しばらく前に、神保町の新刊書店、岩波ブックセンターの閉店について書いたばかりだというのに、またしても神保町の書店関連で、悲しいニュースが飛び込んできました。児童書の専門店、ブックハウス神保町が来年の2月に閉店になるそうです。


↑お店の外観。昨日12/28の様子で、水曜日のため定休でした。店頭に貼り紙が出ています。
同店のサイトにも「閉店のお知らせ」が出ています。《ブックハウス神保町は2005年の開店から11年間に渡り、児童書専門店として皆さまにご愛顧いただいて参りましたが、諸般の事情により2017年2月20日(月)をもちまして閉店させていただくことになりました》。
ブックハウス神保町は、子どもにとってはもちろん、大人にとっても居心地の空間で、買い物が楽しくなるような、そんなお店でした。本屋さんを紹介するムック『本屋はおもしろい』(洋泉社、2014)で同店を取り上げた際、ぼくはこんなふうに書きました。《居心地がいい。だから、ついつい長居してしまう。神保町のオアシス、そんなふうに呼びたくなるお店である》。
店内中央にリーディングスペースを広くとっているため(読み聞かせなどのイベントは、この場所を使って行われています)、お店のサイズの割に書棚が少ないという意見も見かけたことがありますが、ここをぎっしりと棚で埋めなかったからこそ、店内の見通しがよく、小さな子どもたちにとっても圧迫感のない、居心地のいい空間が生まれたのではないかなあと、そんなふうに思います。
それにしても……。
岩波ブックセンターも、ブックハウス神保町も、どちらも神保町を(ということは、出版界を、日本を、といっていいかもしれない)代表する出版社が関わっていた店*だというのに、そのようなお店が、本の街、神保町で経営を維持していけないとは……。
(*岩波ブックセンターは設立当初は岩波書店が関わっていたようですが、倒産時の経営母体である信山社は岩波書店とは資本関係はなし。ブックハウス神保町を運営する昭和図書は小学館の関連会社で、一ツ橋グループの物流会社。)
ブックハウス神保町は、読み聞かせなどの店内イベントにもとても熱心に取り組んできました。店内奥のギャラリーでは絵本の原画展が常時開催されています。本を売ることはもちろん、絵本・児童書の魅力を広く伝えていくこと自体にとても熱心なお店なのです。店長の荒木さんには、かつて、西荻窪beco cafeで開催していたトークイベントでお話をうかがったことがありますが、そのようなお店で腕をふるってきた方の話はやっぱりおもしろくて、示唆に富んでいて、2次会も含めて、とても楽しい会になったのを思い出しました。
ブックハウス神保町については、そのトークイベントの直前にお店を取材、写真入りで紹介したことがありますので、よろしければこちらもご覧ください。1年版ほど前の記事ですが、同店がいかにすてきなお店であるかが今でも充分に伝わるものになっているかと思いますので。
でも、やっぱり実際のお店の様子を見ていただくのがいちばんですからね。まだの人も利用したこともある人も、あらためて、「神保町のオアシス」、ブックハウス神保町にぜひお出かけください。

↑同店のオリジナルトート。閉店までに同店に行くチャンスがないという人もいるかもしれないので、何枚かまとめ買いしてしまいました。
追記:なお、ブックハウス神保町について、現在とはかたちを変えて継続(再開?)するという情報もあるようで、当方も断片的な情報は聞いていますが、確定情報なのかどうかわかりませんので、現時点ではふれずにおきます。くわしいことがわかりましたら、あらためて報告したいと思います。