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空犬通信

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蔦屋書店熊本三年坂、橙書店他……熊本書店レポート その2

熊本で訪ねてきた本屋さんのレポート、続きです。



地震のためではなく、もともと予定されていたリニューアルが地震のために延期、6/10にリニューアルオープンとなった蔦屋書店熊本三年坂。


161126 蔦屋三年坂 外観161126 蔦屋三年坂 外観2パンフレット 蔦屋書店熊本三年坂

これまで、ほかの蔦屋書店とはひと味違うと、県外の本好きや業界関係者にも評価が高く支持も厚かった同店。今回のリニューアルでお店の雰囲気はかなり変わりましたね。今回のリニューアルがどのようなもので、どこがどう変わったかはこちらの記事にくわしいので、ご覧ください。「「蔦屋書店 熊本三年坂」が6月10日リニューアルオープン。熊本文化を発信する新しい書店を徹底レポート」(6/10 T-SITE LIFESTYLE)


161126 蔦屋三年坂 看板

↑正面入り口(上の写真)の反対側には、今回のリニューアルで新しく始まったコミックレンタルと、新たに入ったストア、@cosme storeの大きな案内が。


個人的には、2階の児童書売り場が、他の書籍売場からちょっと孤立したような感じになってしまっているのが気になりました。適度な閉鎖感のある、居心地の良さそうなスペースになっているだけに、ちょっともったいない気もしますが、この売り場だけを利用される方には気にならないのかもしれませんね。


161126蔦屋熊本三年坂 児童書

↑児童書売り場の入り口壁面には、黒板に手描きの、こんなかわいい売り場案内が出ています。


今回の訪問で驚いたのが同店のフリペ。文芸書の売り場に、ずらりと手書きのフリペが並んでいるのを手にとると、「SF大作戦」とあるではありませんか。ぼくが訪問した時点で8号まで出ていて、バックナンバーがすべて置いてありました。


フリペ SF大作戦1〜8

A4の用紙を4分割、裏表をフルに使った紙面は本の紹介にとどまらないSFネタがぎっしりで、担当者のSF愛があふれています。これはいいなあ。手がけているのは同店の“SF部長”こと三瀬弘泰さん。あちこちでいろいろな本屋フリペを手にしてきましたが、SFに特化した本屋フリペというのは初めて見たかも。SF読みとしてはちょっとうれしくなりますね。


撮影はできませんでしたが、棚のほうでも、このフリペと連動するかのようなSF色の濃いフェア・セレクトが展開されていました。


同店のリニューアルを、何かが失われてしまったかのようだなどとする意見も見聞きしましたが(本屋さんのリニューアルではよくあることではあるのですが)、でも、このようなフリペや棚を見ると、いやいや、そんなふうに決めつけてしまうのは早いかもしれないなあ、などと思います。同店の懐の深さのようなものはまだまだ充分過ぎるほど健在のように感じられたからです。


ぜひ店頭で、このフリペを手にとり、棚をチェックしていただきたいと思いますが、遠くて行けないという方は、ぜひツイッターで、「SF坦_蔦屋書店熊本三年坂」(@3nen_sf )をチェックしてみてください。フリペの発行情報を含むSF情報が読めますし、フリペ「SF大作戦」の雰囲気もわかるかもしれません。



161126三陽書店栄通店

熊本+書店で検索してくると出てくるんですが、なかなか見つけられずにいました。長崎書店の児玉さんのような地元で長い人に聞いても知らなかったぐらいなので「本屋さん」として認知されていないのかもしれません。実際、店頭には「書店」や「本」の看板も出ていなかったりします。店頭に雑誌こそ並んでいますし、奥に本が並んでいるのも見えますが、お菓子やくまもんグッズのほうが目を引くほどですからね。雑誌「も」売っている町の雑貨屋さん、駄菓子屋さんに近い感じなのかもしれません。



熊本パルコの9階にあるお店。今回初めて訪問しました。



161126ブックセンターくまざわ161126ブックセンターくまざわ2

熊本の地元デパート、鶴屋百貨店の東館5階にあるお店です。店頭の表示は「ブックセンターくまざわ書店」で、くまざわ書店の店舗リストでは「bookcenter 熊本店」、検索すると「ツルヤくまざわ書店」などともあったりして、正式な表記がよくわかりませんが、とにかく、くまざわ書店の店舗です。初訪問。規模といい、セレクトといい、百貨店内の書籍売場らしいお店でした。



