空犬通信

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ブックンロールオキナワ2016は最高でした

沖縄書店回り+購入本レポートが先になってしまいましたが、今回の沖縄訪問の目玉、ブックンロールのレポートを沖縄訪問レポートの最後にお届けします。


ブックンロールについては、自分が企画者だということもあり、過去の経緯も含めて書き出すと長くなってしまいますので、今回は、当日の様子に絞りたいと思います。


ブックンロールオキナワ2016、会場は、那覇のライブハウスバンターハウス。ジュンク堂書店那覇店から徒歩ですぐのところにある地下のお店です。


161013 バンターハウス

キャパは50人ほどだといいますから、偶然にも、吉祥寺で開催した第1回のブックンロールの会場とほぼ同じサイズです。


当日の構成は、オリジナルのブックンロール同様、ライブの部とトークの部の2本立て。最初がライブの部です。


ライブの部に登場したのは、このイベントのために結成されたバンド「やぎ」。最初のブックンロールも同じく、イベントのために当方以外は楽器歴ゼロみたいな書店員が集まって結成したバンドのライブでしたから、ブックンロールの趣旨というかスピリットというか、そのようなものがあるとしたら、それは正しく継承されたといっていいんでしょうね(笑)



ボーカルは、ブックスじのんの天久さん、くじらブックスの渡慶次さん、ギターはボーダーインクの喜納さん、ベースはリブロの筒井さん、ハープは小雨堂の三木さん、ドラムは作家の小原さん。このほか、バンドとの共演はなく、ソロでのパフォーマンスでしたが、出版営業のじゃぱなさんがラッパーとして参加。


にわかバンドとは思えない、にぎやかで息の合った陣容で、みんなが知っているであろう、ロックやポップスの名曲・定番を楽しそうに披露していましたよ。ちなみに、大変図々しいことに、当方も実はちょっとだけ参加させてもらいました。


オリジナルのブックンロールを企画・主催した者であること、
最初の開催地である吉祥寺のある武蔵野からやってきたこと、
吉祥寺には高田渡さんという酔いどれ詩人がいたこと、
渡さんは山之口貘さんの詩が大好きだったので、
貘さんの詩に曲をつけて歌ったりしていること、
ぼくは、高田渡さんも、山之口貘さんも、吉祥寺も、沖縄も、
大好きなので、こうして沖縄に呼んでいただいたのなら、
ぼくが大好きなふたりの詩人と、ふたつの街をつなぐ1曲を、
みなさんに聞いていただくのがいいかなあと思ったこと、
でも、ぼくはギター弾きなので、歌のほうはてんでダメなこと、
だからみなさんに、寛容の心を全開にして聞いていただきたいこと、
という主旨の、言い訳めいた自己紹介をしてから、高田渡さんの「生活の柄」を、バンドのみなさんに伴奏をつきあってもらって披露しました。いやはや。


ライブの部、最後の1曲にも、ギターで参加させてもらいましたよ。いやあ、ほんとに楽しかったなあ。メンバーのうち、ベースのリブロ筒井氏とは彼が吉祥寺にいた頃からの知り合い。音楽をやっていることはお互いに知っていましたが、共演は初めて。彼はバンドでCDを出したこともある本格派で、さすがの腕前でした。


今回は、とくに沖縄の音楽を意識した選曲や編成にはなっていませんでしたが、これからもブックンロールが続いていくならば、ここに三線の演奏が加わってもいいし、島唄があってもいいかもしれないなあ、などと思ったりもしました。オリジナルのブックンロールでは、2回目以降は、複数のバンドが参加できるようにしたので、ライブの部もバラエティに富んだものになり、より盛り上がったという経緯があったからです。


以下、当日のライブ(一部、リハーサル)の様子を写真でお見せします。(写真は掲載許可を得ているものです。)


161013 ブックンロール ライブ0161013 ブックンロール ライブ リハ1161013 ブックンロール ライブ リハ2

↑リハーサルの様子。


161013 ブックンロール ライブ1161013 ブックンロール ライブ2

↑こちらの2枚は本番から。


続いてトークの部。こちらは出演は、大城書店石川店の店長、吉山さん、金武文化堂の新嶋さん、ブックスじのんの天久さん、それにわたくし空犬太郎。進行役はボーダーインクの新城さんがつとめました。出演者については、ブックンロールのサイトにくわしい情報があがっています。


161013 ブックンロール トーク

↑右から、新城さん、吉山さん、新嶋さん、天久さん。天久さんの隣に空犬が座っていました。


吉山さんはお店のこれまでを上の方にヒアリングしてきたとのことで、メモを見ながら、出店・閉店・移転など、お店がこれまでどんなふうに変わってきたのかがわかりやすくまとめられたお店の歴史を語ってくれました。


新嶋さんは、お店に出入りする小学生たちのエピソードを披露してくれました。お店紹介の記事にも書きましたが、これがもうなんともおかしくて、大いに会場の笑いを誘っていました。


天久さんの話がこれまためっぽうおもしろい。沖縄の古書店業界の移り変わりを新刊書店の問題にからめて話してくれました。


ぼくは東京ほかの新刊書店事情について話す役回りだったんですが、うれしいことに、事前の打ち合わせになかったようなところでも新城さんに次々に話を振られ、これぐらい話せばいいのかなと想像していたよりもたくさん話すことになりました。


