空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

「音で読む」、本の楽しみ

本はもちろん「読む」ものなんですが、「聴く」のもけっこういいんですよね。「声に出して読む」なんたらみたいな本はなんだかうさんくさくてあんまり好きではないのですが、好きな作品が作家本人や、すぐれた朗読者(たとえば、この前取り上げた岸田今日子さんのような俳優)によって読まれるのを聴くと、目で読むのとがらりと印象が変わったり、新たな発見があったりなど、黙読とは違う魅力に出会えることがあります。そういえば、昨年、このブログでも報告した多和田葉子さんの朗読、ほんとによかったなあ、などと思い出したりします。



朗読っていいよね、という話を、知り合いの書店員Kさんとたまたましていたら、こんなすごい作品集があるのを教えてもらいました。



幻想文学名作選

くわしい内容はサイトを見ていただくとして、どうですか、これ。すばらしいではないですか。作品のセレクトといい、朗読者のメンツといい、ものすごーく惹かれます。ぜひ聞いてみたいところだけれど……うーん、21,000円かあ……。即買いはちょっとためらわれる値段です。CD10枚組で、解説書付き、立派な収納箱に収められているようですから、内容や造りからすれば“高い”わけではないんでしょうが、庶民にはやっぱり高いです。でも、聞いてみたいなあ、これ。


朗読といえば、こんなフリペが出ていますね。


東京リーディング・プレス


『TOKYO READING PRESS』。紙名の冠「朗読と街歩き」の通り、「朗読会や講演会の情報満載のフリーペーパー」です。手元の2006年12月~2007年1月号は、賢治の朗読をライフワークとしているという、声優の桑島法子さんが大きく取り上げられています。まさに「音で読む」に興味のある方向けの情報が満載ですので、ぜひ書店で探してみてください。


日本語の朗読作品は手元にないのですが、英語のものなら語学教材的な興味で買ったものや、好きな作家の朗読ものをいくつか持っています。たとえば、ジョン・アーヴィングの代表作『ガープの世界』(The World According to Garp)の作品内作品、短編「ペンション・グリルパルツァー」(The Pension Grillparzer)を本人が朗読しているカセットブック、ブコウスキーが酔っぱらいながら、客をいじり客にいじられしながらダミ声で詩を吟じまくる詩の朗読会のライヴCDなんかはお気に入りで、たまに思い出したように聴きたくなります。最近では、『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』のオースターの朗読もなかなか印象的でした。



よく言われる「アメリカは車社会なので通勤本の代わりに音で本を聴く人が多い」がほんとなのかどうかは知りませんが、時間にするとけっこうな長さになるクリントンの自伝や、それこそ聖書とかの大部のセットがふつうに売れたりすると聞きますから、朗読カセット&CDというのが特別な趣味ではなく、まさに日本の通勤読書に相当する“文化”として根付いているのでしょう。たしかに、Amazon.comで、朗読CDのジャンルをのぞくとその充実ぶりはすごいですからね。一部のマニア相手なら、この数、このセレクションにはとうていならないでしょう。


ところで、先日、村上訳の『ギャッツビー』を紹介しましたが、村上春樹によればその原文は、洗練された、きわめて美しい英語だそうですから(自分でも読んでいますが、村上のような英語力のあろうはずもない非ネイティブの空犬には、洗練の度合いまではさすがにわかりません……)、ならばその美しい“調べ”を、たとえば、こんなCDで聴いてみたくなります(朗読者はティム・ロビンズ)。



車社会のアメリカと違って、朗読ものはなかなか商品として根付かないと言われてきた日本ですが、これだけPodcastAudiobookが普及して当たり前になってくると、この「音で読む」式の読書のハードルも低くなって、本を読む際の選択肢として案外ごくふつうのものになるのかもしれません。本の楽しみ方が増えるのだとすればそれはそれでいいですが、そのために紙の本から離れてしまう人が増えることになったりしないことを、本好きとしては強く望みたいと思います。


◆今日のBGM◆

  • OST『The Postman』


タイトルはイタリア語原題"Il Postino"の英訳で、映画『イル・ポスティーノ』のサウンドトラックです。ピアノで、バンドネオンで、ギターでと、いろいろなかたちで変奏されるメインテーマが印象的で、サントラとしても楽しめる1枚なのですが、なによりもこのサントラを特別なものにしているのは、映画本編には使われていない詩の朗読が10数本も収録されていること。


スティング、マドンア、ジュリア・ロバーツ、イーサン・ホーク、サミュエル・L・ジャクソン、アンディ・ガルシア、ウィレム・デフォー他といった、よく集めたなという感じの大物ミュージシャン&俳優がパブロ・ネルーダの詩を朗読しています。なお、ネルーダはチリの詩人ですが、このCDの朗読は英語です


もちろん、ナポリの美しい風景とセンチメンタルな物語が印象的な映画本編もすばらしいので、未見の方はサントラと合わせてぜひ。


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コメント

あ!
トウキョーリーディングプレスじゃないですか!?
それはぼくの知り合いの人達が西荻の元祖ブックカフェ「ハートランド」で製作しているフリペでございますよ!!
次号は要要チェックでお願いします。
2月11日に男子4人の朗読集団「今村製作所」としてライブがありまして、その告知が載るはずなんです。
リーディングプレスの前身「ポエトリーカレンダートウキョー」のバックナンバーをひもとくとちょくちょく自分の名前があったりして、以前はやたらに朗読ライブしてたな~
とおもうわけです。

  • 2007/01/18(木) 23:08:56 |
  • URL |
  • はなもと #-
  • [ 編集 ]

知らなかった

ああ、ハートランド発、でしたか。それは知らなかった。朗読、ってことでご存じだろうなあとは思ってましたが、ご存じも何も、関係者みたいなものですね。

次号、チェックします。

  • 2007/01/21(日) 21:47:51 |
  • URL |
  • 空犬 #-
  • [ 編集 ]

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