空犬通信

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ゴジラ幻論、ゴジラアート、怪獣アート……気になる怪獣本が次々と

次から次に気になる本が出るもので、怪獣好きは大変です。怪獣たちの「異形」ぶり、フォルムのおもしろさを伝えてくれるこんな本たちが続けて出ました。



書影 ゴジラ幻論書影 アートオブ書影 ウルトラ加重アートワークス

『ゴジラ幻論』は、版元の内容紹介によれば、《従来の生物学の知見では単純に説明することのできない生態、形態、発生プロセスの謎に、進化発生学者が挑む》というもの。ゴジラを小難しく語られると引いてしまうけれど、これはおもしろそうだなあ。装丁もゴジラっぽい感じです。


中を開くと、こんな感じの文章が頻出します。《比較形態学的に胸鎖乳突筋は、いわゆる「僧帽筋群」と呼ばれるものの一つであり、哺乳類における胸鎖乳突筋と僧帽筋を合わせたものが、爬虫類その他の脊椎動物における単一の筋肉、「僧帽筋」と相同であるとされる》。こういう部分だけ読むと怪獣本とは思えない感じですが、これがきちんと怪獣本になっているから、ちゃんとゴジラの話と結びついているから、おもしろい。工作舎らしい1冊だなと思いました。


著者の倉谷滋さんは、同じ工作舎の『分節幻想 動物のボディプランの起源をめぐる科学思想史』の方ですね。これ、ものすごく好みっぽいテーマの本で、店頭で見かけて以来ずっと気になっていたんですが、値が張る(9000円+税)のと900頁超(!)の大著というので、当方のような素人には歯が立たない予感が濃厚にして、手が出せずにいた1冊。でも、『ゴジラ幻論』を手にしたら、ますます気になってしまった。悩ましい。


書影 工作舎 目録

↑工作舎といえば、かっこいい図書目録も入手したのでした。以前blogに書いたこともあるけれど、大好きな出版社の1つなのです。


なお、本稿を書き上げた後に気づいたものですが、円城塔さんによる書評が朝日新聞に出ましたので、そちらもぜひご覧ください。「書評:ゴジラ幻論―日本産怪獣類の一般と個別の博物誌」(3/19 朝日新聞)


ゴジラと言えば、そして値が張ると言えば、『ジ・アート・オブ シン・ゴジラ』がありました。即買いはためらわれる値段だったので、けっこう迷いましたが、自分へのクリスマスプレゼントだと思って(昨年のそれぐらいの時期だったので)えいやと買ってしまいました。


特筆すべきはその造本、外観。ずっしりとした重み、大きさは圧巻です。特撮マニアなら、竹書房の『ウルトラマン・クロニクル』クラスだと言えば、そのボリューム感が伝わるでしょうか。こちらはしっかりした箱入りで、本体も布クロス装と造本も豪華。


造本だけでなく、もちろん中身のほうもすごい。初期デザインから完成版まで、あのゴジラがどのような過程を経てあのような形態になったのかを詳細に見せてくれます。怪獣映画メイキング本としては、特撮関連本の歴史に残る1冊になることでしょう。


鶴田謙二さん(大ファンです)のポスターがついているのもうれしいところ(事前に知らなくて、開封して初めて目にしたので、おおーっ、と独りで盛り上がってしまいました)。貼れないけどね(苦笑)


造本といい、内容の濃さといい、付録といい、もう大満足。時間をかけてじっくり読んでいるので、まだ通読できていませんが、買って大正解の1冊でした。


『ウルトラ怪獣アートワークス1971−1980』は、このような内容の1冊。《円谷プロダクションに現存する「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンA」「ウルトラマンタロウ」「ウルトラマンレオ」「ウルトラマン80」のために描かれた怪獣、メカや基地、ウルトラヒーローなどのデザイン画やラフ、イメージイラストなど、アートワークのすべてを収録》。


《ウルトラマンシリーズ製作の裏側まで覗ける怪獣誕生までの画稿資料集》ということで、ものによっては稚拙な感じに見えなくもないアイディア画がかえっていい味を出していて、写真中心の怪獣図鑑とは違った魅力を放っています。完成体と見比べたりするのもおもしろいのですが、何より、ただただ眺めているだけで幸せな気分になれます。昭和ウルトラ世代には大変にうれしい1冊だろうと思います。


ところで。大阪で隆祥館書店の二村さんを囲む会が開かれた際にSF作家の牧野修さんにお会いしたことは以前に記事でご報告したことがありましたが、その際に牧野さんと「異形」についての話で盛り上がってしまったことがありました(日本SF大賞作家相手に、怪獣いいよね!異形最高だよね!という話ばっかりしていたわけで、思い返すに特異に過ぎる体験でした;笑)。ぼくが怪獣や巨大生物が好きなのは「異な形のもの」に惹かれるからなんだろうなあなどとあらためて思うのです(牧野さんもまったく同じ趣向の持ち主でした)


先の『ジ・アート・オブ シン・ゴジラ』や、この『ウルトラ怪獣アートワークス1971-1980』を眺めていると、造り手たちが、どのように怪獣の「形」にこだわったのかが伝わってきて、わくわくさせられます。最初にふれた『ゴジラ幻論』も、生物の形態をまじめに論じた1冊でしたね。


というわけで、今回の3冊は、怪獣の、とくに姿かたち、フォルム、その異形ぶりに惹かれる人たちには強くおすすめしたいと思います。


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