空犬通信

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夏葉社の新刊……吉田篤弘『神様のいる街』

小さな本です。120ページほどと、すぐに読める分量ですが、一読、強く印象に残ります。




書影 神様のいる街

《書き下ろしの自伝的エッセイ》で、版元の内容紹介によれば、このような本です。《「神様のいる街」とは、すなわち、神戸と神保町。この2つの街を舞台に、著者の青春時代が瑞々しく描かれます。それは「自伝的エッセイ」でありながら、あたかも物語のようです》。《キーワードは、本と古本と結婚。この上なく率直に描かれる物語の終盤は、感動します》。


夏葉社は、内容にぴったりな美しい造本で、手に取るものを楽しませてくれる版元ですが、今回の新刊も、ちょっと小ぶり(四六判変形)で、シンプルな美しさが目を引く仕上がりになっています。白地の表紙に、余白をぜいたくにとった、というか余白だらけの帯という組み合わせも効いています。装丁はクラフト・エヴィング商會。中身と造本がこんなふうに響き合っている本には、そうそうは出会えないかもなあ、と、本を手にしながら、そんなことを思ったりもしました。


吉田篤弘さん名義の諸作やクラフト・エヴィング商會の本が好きな人、夏葉社の新刊を毎回楽しみにしている人には、宝物のような1冊となることでしょう。


内容紹介に《キーワードは、本と古本》とあるように、本書には、吉田篤弘さんが出会った本がいろいろと登場しています。その多くが、我が家の本棚にも並んでいる本だったので、読んでいて、本の趣味の合う友人から、酒席で本(との出会い)の話を聞かせてもらってでもいるような、そんな感じもして、なんだかうれしくなりました。


書影 悪魔の・聖ヨハネ

↑本書に登場する本たち。澁澤龍彦『悪魔のいる文学史』(中公文庫、左)、上林暁『聖ヨハネ病院にて』(新潮文庫、右)


書影 上林本2点

↑上林暁の本。『晩春日記』(桜井書店、左)、『夏暦』(筑摩書房)。上林暁の本は、ほかにも『文と本と旅と』(五月書房)が登場。こちらも所有していますが、本棚の奥にあるようで、出てこない(涙)


吉田篤弘さんにとって神保町からの卒業証書のような1冊として登場する結城信一『夜明けのランプ』(創文社)を未所有なのが残念。登場する本を全部所有しているのもいいけれど、でも、持っていない本、いつか神保町の古本屋さんの棚で出会えるかもしれない本、があるほうが、読後の楽しみが増えていいかも、などと思っています。


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