空犬通信

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本屋好きは必聴必見……9月開催シンポ分科会に留萌ブックセンター関係者が登壇

今年から9月に行われることになった東京国際ブックフェア。会期中にこんなシンポジウムが行われるようです。



記事を引きます。《NPO法人本の学校は9月24日、東京・江東区の東京ビッグサイト会議棟で「出版産業シンポジウム2016in東京〜出版産業のこれから―新たなビジネスモデルを構築する〜」を開催する》。


記事をもとに、特別講演と分科会の内容・出演者などをまとめてみます。(出演者の所属などは記事ママ、敬称略。)


    10:00〜11:40 特別講演「書籍ビジネスは自立できるのか? 流通、電子、海外、協業、新たな可能性に向けて」
    講師:江草貞治(有斐閣)、金原俊(医学書院、医書ジェーピー)、鶴巻謙介(サンクチュアリ・パブリッシング)
    コーディネーター星野渉(本の学校理事長、文化通信社)

    12:40〜14:10 第1分科会「出版コンテンツの海外展開」
    コーディネーター:大森龍太(日本書籍出版協会事務局)
    パネリスト:内田明(トーハン海外事業部)、武田伊智朗(サンマーク出版)

    12:40〜14:10 第2分科会「町の本屋は地元で支える 留萌ブックセンターby三省堂書店の5年間」
    コーディネーター:柴野京子(本の学校、上智大学)
    パネリスト:武良千春(三省堂書店応援し隊)、塚田亮二(三省堂書店応援し隊)、今拓己(留萌ブックセンターby三省堂書店)

    14:30〜16:00 第3分科会「書籍マージンの再配分を考える 小売マージンは増やせるか?」
    コーディネーター:松井祐輔(H.A.Bookstore)
    パネリスト:高野幸生(MPD)、渡辺佑一(ミシマ社)

    14:30〜16:00 第4分科会「『雑誌販売戦略』を再構築する 売るための考え方、技術、仕組みetc.」
    コーディネーター:井上直(ダイヤモンド社)
    パネリスト:奥野康作(ブックエース)、梶野光弘(ブックファースト)、百々典孝(紀伊國屋書店)

    18:00〜20:00 交流会(フードコート&ビアーEatiT!)


気になるテーマ、気になる登壇者が目白押しという感じですね。分科会が2つ同時刻開催で、どちらかを選ばねばならないのがとても残念に感じられるほど、気になるものばかりが並んでいます。


なかでも目を引くのが、第2分科会の「町の本屋は地元で支える 留萌ブックセンターby三省堂書店の5年間」。なんと、留萌ブックセンターの話を東京で聞けるとは! これは、同店を訪問して大変に感銘を受けた一人として、見逃すわけにはいきません。駆けつけないとなあ。


留萌ブックセンターby三省堂書店と同店に関わるみなさんの活動については、『本屋はおもしろい!! 』(洋泉社)に紹介記事を、『本屋会議』(夏葉社)に長めの訪問記を寄せています。まだ同店を訪問したことのないという方は、ぜひこれらをご覧のうえで、9/24、留萌ブックセンターのみなさんの話を聞いていただければと思います。


留萌ブックセンターについては、ぜひ上の2冊をご覧いただきたいのですが、この空犬通信にも写真中心の訪問記をあげていますので、よろしければ、そちらもご覧ください。記事を読み返していたら、また留萌を訪ねたくなってしまいました。9/24、楽しみだなあ。


参加費は、《特別講演が無料、分科会は3000円(昨年度の記録集『変える、広げる本との出会い』付き)、交流会は5000円》で、《9月10日までの申し込みは早期割引4000円》とあります。


申込先は、特別講演がこちら(東京国際ブックフェアのサイト)、分科会・交流会がこちら(本の学校のサイト)


ところで、この記事、同イベントが東京国際ブックフェアの会期中に行われることにまったくふれられていないのは、何か意味があってのことなのかなあ。




(以下余談です。)ものすごく楽しみな第2分科会「町の本屋は地元で支える 留萌ブックセンターby三省堂書店の5年間」なんですが、1つだけ、気になることがあります。コーディネーターが柴野京子さんだということです。柴野さんは『書棚と平台 出版流通というメディア』(弘文堂)、『書物の環境論 現代社会学ライブラリー4』(弘文堂)などの著書をお持ちで、出版文化史、とくに取次など流通に関する歴史にくわしい方です。出版流通の歴史に関しては、現在もっとも信頼できる書き手の一人だと思っていますし、その著書には多くのことを教えてもらいました。ぼくが人選をどうこう言えるような方では本来ないのですが、なぜ気になっているかというと、今回はテーマが現役の書店で、柴野さんご自身は「書店について話すのがとても苦手」だとおっしゃっているのを聞いているからです。


昨年、神戸の出版社、苦楽堂から平野義昌『海の本屋のはなし 海文堂書店の記憶と記録』が刊行されたとき、東京堂書店で行われた刊行記念トークイベントに柴野さんが登壇されたのですが、そのとき、柴野さんは「本屋はわざわざ行く場所ではない」という主旨のこと、さらには、(自分がふだん行かない地域のお店にわざわざ行くような)はしたないことはしないという主旨のことを口にされています。ぼくはその場に居合わせて、ちょっとショックを受けました。どのような考えを持とうと自由だと思いますが、海文堂書店関連のイベント(に集まるような人たちの前)で口にすることではないのではないかなあ、と思ったのです。そのときのことはイベントの報告記事でふれています。こちら


訪問記事にも書きましたが、留萌は札幌からバスで2時間半強ほどもかかる街です。立地だけを見れば、その「わざわざ行く場所ではない」感は半端ではなく、地元以外に暮らす多くの本屋好きにとって、海文堂書店のあった神戸・元町どころの遠さではありません。もちろん、留萌ブックセンターは街の人たちのためのお店なんですが、このお店がオープンするまでの経緯、お店と街の人たちとの関係が各種メディアで取り上げられたために、ぼくだけでなく、たくさんのメディア関係者や、本好き本屋好きが、「わざわざ」同店を訪問しています。


そのような店について、(現在も同じお考えなのかどうかはわかりませんが、少なくとも一度は)公開のイベントで、「本屋はわざわざ行く場所ではない」「自分がふだん行かない地域のお店にわざわざ行くようなはしたないことはしない」という主旨のことを口にされている方が、いったいどんなふうに話をされるのか、留萌のみなさんの話をどんなふうに引き出されるのか……率直に言って、不安を感じてしまうのです。


柴野さんからは、海文堂書店のイベントの後にご連絡をいただき、トークでの発言が、必ずしも、書店にわざわざ行くような人たちを批判するためになされたものではないということもお聞きしています。ただ、当日のイベントには当方以外にもたくさんの本屋好きが駆けつけていたわけですから、当方がそのようなことをご本人から直接お聞きしたとしても、それであの発言がなかったことになるわけではありません。


海文堂書店がテーマのイベントに駆けつけるような方と、今回のシンポジウムに関心を持たれる方はおそらく重なっているでしょう。この「わざわざ行く場所ではない」としかいいようのない立地にある、しかしお店自体も店に関わる人もとにかくすばらしい本屋さんをテーマにしたトークイベントをどのようなお気持ちで引き受けられたのかはわかりませんが、ぜひとも今回は、「本屋はわざわざ行く場所ではない」「はしたない」といったことばを参加者が聞くようなことなく、聞いた人がみなわざわざ留萌まで行きたくなるような話を聞かせていただきたいものだと、強く、強く願っています。



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