空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

紀伊國屋書店の新コラボショップ「Re-Life Story with KINOKUNIYA」を見てきました

しばらく前のことになりますが、仕事の用事で大阪に行く機会があったので、「Re-Life Story with KINOKUNIYA」に寄ってきました。


「Re-Life Story with KINOKUNIYA」(以下RLSと略します)は、紀伊國屋書店・パナソニックが協業で開設したコラボショップ。グランフロント大阪南館2階の「パナソニックセンター大阪」内にあります。紀伊國屋書店グランフロント大阪店と同じ建物ということになりますね。


運良く、店長の和田結さんに話を聞かせていただくこともできました。以下、同店の様子を写真を中心に紹介したいと思います(店内写真はすべてお店の方に断って撮影したものです。写真は8月半ばの様子で、お店の様子は変わっている場合があります。)


まず、このRLS、どんなお店なのか、気になりますよね。同店のコンセプトについては、「紀伊國屋書店/パナソニックと協業したコラボショップ」(8/3 流通ニュース)に簡潔にまとまっていますので、そちらを引きます。


《「住まいと暮らし」をテーマに、パナソニックと紀伊國屋書店がコラボレーションした。パナソニックセンターが提案する生きかた、暮らしかたのストーリーに沿って、コンシェルジュがひとつずつ丁寧に選んだ、本を販売する》。


《小さな売場のなかに、暮らしを変える大きなヒントをつめこんだ。夢の住まいや理想の暮らしのほか、なんでもない日々の生活にも彩りを添えられるような本を紹介する》。くわしくは、同店のプレスリリースもご覧ください。こちら


では、早速お店の様子を見てみます。


1608 RLS 全景1608 RLS 壁側1608 RLS 全景2

↑店の全景。エスカレーター脇にある横長の店は仕切りがない開放的な造りになっています。



広さは15坪。在庫は4000冊ほどだとのことです。もっと本が少ないのかと勝手に想像していたのですが、思ったよりも本があるなあという印象です。


ご覧の通り、什器が通常の書棚ではなく、壁にブロック状の穴が開けられたような、ちょっとおもしろい感じなっています。


1608 RLS 什器・柱1608 RLS 書棚 柱2

↑什器の柱模様はイラストです。黒いラインのように見えるのは、什器に取り付けられたスチールのバーのようなもの。


1608 RLS 書棚・モニタ1608 RLS 書棚 段

棚のそれぞれの段は水平をそろえず、意図的にでこぼこになるような配置になっています。棚の間にはモニタも配置されています。


1608 RLS 書棚 可動ブロック

↑棚の天地と左右幅は固定。単行本の上の空きを見ていただければわかりますが、大判の本の収納は想定されていないようです。ブロック状の可動箱が中に入れてあり、仕切りとして使われています。隣に並ぶ本の奥行きとの関係か、棚から飛び出すように置かれているものもありました。


1608 RLS 棚 背板(ガラス)1608 RLS 書棚 裏側

↑什器の本棚部分は、背板が木のものと、背が抜けていて曇りガラスになっているところがあります。これはエスカレーターを昇り下りするお客さんが什器を裏側から見たときに、そこに本棚があることがわかるように、エスカレーターから見える部分とそうでない部分とで意図的に変えたものだそうです。右が什器を裏側(エスカレーター側)から見たところ。


文芸、新書、文庫、雑誌といった新刊書店の従来の分類ではなく、全体がいくつかのテーマに分かれていて、それぞれのテーマの棚の中では書籍・文庫・雑誌、コミックなどが一緒に並んでいます。


1608 RLS 書棚 旅1608 RLS プレート21608 RLS プレート3

↑テーマ別分類の礼。ジャンルプレートは黒地に白で文字をのせたものになっています。


1608 RLS 平台1608 RLS 平台文庫1608 RLS 雑誌平台

↑壁側の什器の前には、写真のような台がいくつか配置されています。それぞれ、新刊を並べたり、フェア台として使用したりされているようです。


グランフロントの施設全体の客層には男女に大きな偏りは見られない感じに見えますが、このお店は女性客のほうが多いようです。雑誌は女性誌メインの品ぞろえになっており、あちこちに見られる雑貨も女性向けを意識したものになっています。


1608 RLS フェア台 そうめん

↑訪問時に展開中だったフェア「本涼み」の台には、そうめん本と本物のそうめんが並んでいました。ちなみに、写真にあるそうめんの本は、6階にある紀伊國屋書店グランフロント大阪店よりも売っているのだそうです。(後で、紀伊國屋書店グランフロント大阪店を訪問したときに教えてもらいました。)


1608 RLS 雑貨11608 RLS 棚 雑貨1608 RLS 雑貨 盆栽

↑棚には書籍・雑誌類に混じって雑貨類も並んでいます。雑貨は、数こそ多くはない感じですが、雑貨コーナーを別にせずに、棚の中に関連するジャンルの本・雑誌と混ぜて置いてあります。雑貨類は専任がいるわけではなく、セレクトはすべて店長の和田さんの手になるものとのこと。


