空犬通信

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紀伊國屋書店新宿南店が、今夏、大幅縮小に【更新】

昨年のリブロ池袋本店に続き、今年もまた首都圏の大型書店関連で大きな事件が。(奇しくも、「7月」というタイミングまで同じ……。)


紀伊國屋書店新宿南店の大幅縮小が、5/13、まずは朝日新聞が先陣を切るかたちで(と言っていいでしょうか)、続いてその他の全国紙やWEBのニュースメディアほかによって一斉に報じられました。


関連記事はたくさんありますが、内容の重なるものをやたらにリストアップするのもなんですので、ここでは最初に大きく報じた朝日新聞、見出しのニュアンスの異なるNHK、そして業界紙の新文化の3つをあげておきます。(各記事での紀伊國屋書店の表記は、WEBでの表見出し・本文の表記をそのまま引いています。)




朝日新聞の記事では見出しに「撤退」と強いことばが使われています。紙面では「事実上の」がなく「紀伊国屋新宿南店、「撤退」へ」となっていました。「撤退」なのか「縮小」なのかについて、またその理由などについて、「新文化」の記事を引きます。


《7月下旬、新宿南店の約1200坪の売場を大幅に縮小する。ビルオーナーである東神開発(株)と交わした20年間の賃貸契約が満了となり、1〜5階の売場は撤退する。6階の300坪だけを残し、洋書専門店として営業を続ける。店舗の屋号は変更しない》。


紀伊國屋書店新宿南店は、(出版売上のピークとされる)1996(平成8)年のオープン。建物は地上6階で、売り場面積は約1200坪。新宿本店よりさらに大きな店舗の登場は、1000坪クラスが当たり前、なかには1000数百坪から2000坪クラスを含む丸善/ジュンク堂書店の一連の超大型出店よりも前のことです。ジュンク堂書店新宿店もまだありませんでした(2004年のオープン)。NHKのニュースにあるように、《平成8年のオープン当時、国内最大規模の書店として注目され》たことを、ぼくもよく覚えています。


たしかに、1200坪の一般新刊書店が300坪の洋書専門店となるのは大幅縮小でしょう。洋書専門店と一般新刊書店とでは客層も大きく異なりますから、単なる縮小ではなく、「事実上の撤退」ととる人がいてもしかたのないことなのかもしれません。だとしても、300坪というひと昔前なら大型店に分類されていたであろう広さの書店が残り、「紀伊國屋書店」という屋号もそのままで営業するとされているわけですから、それを「撤退」と呼ぶのはどうかなあ、という気は個人的にはします。


ぼくは、このブログにもしょっちゅう書いている通り、あちこちの本屋さんを利用するタイプですが、この紀伊國屋書店新宿南店は、ふだんよく使うお店のなかでも、とくによく利用する大型書店の1つです。うちの本好きっ子のお気に入りの店でもありますので、親子で、家族でよく利用してきました。大型店ですが、マルチフロアなので、それぞれのフロアが子どもが迷子にならない程度のほどよいサイズにまとまっていますし、5階など一部をのぞくと棚の高さもおさえめなので、フロアが開放的で目が届きやすく、店の造り的にも安心して子どもを長居させられる、とても居心地のいい店だと思うのです。


同じ新宿には、新宿本店がありますが、本店とは違った独自のフェア・イベント、売り場づくりも目立ちました。新宿南店3階ワクワク棚をなつかしく思い出す同店のファンも少なくないことでしょう(追記(5/20):このくだり、ワクワク棚が過去のもののように書いてしまいましたが、これは後述の神矢さんが手がけていたころの、という意味合いで書いたもので、棚自体は今もあります)。今は別の店に移られましたが、「紀伊國屋書店新宿南店SUPERワクワク隊」として、同店でワクワク棚を手がけ、ユニークなイベントやフェアを連発していた、当時のご担当、神矢真由美さんにbeco talkに出ていただいたこともあります。(SUPERワクワク隊についてはこちらの記事でもふれています。)


あと、今回残ることになっている洋書売り場も、パワーアップした改装後の売り場はもちろん、改装前からお気に入りの売り場の1つでした。改装時の売り場については、こちらの記事こちらの記事で紹介しているほか、洋泉社のムック『本屋はおもしろい!! 』に紹介記事を寄せています。


そのようなお気に入りの売り場ですから、洋書専門店として残るのはとてもうれしいんですが、でも、やっぱり残念な気持ちもするのです。和書も洋書も両方見られるのと、洋書だけが見られるのとでは、書店としての魅力はまったく違うものになるからです。あと、何より、洋書専門店だと、もう親子では一緒に行けませんしね。


跡地については、本稿執筆時点ではくわしいことはわかっていませんが、このような記事が出ていました。「ニトリ、紀伊国屋書店・新宿南店跡地に熱視線 大家の高島屋と賃料を巡り、ギリギリの交渉」(5/17 東洋経済オンライン)


記事には、跡地に《家具量販最大手のニトリが”テナント”として入居する方向で、交渉が大詰めを迎えていることが分かった》とあります。


それにしても。5/13に、紀伊國屋書店新宿南店縮小の件がWEBをにぎわせ、週明け、5/16には、今度は、蔦屋書店を含む枚方T-SITEオープンの件(プレスリリースはこちらがWEBをにぎわせることになりました。この一事をもって、業界大手が明暗を分けただの、新旧交代だの、そのような乱暴なまとめはしたくありませんし、実際、そんな単純な話でもないとは思います。でも、書店事情をずっと追ってきた者としては、この2店のニュースが前後して報道されたことには、複雑な思いを禁じ得ませんでした。



追記(5/20):跡地について、ニトリの出店が確定となったようで、このような新聞記事が出ました。「家具のニトリ、新宿南口に出店へ 紀伊国屋書店の跡地」(5/20 朝日新聞)


記事の一部を引きます。《紀伊国屋書店新宿南店が7月末に売り場を縮小する予定で、その跡地に入る。12月のオープンをめざす》。《紀伊国屋は1〜6階のフロアのうち6階のみを残して、売り場を大幅に縮小する。ニトリは紀伊国屋が撤退する1〜5階に出店する予定。売り場面積は約2900平方メートルになるという》。


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