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空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

ランプライトブックスホテル名古屋で合作探偵小説シリーズが限定復刊?!

この2月にオープンした「ランプライトブックスホテル名古屋」。「本の世界を旅するホテル。」をうたう宿泊施設です。



本を販売していないのに「泊まれる本屋」を名乗っているところと違い、ランプライトブックスホテル名古屋にはちゃんと書店「ランプライトブックス」があります。しかも、24時間営業だというからすごい。


書皮 ランプライトブックス

↑オリジナルの書皮までありました。


さらに、カフェはあるし、客室は《本が快適に読めることを第一に考えてつく》られているしとなれば、本好きならば注目せざるを得ませんよね。ここはいつか泊まってみたいなあ。


その「ランプライトブックスホテル名古屋」でしか手に入らない本がある、しかも乱歩関連だというので、知り合いが、こんな本を買ってきてくれました。


  • 江戸川乱歩他『江川蘭子』(春陽堂書店)

書影 江川蘭子

B6判並製の単行本ですが、この表紙は、と思ったら、春陽文庫の新装のようです(詳細後述)。いくら「旅」と「ミステリー」の専門書店を備えた、本がテーマのホテルだとはいえ、限定復刊まで手がけてしまうというのはちょっとすごい。しかも、よりによって、合作探偵小説『江川蘭子』ですよ。さらに、驚くことに(どれだけ刷られたのかわかりませんが、割に短期間に)2刷になっています。増刷するほど売れたのか! いやはや、いろいろすごいです、ランプライトブックスホテル名古屋……。


こんなすごいことをしているのだから、もっと宣伝してもいいと思うのですが、なぜかランプライトブックスホテル名古屋の公式サイトには限定復刊に関する情報が載っていません。(同施設の選書を手がけたというマルノウチリーディングスタイルのツイートで告知されています。)なので、この本がまだ手に入るのか、ほかにも限定復刊があるのか、今後も限定復刊の予定があるのか、などについてはよくわかりませんが、おもしろい試みですよね。


しばらく名古屋に行く予定はないのですが、いつか、仕事の出張など、他の用事のついでではなく、ゆっくりと本を楽しむためだけにランプライトブックスホテル名古屋に泊まってみたいものだなあと、そんなふうに思わされたのでした。



追々記:昭和の探偵小説ファンや乱歩者はともかく、『江川蘭子』って?という方も多いでしょうから、一応簡単にどんな本かだけ、ふれておきます。


江戸川乱歩・横溝正史・甲賀三郎・大下宇陀児・夢野久作・森下雨村と、昭和初期の一線級の探偵小説家による合作探偵小説で、『新青年』昭和5年9月号〜6年2月号に掲載されました。


手に入りやすい版としては、1993年に出た春陽堂書店の春陽文庫版があります。この「江川蘭子」を含む「合作探偵小説シリーズ」は、「畸形の天女」「殺人回路・悪霊物語」「黒い虹」「女妖 付・大江戸怪物団」「五階の窓」の全6巻が出ていて、他に「屍を他6編」もあります。


ぼくが所有しているのは、この春陽文庫版。本棚から引っ張りだして確認してみましたが、表紙も版面もページ数も同じで、文庫のデータをそのまま利用して拡大した新装版のようです。


書影 江川蘭子 文庫


追記:上で取り上げた施設とは直接関係がありませんが、こうした本が読める環境を提供する施設を取り上げた、こんな記事が本稿のアップ直前に目に留まりました。



記事タイトルに《増殖中》などとあり、本文にも《新宿で続々とオープンしている》などとありますが、言及されているのは「BOOK AND BED TOKYO」「TSUTAYA BOOK APARTMENT」の2つだけ。これをもって「続々と」などとする感覚もよくわかりませんが、書いてあることも非常に雑で乱暴です。


《「寝カフェ系」本屋はリアル書店を救うか?》という、誰が誰を、という意味ではよくわからない見出しのもとに、こんなことが書かれています。


《「寝カフェ系」本屋躍進の背景には、書店が減少する中でのリアル店舗の生き残り戦略の側面もある》。


通常の書店を展開するTSUTAYAが従来の書店の枠に収まらない業態を展開するというのは企業戦略の1つとしてわかりますが、「BOOK AND BED TOKYO」は、別にリアル書店をどうこうしようという戦略のもとにこのような業態を展開しているわけではないでしょうし、そもそも本を販売していません。


《新宿ジュンク堂、啓文堂書店新宿店、紀伊國屋書店新宿南店……。閉店・縮小していった本屋たちは、「寝カフェ系本屋」として生まれ変わらないのだろうか》

こんな雑ぱくなまとめで、文章は終わっているのですが、閉店や縮小営業になってしまったお店の実名をあげて、こんな雑なまとめをするのは、どうでしょうか。


「寝カフェ系本屋」などという業態があるわけではなく、上に書いた通り、たった2つしか取り上げられていない施設のうち1つは本を販売すらしていない。そのような業態に生まれ変われなどと、そんな雑過ぎることを言われても、書店業に関わっている人にとっては、困惑(と、おそらくは怒りと)しかないでしょう。


百貨店内の店舗だった啓文堂書店はともかく、ジュンク堂書店と、縮小前の紀伊國屋書店新宿南店は膨大な在庫を誇る大型書店だったわけです。それを、本の販売すらしていない施設になぞらえて、そのようなかたちで生まれ変わらないか、などというのは、閉店や縮小をせざるを得なかった同店の関係者や書店業界の人たちへの配慮が全面的に欠けた表現だと言わざるを得ません。


ここでふれることで、この記事がいろいろな人に読まれてしまうこと自体、本意ではないのですが、さすがにどうかという気がしましたので、ふれておきます。


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