空犬通信

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アラン・ホールズワースのこと その2……雑誌や本など【更新】

アラン・ホールズワース関連の音楽作品はそれなりの数になりますが、書誌関連はそんなに多くはありません。主なものを紹介してみます。


アラン・ホールズワースで1冊となれば、まずはこれをおさえておきたいですね。



書影 アラン・ホールズワース レジェンダリーギタリスト

「特集」とありますが、本シリーズは一冊まるごと特集のムックシリーズなので、全編アラン関連の記事になっています。


演奏シーンのグラビア、機材解説、過去の『ヤング・ギター』誌に掲載されたものの再録を含む本人+関係者のインタビュー、ディスコグラフィ、バイオグラフィ、奏法解説、ギタースコアと、全方位をばっちりかためた内容で、現時点ではアラン・ホールズワース関連の本としては間違いなく最高峰で、ファン必携の1冊でしょう。


ディスコグラフィはセッションワークを含む詳細なもので、おおかたはおさえているつもりでいたぼくも、この本で初めて知った盤がいくつもあり、チェック漏れをつぶすのに大いに助かりました。


  • 『ジャズギター・ブック』Vol.15(シンコーミュージック)

書影 ジャズギターブック15

特集は「ジャズ・フュージョンの技巧派の逆襲」で、表紙に登場していることからもわかるように、アラン・ホールズワースが大きく扱われています。先に紹介したムックはシンコー系雑誌の記事が再録されていて、この特集からも収録されていますが、この特集にしか載っていない記事もあったりするので、こちらはこちらでおさえておかなければいけないという、ファン泣かせの1冊です。


いつでも買えるぐらいに油断していたら、気がつくとあまり見かけなくなり、たまに見かけるとけっこうな値段がという事態に。結局、定価以上の値段で買う羽目になりました。アランファンは早めに探したほうがいいかも。



書影 Just for curious

この表紙、なつかしく思い出すギター弾きも多いのではないでしょうか。アラン・ホールズワースによる教則ビデオを書籍化したものです。


アラン・ホールズワースの教則ビデオって、もうそれだけで語義矛盾的な響きが伴いますね。F1レーサーが運転教則ビデオを出すみたいな。伝説の剣士が中高生向け剣道教則ビデオを出すような。比喩が比喩になっていませんが、それぐらい、元のビデオは、まったく「教則」的な内容になっていない(ダメな意味ではなく、常人にはすごすぎて、という意味で)ことでも知られる伝説のビデオです。ぼくが初めて入手したのはVHSビデオでしたが(けっこうな値段でした……)、輸入ビデオに日本語字幕と解説別紙がついていたような記憶があります。


内容はまあ想像できますよね。人間離れすぎて、一般的なギター弾きにはまったく到達不可能なレベルの演奏が、アランのイギリス英語の解説付きで披露されています。手の内を明らかにしすぎたと、後で本人が後悔したという話がまことしやかに語り継がれているほどで、プレイのほうは手抜きゼロ。教則ビデオなのにずっとため息が出っぱなしという、ある意味、ファンの度量を試される、ものすごいビデオ教材になっています。


なお、本書に同梱されているのはCDで、映像は入っていませんのでご注意を。映像のほうも安価なDVDで入手できるようですね。



書影 Reaching for the uncommon chords

がばっと開いた指が写る表紙の写真、そしてこのタイトル。実にアラン・ホールズワース的な1冊になっています。


タイトルだけ見ると、アランお得意の「普通じゃない(Uncommon)コード(和音)」の解説書に見えますが、本書の大半を占めるのは代表曲のTAB譜(通しではなく部分のものが多い)で、それに解説がついています。巻頭巻末に、プライベートショットを含むバイオグラフィ、ディスコグラフィ、機材解説などの資料ページもついています。



書影 Melody chords

先のものはコード論といいうよりは楽曲集でしたが、こちらはアランの独特すぎるコード理論、スケール理論の解説本。まえがきに「この本の目的は、コードを学ぶ簡単なメソッド(simpilified method)をギタリストに提供することだ」とありますが、本文が始まって最初のページに、すでに平均的なサイズの手の持ち主にはおさえるのがきわめてつらそうなコードフォームが出てきます。アランさん、この内容でsimplifiedって……(苦笑)。神の頭の中ははかりしれません。


