空犬通信

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ミステリ界の名編集者の軌跡……『ぼくのミステリ・クロニクル』が11月に刊行になります

この2年ほどずっと取り組んできた本が、来月、ようやく刊行となります。こんな本です。


    『ぼくのミステリ・クロニクル』
    戸川安宣著、空犬太郎編
    国書刊行会
    定価:2700円(本体)
    判型:四六判 上製本 432ページ
    ISBN 978-4-336-05896-6
    Cコード 0095
    発売予定:2016年11月14日(月)

書影 ぼくのミステリ・クロニクル

東京創元社の名編集者、戸川安宣(とがわやすのぶ)さんのミステリ編集者人生を、空犬が取材してまとめた本です。版元が用意してくれた内容紹介を引きます。


《東京創元社で長く編集者として活躍し、編集長時代には今や伝説となった叢書〈日本探偵小説全集〉(全12巻)を企画。その後の日本ミステリ界の動向に深甚な影響を与える。
1988年より『鮎川哲也と十三の謎」で新人作家を発掘し、北村薫、有栖川有栖、宮部みゆき、山口雅也、折原一といった、現在、日本ミステリ界を背負う作家を世に送りだす。
また、公募の新人文学賞「鮎川哲也賞」を創設し、加納朋子、北森鴻、近藤史恵など、錚々たる作家を輩出する。彼がいなければ、90年代の日本ミステリの隆盛、いわゆる「新本格」の台頭、そして現在のような形での日本ミステリは存在しなかったといっても過言ではない。
戦後ミステリ史を語る上で欠かせない伝説の編集者が「ミステリ」「出版」「編集」「書店」というキーワードを軸に、その全てを語る》。



ミステリが主題ではあるのですが、ミステリの話「だけ」の本ではありません。本書は3部構成になっていて、以下のような章立てになっています。
第1章「読む」
第2章「編む」
第3章「売る」


第2章の「編む」はまさに戸川さんの編集者時代の話をまとめた章で、このパートが分量的にも最大、ミステリ好きの興味を惹かずにはおかないエピソードが満載で、内容的に充実しているのは言うまでもないのですが、ぼくが書き手としてぜひ強調したいのは、ほかの2章の話もすこぶるおもしろい、ということです。


1章「読む」では、戸川さんのプレ編集者時代のことが語られています。幼少期・小中高時代の驚くほど広汎な読書歴の話。ミステリクラブを自らつくってミステリ人脈を広げていく大学時代の話。いずれの時代も本との関わり方の密度というか濃度というか、そのようなものがふつうではなくて、とにかく圧倒されます。


圧倒といえば、取材中、とにかく驚かされっぱなしだったのが、まさに圧倒的としか形容のしようのないその記憶力。子どものころに読んだ本のことを、まるで手元に現物があるかのように、先週読み終えでもしたかのように、鮮やかに話してくれるのだから、それも、多くの場合、メモも資料も現物も何も見ずに話してくれるのだから、驚かずにはいられません。ぼくなんて、先週読んだばかりの本の内容だって簡単に忘れちゃうのに……。歴史に名を残すような編集者と当方のような凡人が、つくりからしていかに違うかを思い知らされっぱなしでした。どのようなことが、どのように語られているかは、ぜひ本文で確認いただければと思います。


3章「売る」は書店の話です。戸川さんは、吉祥寺で新刊書店(ミステリ専門店)をやっていたこともある、いわば、元「書店員」。本屋好きの編集者は珍しくありませんが、編集稼業の傍ら、書店の運営にまで関わってしまった編集者というのはそんなにはいないはず。しかも、引退後の話ではなく、戸川さんは、書店に関わっていた時代も本づくりに携わっていたという、きわめてめずらしい経歴の持ち主で、そのような方の書店の話がおもしろくないわけがありません。


というわけで、この本、ミステリ好きにご満足いただけるようなミステリのネタがたっぷり詰まっているのは間違いありませんが、単なる「ミステリ好きためだけの本」というわけでもありません。本好き、本屋好きのみなさん、つまり、この空犬通信や当方のツイッター、空犬企画・主催のイベントなどに反応してくださるようなみなさんにもぜひ知ってほしいなあ、読んでほしいなあと思っているのです。