10月に移転、オープンしたばかりの橙書店。長崎次郎書店のある新町からは市電で2つほど、歩いても10分ほどの距離にあることに地図を見ていたら気づいたので、今回は長崎次郎書店から歩いてみました。


こちらも新しくできたばかりだという肥後銀行の本店の脇の道に飲食店が数軒並ぶ小さな通りがあり、それら飲食店の1つ、壁面のイラストが目を引くバーの上に橙書店はありました。


161126 橙書店 外観161126 橙書店 入り口

↑ビルの外観。通りにもビルの外にも橙書店の看板は出ていませんが、その代わり、入り口がご覧の通り、鮮やかなオレンジに塗られていて、目立ちます。


161126 橙書店 ドア161126 橙書店 階段

↑お店の入り口。階段を上がる途中には、右の写真のような、フライヤーなどを置いてあるスペースも。


以前の店舗は書店部分とカフェ・雑貨部分が半分に分かれて隣接したかっこうになっていましたが、今回のお店はそれらが1つのスペースにまとめられています。


本は移転前同様、かなりセレクトされていて、量的には多くはありません。新刊、古書、ミニコミなどで、雑貨も少し置いてあります。


同店は、作家や業界人など、本のプロから大変な人気のお店ですよね。しばらく前も、こんな記事で取り上げられていました。「村上春樹も訪れた熊本の小さな書店の磁力とは?」(11/18 dot.)。記事の一部を引きます。《橙(だいだい)書店というその店は、取次会社を通さず店主の田尻久子さん(47)が選んだ本だけを並べるというやり方を通している。その大半は、田尻さんが出版社から直接買い取る。大型書店やコンビニで売られている雑誌や自己啓発本は見当たらない代わりに、大切な誰かに本を贈りたいときに相談すると、とびきりの本を選んでくれる》。


《町の小さな書店で本を買うのが楽しみだった本好きの少女が大人になり、経営する喫茶店の隣が空くと、突然書店も始めてしまった。8年前のことだ》。


熊本在住の作家、坂口恭平さんのほか、記事には、同店を愛する作家らの名前がたくさんあがっています。《谷川俊太郎、村上春樹、池澤夏樹、伊藤比呂美、柴田元幸、雑誌「SWITCH」の新井敏記編集長といった、東京で活字表現の前線に立つ人たちが、橙書店で朗読会やトークセッションを開く。わずか数十人に向けて喜々として、自らの作品を朗読し、語り合う》。


そういうお店が本屋と呼ばれる業種のなかにあることはすばらしいことだと思いますし、そのような場所を作り上げた店主、田尻さんはすごい方だと思います。ただ、そういう、いわば玄人のほうを向いた店づくりがされているというか、サロン的な場所が志向されているというか、そのせいか、ぼくのような雑本読みにはちょっと敷居が高い感じがしないでもありませんでした。



商店街から1本裏に入った通り(熊本上乃裏通りというのだそうです)沿い、ビルの2階にある小さな本屋さんです。地元の書店員、ふぃぶりお氏に、こんな店が新しくできたよと教えてもらって訪ねたもの。


161127 my chair books看板161127 my chair books外観1161127 my chair books 外観2

絵本やコミック、小説など、冊数はそれほどではありませんが、取扱ジャンルはさまざなのよう。割合的にはアート系の本が多いようで、そちらにうとい当方には品ぞろえがどうなのかはよくわかりませんが、什器などの感じも洒落ていて、こういう雰囲気の小さなお店を好む本好きには支持されそうです。


ショップカード my chair booksショップカード my chair books裏

161126 ビブリオテークチラシ ビブリオテーク

鶴屋の東館1階に入っているブックカフェ。以前の熊本書店レポートでもふれましたが、当方の好みからすると、ブックスポットと見るには本が少なすぎる感じなので、ざっと眺めるだけに。


ブックカフェといえば、新文化の4/19付けの記事「【熊本地震】トーハン、帳合書店の被害状況をHPで公表」で「営業再開未定」となっていたBOOK&CAFE一心堂は、そのまま閉店となってしまったんでしょうか。長崎次郎書店への途中にあるので、前を通ったら、ご覧のように、店内は空っぽになっていました。


161127 Books&Cafe一心堂 跡地

↓店内には入らなかったんですが、下通商店街にはアニメ系の集まるこんなビルもありますね。


161126アニメイト

メロンブックス熊本店、らしんばん、アニメイト熊本店が同じビルに入っています。


まだ古書店が残っているのに、今回もけっこうな長さになってしまいましたので、いったん稿を分けます。


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