先日、家族で食事しながら、今年よかった本・印象に残った本をお互いに上げあったんですが、そんなふうに、本の話ができる相手がいると、自分がこの1年、どんな本を読んできたのか、何を読み逃したのかを振り返るいいきっかけになりますね。
自分の覚えも兼ねて、今年出会ったたくさんの本のなかから印象に残った本をざっとあげてみたいと思います(単独記事で紹介したものはのぞきます)。以前は、読んだ本の書誌情報を記録していたので、年末に、その年に読んだ本を振り返るのは簡単だったんですが、記録をやめてしまったので、読了本のリストアップができなくなってしまいました。ですので、以下は、自分のブログやツイッターを参考にしながら、大ざっぱに振り返っただけのもので、漏れがたくさんあるかもしれません。
SF、翻訳ものでは、アン・レッキーの〈叛逆航路三部作〉(創元SF文庫)、ピーター・トライアス『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』上下(ハヤカワ文庫)など、日本のものでは、飛浩隆『自生の夢』(河出書房新社)が印象に残っています。梶尾真治『うたかたエマノン』で既刊はすべて徳間文庫に入りましたね。
SF以外の小説はそんなに読めていないのですが(それを言えば、SFも大して読めてはいないのですが……)、新刊が出ると必ず買ってしまう書き手で言うと、たとえば、『最悪の将軍』『残り者』『落陽』と、すごいペースで新刊が出ている朝井まかてさん。とくに、北斎の娘を描いた『眩』(新潮社)はおもしろく読みました。木内昇さんは大作『光炎の人』上下(KADOKAWA)がありましたが、『よこまち余話』(中央公論新社)のほうが強く印象に残っています。
デビューのころから愛読している保坂和志さんの新作短編集『地鳴き、小鳥みたいな』(講談社)は、流し読みを許さない独特の文章で、本に向き合っている間は、濃厚な読書時間となりました。
今年は、シャーリィ・ジャクスンの「新刊」が続き、昔からの読者を喜ばせてくれましたね。国書刊行会〈ドーキー・アーカイヴ〉の『鳥の巣』、文遊社からは『日時計』が出たほか、文庫では 『処刑人』 が創元推理文庫から刊行、『くじ』がハヤカワ・ミステリ文庫入り。
シャーリィ・ジャクスンの文庫に解説を寄せていた流れで深緑野分さんの『オーブランの庭』(創元推理文庫)を読んでみたら、これがシャーリィ・ジャクスンや、皆川博子の『少女外道』などを思わせるダークな少女もので、思いがけない出会いとなりました。
ほかには、ご本人にお会いしてから御本を読むことにな(り、さらにはイベントまでご一緒することにな)った増山実さんの『勇者たちへの伝言』『空の走者たち』(ハルキ文庫)も心に残る作品でした。前者は大阪ほんま本大賞受賞作です。
買った本はたくさんあるのに、ちゃんと読めていないものだから、こうしてまとめるとなんだか、ものすごく偏った読書になっているなあ(苦笑)。
特撮については、別記事でまとめましたので、飛ばします。ノンフィクション、野鳥本、音楽本、コミックなどは稿をあらためます。