書き手として、多少気になることがあるとしたら、非常に大部になってしまったために、気軽に手にとっていただくにはやや高額な本になってしまったこと。でも、これでも整理に整理を重ねた結果なのです。読んでいただければ、このような分量になったことの意味もおそらくはご理解いただけると思いますし、ご納得もいただけるとは思うのですが(というか、ぜひそうあってほしい)、さてどうでしょうか……。(現時点では「予価」で、値段は変わるかもしれません。)


発売は、11/14(月)。地域にもよりますが、11/14の週の半ばごろから店頭に並び始めるものと思います。書店で見かけましたら、ぜひ手にとってみていただけるとうれしいです。


ところで。ありがたいことに、本書の刊行記念イベントがいくつか決まっています。


  • 11/11(金)東京堂書店(東京・神保町)
  • 11/19(土)隆祥館書店(大阪・谷町六丁目)
  • 11/20(日)本は人生のおやつです!!(大阪・堂島)

11日と19日のイベントは、戸川さんとミステリ作家の方々がトークをする、主にミステリファンのみなさん向けのもの。


20日は、当方が出演させていただくもので、『勇者たちへの伝言』で「大阪ほんま本大賞」を受けたばかりの作家、増山実さん、本屋本の書き手、石橋毅史さんとの鼎談になりました。我ながら、すごいメンバーになったなあ、と驚き中です(笑)。それぞれ、人に話を聞いて取材したものを作品にまとめるという仕事をしている立場なので、「人の話をどんなふうに作品にするか」を、書き手の立場から語り合おう、というテーマにする予定でいます。


時間、出演者、予約方法など、これらのイベントの詳細につきましては、稿をあらためて、この空犬通信でご案内するほか、それぞれの開催書店のサイト・ブログなどにも案内がアップされるはずです。


本書の関連イベントは、現在、計画中のものもありますので、それらも決まり次第、空犬通信とツイッターでご報告、ご案内していきます。


本書をいろいろな読み手の方に知っていただくために、いろいろな方に届けるために、当方が書き手としてできることは何でもしたいなあ、と思っています。戸川さんも、当方の『本屋図鑑』を片手に、あちこちの本屋さんを訪ねて歩かれるような本屋好きで、フェアやイベントには快く協力してくださる方です。本書に関わることで何か、戸川さん、また当方にできそうなことがありましたら、どうぞ遠慮なくご相談いただけるとうれしいです。ご連絡は、本ブログのコメント欄か、ツイッター(@sorainu1968)でお願いします。


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コメント

サプライズでした

ご無沙汰しております。覚えておられますでしょうか? 以前ブログで若干交流があったものです。最近はFacebookばかりやっていて、ブログはすっかり開店休業状態です(^^;

今日Amazonから戸川安宣さんの『ぼくのミステリ・クロニクル』が届いたので早速読みはじめたら、戸川さんの「まえがき」に空犬さんの名前が出てきたのでびっくり。表紙を見たら確かに「編=空犬太郎」となっており、懐かしい思いでいっぱいになった次第です。

『クロニクル』これから読みます。大変楽しみです。

※最近本を読む量は以前と変わらないのですが、ミステリを手に取る機会がめっきり減って、ノンフィクションや歴史・時代小説が主流となってしまいました。

  • 2017/03/22(水) 17:24:50 |
  • URL |
  • じっちゃん #4o1CV0zs
  • [ 編集 ]

クロニクル御礼

じっちゃんさん>
訪問&コメント、ありがとうございます。
もちろん覚えていますよ(笑)。一時はほんとに
たくさんやりとりさせてもらいました。

『ぼくのミステリ・クロニクル』、買ってくださった
とのこと、ありがとうございます。しかも、当方が
関わっているのを知らずに買われた、というのが、
おもしろいですね(笑)。こちらも、そのような
かたちで知り合い(でいいですよね)に本が
届いたのだとしたら、うれしいです。

  • 2017/03/22(水) 20:13:11 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

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