空犬通信

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映画『メッセージ』……SFオールタイムベスト短編「あなたの人生の物語」が映画化

大好きな作品が映画化……楽しみだけど、不安もありますよね。



チケット メッセージチラシ あなたの人生の物語

↑チケットとチラシ。原作短編収録の文庫にはさんでとっておこうと折ってしまったので、チラシには折り目がついてます。


映画化にあたってタイトルが変わっていますが、テッド・チャンの名作短編「あなたの人生の物語」を原作にした作品です。5/19に公開。



なんといっても、原作は「オールタイム・ベストSF」の1位にも選ばれている大傑作。個人的にも大好きな作品で、何度も何度も何度も読み返しています。こういう特別な作品の場合、映画化は、楽しみだけど不安もけっこうありますよね……。


で、早速観てきました。結論から言うと、原作のファンの方は、観にいくといいと思います。っていうか、必ず観てください。原作を読んだことがない方も、SF映画が好きなら、ぜひ観てほしいし、さらに言えば、SF映画ってなあ……という方にも観てほしいです。


書影 あなたの人生の物語1書影 あなたの人生の物語2

↑原作短編が収録されたテッド・チャン『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫)と、原書『Stories OF Your Life: And Others』。


以前からのSF読みには『あなたの人生の物語』と言えばこのカバーですが、現在店頭に並んでいるハヤカワ文庫はタイトルはそのままだけど、カバーが映画のスチルに変わり、帯に大きく『メッセージ』と入ったものになっているようです。それはそれでいいと思いますが、何度も何度も手にしてきた読者としては、やはり元のカバーに愛着があるんですよねえ。これしかイメージできないくらい、作品と一緒に刷り込まれています。原書も、映画化に合わせて、タイトル・装画を映画に合わせたペーパーバックが出ているようです。


原作の「あなたの人生の物語」は、心に深く残る本当にすばらしい作品なので、もし映画化を機に興味をもたれた未読の方がいたら、映画を観る観ないにかかわらず、ぜひ一読をすすめたいです。


原作は、短編で、しかもエイリアンとの派手なバトルとか、新型兵器とか、そういったものは一切出てこない、静かな物語です。映画化にあたって、多少、盛り上げや見せ場が必要だとの判断もあったのでしょう。原作にはない事件や展開が用意されています。ただ、そのために完全な別作品になってしまっている、というわけではなく、作品全体を貫くトーンというか雰囲気のようなものが原作からそんなに離れているわけではありません。丁寧な映画化がされているように感じました。


原作を読んでいる人が、映画化で気になるのは、「ルッキンググラス」(映画ではこの用語自体は出てこず、エイリアンの乗り物が「シェル」と呼ばれている)と「ヘプタポッド」(映画でも同じ)がどのように描かれているのか、でしょう。


いろいろな意見があるだろうとは思いますが、ぼくはいずれも説得力のある描かれ方だと感じました。ファーストコンタクトものはここがダメだと、一気にお笑いレベルになっちゃったりしますからね。(過去の例だと『サ●ン』とか;苦笑)


主人公のルイーズと相方のゲーリー(映画ではイアン)を演じるのは、エイミー・アダムズとジェレミー・レナー。いずれも派手なところのない堅実な演技の役者で、原作のイメージをこわされると感じる原作愛読者は(ゼロではないでしょうが、少なくとも)多くはいないだろうと思わせる好演でした。


監督は、ドゥニ・ヴィルヌーヴ。そう、『ブレードランナー 2049』の監督です。こんな重要なSF映画を続けて手がけることになるなんて、すごいことですよね。SF映画好きにとっては要チェックの名前になりました。


ジャケ メッセージ

↑主題曲・劇伴も印象的だったので、サントラも買ってしまいました。スコアを手がけたのはヨハン・ヨハンソン。


このサントラは、ヨハン・ヨハンソンのみを収録したもので、最初と最後に流れる曲「On the Nature of Daylight」は収録されていません。こちらは、マックス・リヒターの楽曲で、この映画のための曲ではなく、あくまで「引用」で使われているものだからなんだとか(そのために、アカデミー賞の作曲部門で選考作品から除外されたりしているようです)


サントラはサントラでいいとして、きわめて印象的な使われ方をしているため、観る人の多くの記憶に映画の印象とともに深く刻みこまれたであろう、この曲がないのもさびしい話なので、マックス・リヒターの「On the Nature of Daylight」も別に買わないといけませんね(苦笑)。アルバムでいうと、『The Blue Notebooks』に収録されているほか、『On The Nature Of Daylight - Music From The Film Arrival』というアナログも出ているようです。後者は、オリジナルとフル・ストリング・オーケストラ版2曲を収録した12インチシングルで重量盤。アナログ好きとしては後者が気になるけれど、2曲のためにこの値段を出すかは迷うところですね……。


ジャケ The Blue Notebook

↑結局、CDを買いました。CDにもオリジナルだけでなく、ボーナストラックとしてフル・ストリング・オーケストラ版が収録されていました。


ところで。今年って、よく考えたら、SF映画的には大変に盛りだくさんな1年になってますよね。『エイリアン』『ブレードランナー』『スター・ウォーズ』というSF映画史に残るメルクマールの「新作」がありますし(念のため、それぞれ『エイリアン:コヴェナント』『ブレードランナー 2049』『スター・ウォーズ / 最後のジェダイ』)、『攻殻機動隊』ハリウッド実写版もありました(個人的にはうーんでしたが……)。これらのSF映画とはちょっと違いますが、この春には『キングコング』の新作『キングコング 髑髏島の巨神』もありました。そして、今回のSF短編部門のオールタイムベスト作品の映画化。いやはや。2017年はSF映画の当たり年として、後々語り継がれる、なんてことになるかもしれませんね。


チラシ エイリアン:コヴェナント
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