空犬通信

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「子供が主役の空間」、であってほしい

やはりこのような感じなのか……と思わざるを得ませんでした。



この記事でふれた、大阪・中之島公園に建設予定の子ども向け図書施設、「大阪市こども本の森」の完成予想図が公開されたことを報じる記事です。



記事によれば、完成予想図による館内の様子は、こんなふうになっているそうです。《内部は壁一面を本棚とし、絵表紙が見えるように本を配置。色とりどりのモザイク模様が浮かび上がるような空間にして子供の感性や芸術性を養う》。


《子供の感性や芸術性を養う》のはいいですが、そのような抽象的な思いを、どのような本をどんなふうに並べることで実現するのか、がこのような施設では問われるのだろうと思います。


その意味で、この完成予想図にあるような、《色とりどりのモザイク模様が浮かび上がるような》「かっこいい」棚は、この施設の本来の目的にかなったもの、本来の対象読者に正対したものになっているでしょうか。本、とくに子ども向けの本に仕事で関わるみなさんにとって、どんなふうに見えるでしょうか。


子どもの背をはるかに超える高い位置にある本は、どのようにして子どもたちが手にとることが想定されているんでしょうか。まさか、小さな子どもにはしごを使わせるとは考えにくいし、子どもが見たい本があるたびにスタッフの大人を呼ぶ、というのも運用上、現実的とは思えません。


ツタヤ図書館の一部でも、子ども(どころか大人でさえ)の手が届かない高さの棚に子どもの本が配置されていることについて、批判の声が上がったことがありました。そのような図書館デザインの問題は、いくつものメディアで報道されています。このような施設をつくるにあたって、そういう直近過去の類似施設の事例、とくに専門家の意見や利用者の声などは、まったく考慮されていないということでしょうか。


この記事の少し前に、同じ日本経済新聞に、こんな記事が載りました。



この記事でふれた、名古屋・千種で、45年の長きにわたり、子どもたちにたくさんの本を届けてきた児童書専門店の名店、メルヘンハウスの閉店を報じる記事です。


記事に、こんなくだりがあります。《こだわりは「子供が主役の空間」。背の低い本棚には約3万冊が並び、手に取りやすいようラッピングも外したため、「図書館と勘違いする子もいた」と三輪さん》。


ほんとうに《子供が主役の空間》をつくろうと思ったら、《背の低い本棚》になるのです。そして、そのうえで、お店の人たちはどうしたら子どもたちが本を手に取りやすいかを真剣に考えますから、そのためによし、となれば、帯など(記事で「ラッピング」と表現されているものの1つ)を、もしかしたらつけたままのほうがお客さんの目を引くかもしれないし、内容もわかりやすく伝えてくれるかもしれないということがあっても、あえて、はずしたりもするわけです。


「こども本の森 中之島(仮称)」が、本当の意味で《子供が主役の空間》になることを願わずにはいられません。


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