空犬通信

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小さな美しい本たち……『小辞譚』『辺境図書館』

小ぶりな本が好みです。判型で言うと、四六判・B6判よりもひとまわり小さい小B6判など。ハードカバーやフランス装、函入りだったりするとさらにうれしいですね。


最近続けて、好みのサイズ、好みのつくりの本を手にしたので、2冊、紹介したいと思います。



書影 小辞書譚書影 辺境図書館



まずは『小辞譚』。テーマアンソロジーというのはいろいろありますが、辞書をテーマにしたエッセイではなく、フィクションというのはめずらしいかもしれませんね。


版元の内容紹介を引きます。《どこの家庭にでも一冊はあるような、なんの変哲もない辞書を題材とした掌編小説集。膨大な言葉の集積である辞書が織りなすさまざまな物語からは、積み重なった言葉と時間の重さと切なさがストレートに伝わってくるはず》。


つくりも寄稿・連載の執筆陣も豪華な、辞書・教科書が主の出版社らしからぬ(もちろん、いい意味で、です)読みでのあるPR誌として、辞書好き以外にもファンが多かったという大修館書店の『辞書のほん』。同誌は残念ながら2015年に休刊となってしまいましたが、本書は同誌の連載をまとめたもので、連載9作に書き下ろしを加えた10作が収録されています。


目次に名を連ねる書き手は、加藤ジャンプ、木村衣有子、小林紀晴、小林恭二、澤西祐典、三遊亭白鳥、中川大地、藤谷文子、藤谷治、文月悠光のみなさん。この書き手を見るだけでも、『辞書のほん』が、辞書出版社のPR誌といってふつう想像されるような内容をらくらくと超えていることが想像できますね。


ぼくも同誌の愛読者の一人だったので、収録作のほとんどは『辞書のほん』掲載時に読んでいますが、あらためて通しで読みたいと思います。


もう1冊、『辺境図書館』も連載をまとめたもので、こちらは講談社の『IN★POCKET』。版元の内容紹介には《小説の女王・皆川博子が耽溺した、完全保存版ブックガイド》とあります。さらに「辺境図書館・司書」のことばとして、こんなリードも挙げられています。《この辺境図書館には、皆川博子館長が蒐集してきた名作・稀覯本が収められている。知らない、読んだことがない、見つからない――。そんなことはどうでもよろしい。読みたければ、世界をくまなく歩き、発見されたし。運良く手に入れられたら、未知の歓びを得られるだろう》。


取り上げられている作品・作家がこれまた気になるものばかり。ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』、アンナ・カヴァン『氷』、スティーヴ・エリクソン『黒い時計の旅』、カースン・マッカラーズ『心は孤独な狩人』などなど。目次を見るだけでわくわくさせられます。書き下ろし短編「水族図書館」も収録されています。気になるタイトルですよね。


帯に《最期の日まで、本に溺れる。》とあります。そうだったらいいなあ、そうできたらいいなあ、と、そんなふうに思わずにはいられません。


2書に共通するのは、どちらも、内容もさることながら、装丁・造本が店頭で目を引く、なかなかにすてきなものになっていること。どちらも、手に収まりのいい小ぶりできれいな本で、手元に置きたくなりますね。とくに、『辺境図書館』のほうはいいなあ。と思って、装丁家の名前を見てみたら、皆川博子作品を多く手がけている柳川貴代さん。納得です。


最近アナログレコードにふれるブログ記事を書いたりツイートしたりする機会が多いんですが、このところのアナログレコードの復権を見ていると、モノとしての存在感のあるものは、そんなに簡単に支持を失うことはないのだろうなあ、ということをあらためて感じます。


本の世界も同じで、(これまでももちろんそうだったわけですが)これからは、「手元に長く置きたくなる」「モノとして愛でたくなる」というのが紙の本の要素として、これまで以上に重要になっていくのだろうなあと、2冊の美しい本を手にしながら、そんなことを思ったのでした。


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