以降、海外の奏法解説書にはよくある、ギターの指板を縦に配置したコードダイアグラム(日本の楽譜・教則本ではコード譜は指板を横に配置し、上に1弦、下に6弦がくるように表示されるのがふつう)で、コードとスケール、ポジショニングの話が延々と続きます。ぜひ解読してみたいと思うものの、買ってもう何年にもなりますが、まったく歯が立ちません。この本も、ある意味、アランファンとしての度量を試される1冊になっています。


以上3冊はすべて英語です。日本語では出てないの?って話ですが、ギタースコアとしてはこちらがありますね。


  • 『アラン・ホールズワース・ベスト』(全音楽譜出版社)
  • 『スペシャル・ギタリスト アラン・ホールズワース』(シンコーミュージック)

書影 アラン・ホールズワース楽譜

現在、手元にあるのは後者のみ。前者も所有していたんですが、1曲も弾けないスコア集を持っていてもなあ、とあるとき手放してしまい、その後、長く後悔することになりました(泣)。中古で見かける機会自体少ないし、これまで何度かヤフオクや古書店で見かけたときは、ものすごい値段になっていました……。


後者は1994年刊。以降は、ぼくの知るかぎり、上に紹介したような雑誌・ムックの一部にスコアが掲載されることはあっても、単独で1冊にまとめられたものは出ていないようです。まあ、ふつうの人は弾けませんから、ニーズがね……。


後者はUK、BRUFORD時代からソロ(Wardenclyffe Tower)までの代表曲9曲を収録。とてもではないですが、ぼくの腕ではまったく歯が立たない曲ばかりなので、コピー演奏に使うというよりは、楽曲を聴きながら参照し、こんなふうに弾いているのか、などとコードやポジション分析の参考にするという感じの読み方をしています。


この他、未見ですが、洋書ではこのような奏法解説本も出ているようです。


  • Graham Tippett『How to Play Like Allan Holdsworth: A Guitarist's Guide』

わずか59ページの本で、「Play Like Allan Holdsworth」を指南しようだなんて、神を、そして我々ファンをなめてんのか、という気がしないでもありません(苦笑)。この著者、どこまで本気なんでしょうか……。ものすごく不遜な本か、下手したら奇書の類ではないかと、妙に興味を引かれてしまいました。入手したいと思いますので、おもしろいものだったら、別の機会に紹介したいと思います。



追記(4/25):本文で最後に紹介したアラン・ホールズワースの奏法解説本、個人出版物だし、中身が大変不安になるような分量だったので迷いましたが、結局、購入しました。……で、予想通り、がっかりな本でした(苦笑)。アラン・ホールズワースの奏法を、わずか60ページで云々できるはずがないってことですよね……。


書影 How To ...AHページ How To ...AH

本文はワープロで組んだようなテイストで、前半20ページほどがスケールとコードの解説にあてられていますが、一般的な話ばかりで、特定の楽曲に寄せた解説は一切なし。というか、本文にぜんぜんアランの曲名が出てこないのです。もちろん、譜例もなし。さらにひどいのは後半で、27ページ以降は、写真のようなスケールのダイアグラムが、何のコメントもなしに延々と30ページほどにわたって、ただただ掲載されているだけ。


この内容で、この書名をつけて、しかも日本円で千数百円の値段をつけて、商品として売るとは……。ちょっと強い言い方になりますが、詐欺に近い内容の本だとしか思えません。(本の紹介ページへのリンクもはずしました。)とてもではないですが、アラン・ホールズワースの音楽を愛する人がつくったものとは思えません。アラン・ホールズワースの音楽をこよなく愛する一人として、こんな本の売上に貢献してしまったことを強く後悔しています……(書名に勝手に名前を使っているだけで、もちろん売上の一部が遺族にいったりすることはまずないでしょうし;涙)


アラン・ホールズワースの音楽を愛するファンのみなさんは、本書には手を出されないことを強くおすすめします。アランのコード理論、スケール理論については、本文で紹介している本人の著書、『Melody Chords For Guitar』をぜひご覧ください。



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