新城さんの進行ぶりは巧みで、出演者それぞれの話をうまく引き出しつつ、間が空かないように次の話者に振ったり、話題を転換したりするだけでなく、一人の話がちょっと長くなりそうだなという兆しが見えると(とくに、新嶋さんはエピソードが多いので、いくらでも話せそうな感じでした)うまく引き取って、一人が話し過ぎないように、1つの話題ばかりにならないように、うまく采配していました。


そのような見事な進行ではありましたが、それでもとにかく話題がつきず、話が想像以上に盛り上がってしまい、予定していた時間はまさにあっという間という感じでした。会場の雰囲気を見るかぎり、お客さんも少なくとも退屈はしていなかったようで、そろそろ時間がという新城さんの声に、もう終わり?!という反応が少なからずありました。


予定外のことをたくさん話すことになった一方で、この話をしなくちゃと用意していったことは十分に話せなかったりもしたので、自分のトークの出来としては必ずしも合格点とは言いがたいところもあったのですが、一緒に話していること、トークに参加していること自体がとにかく楽しい、そんなふうに感じられるトークでした。


ぼくたちのような外の人間は、「沖縄」というと、1つのまとまった文化圏であるかのようにとらえがちです。土地勘がなく、それぞれの店、町がどれぐらい離れているかという距離感がつかめていないこともありますが、那覇のことは当然中部・北部の人たちもよく知っているのだろう、逆もそうだろうと思いがちです。ぼくも勝手にそのように思い込んでいました。


ところが、実際にはそうではないんですね。トークのなかでも語られたことですが、大城書店の話や金武文化堂の話は、那覇の人たちにとって新鮮だったようなのです。また逆もそうで、吉山さんは、那覇の本屋事情はよく知らなかったと打ち上げの席でも言っていましたし、こういうブックイベントについても、ほかのエリアでのことという意識があったといいます。ある種の距離感があったわけですね。トークを聞いているお客さんもそれは同じだろうと思います。ブックンロールやブックパーリー期間中に開催されたイベントには、そうしたギャップを多少なりとも埋める意味合いもあったのではないかと、そんなふうに感じました。


今回、会場となったバンターハウスは、先に書いた通りキャパ50人のお店。それが予約で埋まり、追加のいすを出したところ、それも埋まって、結局当日は70人ほどの人が参加したのだといいます。初回でこの反響、この注目度ですから、沖縄でのブックンロールがもし来年も開催されたら、次回は100人規模のものに拡大することは間違いないでしょうね。初回から大成功と言っていいのではないでしょうか。


東京で始めたブックンロールをいったん休止としたのは2015年のこと。あれだけたくさんのお客さんが集まってくれ、しかも業界関係者が多かったのだし、評価もされたのだから、ぼくがやめるとなったら、自分が後を引き継ぎたい!、ブックンロールの名前でイベントをしたい!という、ぼくよりも若い、そして熱意にあふれた誰かが現れてくれるのではないか――実はそんなことをほのかに期待したりもしていたんですが、残念ながら、今にいたるまで東京周辺ではそのような話は1つもありません(まあ、素人の一イベントなので当たり前かもしれませんが)


それが、まさか、過去の参加者のなかでももっとも遠い沖縄から参加してくれた人の手で、沖縄で実現することになるとは。実際に開催され、盛況に終わったのを自分の目で見て、体感してきた今でもなんとなく信じられない思いです。自分が始めたイベントが、こうして誕生の地を離れ、海を越え、遠く沖縄の地で開催されたことを心からうれしく思わずにはいられません。


今回のブックンロールは、ボーダーインクの喜納さんの熱意がなければ、おそらくは実現されなかったであろう企画でした。そして、喜納さんと一緒に、ライブをトークを盛り上げてくれたみなさんにも、そして会場を埋め尽くしてくれた沖縄の本好き本屋好きのみなさんにも、感謝の気持ちでいっぱいです。あらためて、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。


関係者のみなさんは、今回、初回ということで大変だったろうと思うのですが、これを1回かぎりのものにせず、ぜひ来年もまたブックンロールオキナワを開催してほしいものです。今年、会場に駆けつけたお客さんの多くが望んでくださっているのではないかと思いますし、駆けつけられなかった人のなかにも、次回はぜひ!と思っている人がいるはずです。ぼくも次は、「呼んでいただく」特別ゲストの立場ではなく、自分の意思で駆けつけ、一人の客としてイベントを楽しみたいと思います。



会場では、ウララの宇田さん、くじらの渡慶次さん、リブロ筒井店長夫妻に再会できたほか、何人もの初めてお会いする方から声をかけていただきました。そのなかのお一人が、「さどやん」こと佐渡山安博さん(@sadoyan39)。沖縄で紙芝居の口演活動などをされている方です。


チラシ サドヤン1チラシ サドヤン2

沖縄フォークシンガー、具志堅ユウさん(@bqpgk500)からも声をかけていただきました。聞けば、沖縄だけでなく東京で、それも荻窪でライブをしたりすることもあるといいます。荻窪といえば、ブックンロールを3度開催した会場、ルースターノースサイドがある街です。なんだか妙な縁を感じます。


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