閉まっているとわかっていても、やはり見ておきたくなり、昼休みに行ってきました。岩波ブックセンター。



跡地はどうなるのかなあ……。
岩波ブックセンターは、その店名の通り、岩波書店の出版物を数多く取り揃えるほか、人文書をしっかりとそろえた硬派な品ぞろえで知られるお店でした。約70坪の店内にはコミックや実用書、娯楽系の雑誌などはなく、店内の雰囲気は、まさに「教養人のための本屋さん」といった感じでした。年輩の読書人を中心に愛好家も多く、大型店から小規模店まで多くの新刊書店が軒を連ねる本の街、神保町で、独自の地位を築いてきたお店で、閉店の報道記事のなかには神保町のランドマークなどとしていたものもありましたね。
レジからすぐのところ、新刊平台のすぐ奥に配置された「本の本」の棚の充実ぶりも同店の愛用者にはよく知られるところで、ぼくもしょっちゅうチェックしていました。平台が新刊だけで埋められることなく、新刊と既刊がたびたび入れ替えられるため、『本屋図鑑』や『本屋会議』が発売から1年、2年たっても、ときどき平や面になっているのを、何度もうれしく拝見したものでした。
今回、倒産が報じられた経営母体の信山社は2000年に設立された専門書店運営業者。岩波ブックセンターを運営していましたが、岩波書店との資本関係はなし。11/25に東京地裁に破産を申請、同日、破産開始決定を受けたと報道記事にはあります。
以前の記事にも書きましたが、この10月に代表取締役会長であった柴田信さんが急逝したこともあり、11/23から店舗は閉店。事業継続が困難となり、今回の破産という事態になったようです。読書人からはさすがの品ぞろえとされていた同店ですが、やはり台所事情は厳しかったようで、一連の報道記事には《毎期欠損を計上》《財務体質は脆弱》などとあり、債務超過が続いていたようです。負債総額は約1億2700万円といいます。
信山社の倒産については、業界紙だけでなく、一般紙やWEBのニュースメディアなどにも一斉に取り上げられ、詳細に報じられていますから、くわしくは報道を見ていただくのがいいでしょう。記録の意味も含め、目に付いた記事をリストアップだけしておきます。
- 「岩波ブックセンターの運営会社破産 「専門書の専門店」」(11/28 朝日新聞)
- 「岩波ブックセンター経営、信山社が破産手続き」(11/28 読売新聞)
- 「岩波ブックセンター 経営の信山社が倒産」(11/28 毎日新聞)
- 「岩波ブックセンターの運営会社が破産」(11/28 日経新聞)
- 「神保町の信山社破産=「岩波ブックセンター」経営」(11/28 時事通信)
- 「「岩波ブックセンター」運営会社が破産」(11/28 ITmedia)
- 「「岩波ブックセンター」運営会社が破産 神保町の名所「とても寂しい」」(11/28 J-CASTニュース)
- 「岩波ブックセンター経営の「信山社」が破産 負債総額1億円超」(11/29 ZAKZAK)
- 「書店経営の信山社、破産開始決定」(11/29 M&A Times)
- 「神保町の顔だった書店消える、世界屈指の書籍エコシステムはどうなる?」(11/30 THE PAGE)