1608 RLS レジ背面1608 RLS レジ前1608 RLS  レジ ノベルティ

↑レジ。右は買い物をしたらもらえるオープン記念のノベルティ。


1608 RLS 書皮1608 RLS ビニール1608 RLS しおり

↑ブックカバーやビニールは当然、紀伊國屋書店と共通のものだろうと思っていたら、ブックカバーもビニールも、さらにしおりもRLSオリジナルのもの(ブックカバーは印刷されたものではなく、スタンプを押したものではありますが)が用意されていたので、ちょっとびっくりしました。ブックカバーは、色違いで単行本用、文庫本用がありました。しおりはデザイン違いが3種類もあります。


1608 RLS 書皮 内側

↑ブックカバーには裏側にも情報が印刷されていますので、同店で買い物をされた方は、カバーをはずしたらチェックを忘れずに。


今回、店内を案内してくれたのは、店長の和田さん(1枚目の全景の写真で、奥にほんの少し写っています)。サイズ的に大きくはないといっても、紀伊國屋書店にとっては新たなショップブランド、新たな形態となるお店ですから、そんな大事なお店の長をまかされるなんて、どんな方かと思ったら、なんと4年目だというから驚きです。大抜擢といっていいでしょう。お店のコンセプトや、品ぞろえ、雑貨の扱いについて、などなど、こちらの質問に丁寧に、かつ、とても楽しそうに答えてくれました。


1608 RLS 書影 コーヒーゼリー

↑同店で買ってきた本の1冊。ふだん、飲食関連の本を買うことはまずないのですが、なんとなく目にとまったのでした。初めて訪問するお店で、ふだん自分では手にしないような本に出会い、そして買いたくなってしまうというようなことがあるとうれしくなりますよね。


RLS、コンパクトなスペースに、施設の客層をきちんと考えた品ぞろえと、理想的といっていい好立地を充分に活かした見せ方とを実現した、いいお店だなと思いました。


品ぞろえや本の見せ方が、ぼくのような、本屋さんには毎日通いたいタイプの利用者にとってぴったりのものになっているか、ふだん使いにいい店かと言われるとちょっと違うかもしれません。ただ、ここはそういう会社帰りのおじさんを相手にしたお店ではなく、《「自分らしい生き方を実現したい」という思いを持つ55歳以上のプレミアム世代や30〜40代の女性を対象》(プレスリリースより)とした店ですから、これでいいのだと思います。


それに、なんといっても、このお店の強みは、「探している本がない」「セレクトショップには自分の買うものがない」というお客さんがいたとしても、そういう方を案内できる店がすぐそばにあるということです。その意味では、RLSは、単独で品ぞろえやショップコンセプトを云々するよりも、上の紀伊國屋書店グランフロント大阪店とセットで見たほうがいいのかもしれません。


紀伊國屋書店グランフロント大阪店にとっても、6階まで上がってくるのをおっくうに感じるようなお客さんにとって、ちょうどよい入り口、「出店」のような位置付けになりうるわけですから、その意味では双方にプラスにはたらくかもしれないなあ、などと、RLSを見た後に、上のグランフロント大阪店を続けて訪問して、あらためてそんなふうに思いました。


ほめてばかりでもなんなので、1つだけ気になったことも。本を、従来の分類ではなく、独自のものにするのはいいと思います。ただ、ジャンル分類の文言が「ポエム」のようなものにならないようにしてほしいなあ、ということです。


同店のジャンルプレートのなかに、たとえば、「明日から仕事の達人」「キレイになりたい」があります。たしかに、「ビジネス」「実用>美容」などよりもわかりやすいし、楽しいものになっているかもしれません。また、従来なら同じ棚に並べにくいものを並べることができたりもするでしょう。でも、表現とかバランスとかにはやはり気をつけたほうがいいのではないかなあ、と思ったりもするのです。


ストレートな分類に近いものとイメージ優先のフレーズ、文章になっているものと体現止めのフレーズが混じっていたりするのを、なんとなく落ち着かないと感じる本好きも決して少数派ではないだろうなあ、という気もしますし、これがどんどんエスカレートして、(これは別のお店の例ですが)「風を感じたい」「たまには空を見上げたくなる」などとなると、それは、本を手にしたこちらが感じることであって、先に言わないでよ、という意地悪なつっこみをする人が出てきてもおかしくないからです。


分類の工夫、見せ方の工夫はもちろん必要なことだと思いますが、ジャンルのプレートを見て、客がちょっと気恥ずかしい気分になったり、落ち着かない気分になったり、そんなことがないようにぜひしてほしいなあと思うのです。同店のジャンルプレートが全部そのようなものになっているという話ではもちろんありません。すぐに変えなくてはならないようなものが目についたというわけでもありませんが、このレポートをまとめるために棚の写真を見返していて、ちょっと気になったので、ふれておく次第です。



スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する