新旧で訳文を比較してみたんですが、ものすごく違っている(それこそ、旧版の訳文に誤訳の可能性があるとか)と感じられるものはありませんでした(個人の印象です)。好みの問題、のレベルでしょうか。


この作品はラストの一文がけっこう強烈な印象を残すものになっているんですが、この翻訳が、ちょっと印象の違うものになっています。気になる方は、冒頭と、このラストを比べてみると、翻訳の違いがよくわかるかもしれません。


あと、違うと言えば、書名が変わりましたね。原題に忠実なのは、『お前らの墓につばを吐いてやる』のほうだそうですが、タイトルのインパクトは、元の『墓に唾をかけろ』のほうに軍配が上がりそうです。


ちなみに、『ボリス・ヴィアン全集』は品切れのようですが、『うたかたの日々』『心臓抜き』の2作がハヤカワepi文庫入りしていて、今も生きているようですね。


今回の文庫化で、ヴィアンをもっと読みたいという読者が増えて、他の作品も文庫になったりするといいなあ。



河出文庫の翻訳ものの充実ぶりは、今に始まったことではないけれど、最近はなんだか加速してる感じで、いいですね。今回のヴィアンだけでなく、最近の刊行だけを見ても、ボルヘス、ヴォネガット、ダグラス・アダムス、リチャード・パワーズ、ジョイス・キャロル・オーツ……などなど。すごいセレクトですよね。河出文庫、これからも大いに期待しています。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad