空犬通信

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ロンドン書店回り その5……日英書店事情の違いや気づいたことなど【更新】

ロンドン本屋巡りレポート、訪問してきたお店の紹介は以上です。お読みくださっている本屋好きのみなさんのなかに、今後、ロンドンで書店回りをする機会のある方もいるかもしれませんので、今回の旅で気づいた、本屋巡りの参考になりそうなことを、自分用の覚えも兼ねて、いくつかあげておきます。


◆本屋さん情報の集め方


まずは事前の情報収集。いくらロンドンが主要エリアを徒歩で回れるこぢんまりした街だとはいえ、何も調べずに現地に行き、ふらふらと街を歩いても、そう簡単に本屋さんを見つけられるわけではありません。とりあえず行きたいお店は事前にリストアップし、営業時間や定休日、アクセスなどの情報を入手しておく必要があります。


となると、本好きとしては、全部WEB頼りではなく、そこはやはり書籍で情報を得たいところ。ところが、これがなかなか見つからない。後述しますが、洋書でイギリスの本屋本はあるにはあったのですが、事前には入手ができなかったため、結局、書店情報収集でもっとも活用したのは、以前にも紹介したことのあるこちらの本となりました。



書影 ロンドン×本屋

↑表紙はDAUNT BOOKS。



都市とテーマを組み合わせた半分語学書、半分ガイドのような「とっておきの出会い方シリーズ」の1冊として刊行されたもの。文庫サイズにその街の本屋情報と英会話がまとまった便利な1冊です。


ただ、2010年刊の本なので、書店情報はゼロ年代までのものがベースになっているものと思われます。そのため、掲載書店には閉店や移転でなくなったものもありますし、新しくできたり移転・改装したりして情報が変わってしまって本屋もありますので、注意が必要です。


ちなみに、今回の本屋巡りで、どの店をどんな順番で回るかは、こんなふうにして決めました。まず、この本に掲載されている書店で訪問したい店をピックアップし、ガイドブックのロンドンの地図に書き込みます。さらに、Webで検索して、それらの店の最新情報をたしかめました(ここで、かなり情報が変わっていることが判明しました)。Webの検索で、この本や一般のガイドブックには載っていない店などを探し、さらにマップに書き込みます。そんなふうにして、ルートマップを作っていきました。


現地でもフリーのWiFiがそれなりに使えたんですが、使える場所は駅や商業施設、飲食店などに限られます。地図やショップ情報はすべてデジタルで用意する手もあると思いますが、ぼくの場合は、最初からスマホの地図アプリには頼らないつもりで、基本的には自分でアレンジした紙の地図というアナログ情報を元にして回りました。


現地で入手した本屋本のなかには、事前の情報収集にも役立ちそうなものがありましたので、それらについては、買った本のレポート記事でふれたいと思います。


◆書店のビニール


「Do you need a bag?」……どの書店でも、これは「必ず」きかれました。マイバッグは日本よりもずっと浸透している感じで、それは書店の店頭でも同様でした。


要らない、というと、日本の場合は店を出るまではレシートを一緒に、とひとこと注意があることが多いけれど(なかには、本のカバーに直接シールを貼ろうするような、乱暴なお店もあったことは以前に記事で紹介したことがあります)、そのような注意も何もなしに、割に無造作にそのままぽんと本を渡される感じでした。


日本では本屋さんでの買い物時は断るようにしているビニールですが、書皮の代わりと記念ということで、買い物をした各店で入れてもらってきました。以下、買い物をした各店のビニールです。


ビニール Waterstones

↑Waterstones。シンプルなデザインです。


ビニール Foylesトート Foyles1トート Foyles2

↑Foyles。ビニールもテーマカラーの赤。とって付きのものは、日本でも昔は、書泉や岩波ブックセンターなど、いくつかありましたよね。Foylesでは、デザインもいいし、厚手でしっかりしていて、たくさん本を入れても大丈夫そうということで、店で売っていたトートバッグも買ってきました。本屋巡り(の結果、たくさんの戦利品を抱えて歩くことになる当方のようなタイプ)にはぴったりかも。2種あります。


ビニール アレフビニール アレフ裏

↑Alef Booksは店舗同様、ビニールのデザインもしゃれています。


ビニール DB

↑Daunt Books。店内のイラストをあしらったかっこいいデザイン。厚手のビニールを使った素材的にもしっかりしたもの。


ビニール FP

↑Forbidden Planet。お店の周辺にはこのビニールを手にした人がたくさんいましたよ。


ビニール SH博物館袋 SH博物館

↑シャーロック・ホームズ博物館のギフトショップのビニールと紙袋。書店ではありませんが、本の扱いもわずかにあって、ここでも本を買ったので、お見せしておきます。


◆ブックカバー(書皮)


ブックカバーは基本的にはありません。レポート記事にも書きましたが、ラッピングペーパー(包装紙)を複数置いているところはありましたので、ギフト用に、または自分用にそれらでラッピングする人はけっこういるのかもしれません。これは無料ではなく、売り物でした。


ブックカバー同様、日本の書店ではそれほどめずらしいわけでもない書店が独自に作っているしおりも、基本的にはありませんでした。買い物したときにつけてくれたのは、Daunt Booksのみ。レジなどの回りに自由に持っていけるようにと置いてあるものも見かけませんでした。


◆検索機


店に本があるかどうか調べてみたいなと思ったことが何度かあったんですが、基本的に、店内には検索機がありませんでした。これは最初のレポートで紹介したような大型店にも、ということです。もしかしたら、ぼくが見落としているだけかもしれませんが、短時間で効率よく店内を見たい、本を探したいということで店内を見て回っているぼくのような客が気づかなかったということですから、仮にあったのだとしても、目立たないか、わかりにくい場所にあったということなのかもしれません。


そもそも、検索機を使った本を探すようなニーズが書店客に少ないからなのか、それとも、スマホの普及で、何か探そうと思ったら、客は手元のデバイスで済ませてしまえるから、ということからなのか、そのあたりはよくわかりませんが、ちょっと意外な感じもしました。


◆無料配布物・フリーペーパー


この空犬通信でもしょっちゅう取り上げていますし、版元ドットコムでこんな連載もしているぐらいで、書店発のフリーペーパーにはとても関心があります。ロンドンの本屋さんではどうかなあ、おもしろいのが見つかるかなあ、と思って、訪問店では必ず、レジの周辺や検索機(自体がなかったわけですが)の近くに無料配布物のコーナーがないか、チェックしてみましたが、まったく見つけられませんでした。


これもレポートの記事に書きましたが、日本と違って、書店のスタッフが独自につくったPOPやチラシなど、また、平台・新刊台などを飾るグッズやつくりものの類がありません。書店スタッフが、自分たちのおすすめなどを、文書化してそれを配ろうという文化や発想自体があまり一般的ではないのかもしれませんね。


書店の店頭で無料配布されているものとしては、『TimeOut』がありますが、これはあちこちの店頭でよく見かけました。これは、以前は有料だったロンドン名物のシティマガジンですが、今では無料誌となって、書店などで配布されています。(調べてみたら、無料化されたのは2012年のことだそうです。)イギリスでは新聞の無料化も進んでいますから、同じ流れにあるのかもしれません。(こちらも調べてみたら、こんな記事が見つかりました。後にふれる地下鉄車内の読書事情などにも関連する内容で、写真も見られますから、興味のある方はご一読を。)


◆ロンドン本屋巡りの移動手段


日本で、丸善丸の内本店のある東京駅周辺、紀伊國屋書店のある新宿周辺、ジュンク堂書店のある池袋周辺を回ろうと思ったら、JRか地下鉄を使うことになり、それらのエリアをすべて徒歩で回るというのはまず無理ですが(これら3地域横断どころか、池袋や渋谷レベルの街になると、駅周辺に散在する複数の書店を歩いて回るのですら大変です)、ロンドンの場合、街がずっとこぢんまりしているため、その気になれば、今回紹介したようなエリアは歩いて回れます。実際ぼくも途中、少しだけバスや地下鉄を使っていますが、8割方、歩きで回ってきました。


歩きのほうが、店と店を移動する途中の街並や景色も楽しめますし、交通機関に乗っていては気づかないようなスポットにも出会えたりしますから、体力と地理感覚に自信のある方には、徒歩を中心にルートを組まれることをおすすめします。


ただ、いくら歩いて回れるエリアだとはいえ、やはり徒歩「だけ」では大変です。一日に、あちこちを移動して回るタイプの方には、オイスターカードがおすすめです。


オイスターカード

これは、日本のSUICAやPASMOと同じような地下鉄・バス共通で使える交通カードです。大変便利で、これがあるとないとでは、ロンドン市内の移動の手間や時間が大きく変わってきます。日本でも買えますので、WEBやガイドブックで入手方法や使用方法をチェックしていかれるといいと思いますよ。


そうそう、前回(といっても、しつこいようですが、四半世紀前)にロンドンに来たときは、路線図で行き先までの値段を調べて、窓口で、「50(ペンス)、プリーズ」などといって買ってたんだよなあ、ということを思い出したりしました。


◆地下鉄内の読書事情


本屋巡りは徒歩を中心にしましたが、それ以外の用事のときは、地下鉄をよく使いました。ロンドンの地下鉄は東京の地下鉄と仕組みなどが似ていますから、使いやすいんですよね。


地下鉄に乗るたびに、車内で、現地の人たちが何をどんなふうに読んでいるのか、なんとなく観察してきました。(曜日も時間帯も、乗った路線も偏っていますから、個人の印象レベルのことだと思ってください。)


車内は、日本同様、やはりスマホに夢中の人が多いようでした。タブレットはあまり見かけず、やはりみなスマホですね。何を読んでいるのかまではさすがにわかりませんでした。電子書籍専用端末は、ロンドンでは見かけませんでしたが、別の街に移動する際に利用した、移動距離の長い電車の中や、飛行機の中ではわずかに見かけました。


朝と夕方の時間帯は、意外にも紙の新聞を読んでいる人の姿をそれなりに見かけました。(先に引いたこちらの記事に車内の様子をとらえた写真があります。)イギリスでは、地元紙のいくつかが無料化されていて、朝刊・夕刊の時間帯になると、駅の周辺など、あちこちで配られているようで、ロンドンでもそうした光景を実際によく目にしました。その効果なんでしょうか。日本では電車内の紙新聞派は激減してしまっているので、同じ車内に紙の新聞を広げている人が何人もいる、しかも、日本ではまず見かけないような紙の新聞を手にした若者までいる、というのはちょっと新鮮な光景でした。


一方、紙の本のほうはというと、残念ながらというかなんというか、読んでいる人は非常に少ない印象でした。新聞とは逆で、地下鉄車内で紙の本を読んでいる人の姿は、日本よりも少ない印象です。


ただ、今回ロンドンで訪問した書店はいずれも、それなりに人が入っていて、閑古鳥みたいなところはありませんでしたし、大型店では、レジに人が並んでいる光景もふつうに見られましたから、もう少し本を読む人を見かけてもいいのになあと、そんなことを思ったりもしました。時間帯や場所、シチュエーションにもよるのかもしれません。


◆写真撮影


日本の書店では、やはりデジタル万引きのことが大きいのか、店内での写真撮影については禁止であることを貼り紙などで明記しているお店が少なくありませんが、ロンドンでは、(例のカメラにばってんのような)店内に撮影禁止のサインが出ているところは見かけませんでした(検索機などと同様、ぼくが気づかなかっただけという可能性ももちろんあります)


ただ、それでも店内の写真を撮るときは、やはりお店の人に断ったほうがいいと思います。今回の本屋巡りでは、お店を自分の目でじっくり見たかったこともあって、店内の撮影はあえて控え目にしました。そのため、レポートでも店内写真は少なめになっていますが、いくつかの店では撮影をさせてもらっています。そういうときはお店の人に必ず断るようにしていました。


写真を撮っていいか聞いたら、快く、Sure!と返してくれる店・店員がほとんどでしたが、一度だけある店で、「なんで?」と聞き返されたことがありました。そのときは、日本の出版社で働いていて、本のリコメンドをどんなふうにしているのか、興味があって調べているんだ、というようなことを説明して撮らせてもらいました。(ちなみに、そのときの店員が、Tシャツからタトゥーだらけの腕がはみ出している強面のあんちゃんで、あからさまに不審顔で尋ねてくるので、最初はちょっとびびってしまったんですが、このように説明したら、なんだ、本の関係者じゃん、仲間じゃん、とでも思ってくれたのか、急ににっこり顔になって、いいよいいよ!、と(笑)。余談ですが。)


店頭で無断撮影して、トラブルになったりしたら、英語が達者な人はともかく、英語で事情を伝えたり謝ったりしたりするだけでも大変ですから、そこは慎重にしたほうが良さそうですね。


ほかにも、日本の書店事情の違いで、いろいろ気づいたことはあるのですが(棚や台の形状や配置の違い、照明、店内の案内表示、トイレ……などなど)、きちんと文章化してお伝えできるほどには、自分のなかでまとめきれていないので、これぐらいにしておきます。


ロンドンで本屋さん巡りをしてみようという方にとって、少しでも参考になれば幸いです。




追記(5/7):大原ケイさん(@Lingualina)が当方の記事について、指摘というか感想というかをツイートされていました。大原ケイさんも個人的な意見のおつもりでしょうし、そもそもこの指摘なり感想なりも直接いただいたわけではありませんので、それに何かを返す必要は本来ないわけですが、1つだけ気になったところがあったので、それについてふれておきます。


こちらがちょっと気になった点というのは、地下鉄車内での読書の件についてです。地下鉄で紙の本を読んでいる人は、もともと多くはないだろうとは想像していましたが、新聞を読んでいる人の姿が意外にもけっこう目についたので、それに比べると、という意味合いで、少なく感じたと書いたのですが、それに対して、大原ケイさんは《ロンドンやニューヨークみたいな都市だと、テロも含めて何が起こるかわからないから少しは周りの様子に気を配りながら乗ってるんだよね》とツイートされています。


そうだろうなあ、と思うところと、そうかなあ、というところ印象としては半々です。ぼくが大昔(くどいようですが、四半世紀前)にロンドンに初めて行ったころ、当時のガイドブックには、ニューヨークほどではないけれど、ロンドンもやはり地下鉄は注意が必要であること、日本みたいにのん気に居眠りをしている人は地下鉄車内にはいないことなどが書いてありました。実際、初めての海外旅行だったこともあって、こちらも慣れるまでは地下鉄利用時は緊張したことをなんとなく思い出したりします。(でも、割にすぐ慣れました(笑)。)


今回はどうだったかというと、直前にベルギーの事件があったので、過去にテロ騒ぎのあったロンドン市内の交通機関はもっとぴりぴりした雰囲気だったり、警備が厳しくなっていたりするのでは、と思っていたのですが、(ふだんを知らないので、ふだん通りかどうかは判断できませんが)海外旅行者にそのようなことを思わせるところはとくに感じられませんでした。


車内を見ると、多いのはスマホ族。これは日本と同じで、けっこう没頭している感ありありの人も多いし、日本同様、イヤホンで耳をふさいでしまっている人も多い。周りをシャットアウトということで言えば、スマホ族は、紙の本を読んでいる人以上にそのように見えます。《周りの様子に気を配》っているからというのももちろんあるかもしれませんが、その理由「だけ」では、紙の本を読んでいる人の姿が少ないことは説明できないように思うのです。これは、今回、ロンドンの地下鉄内の様子を自分の目で実際に見てきた者の印象です。


あと、驚いたのは、大昔に旅行したときにはたしかに見かけなかった車内居眠りですが、今回は、ふつうに複数いました。観光客っぽい人ではなく、現地の人っぽい人でした。


イギリスは、国際空港も厳戒態勢というような雰囲気はとくに感じられませんでしたから、そのあたり、ベルギー事件の影響も大陸の他の国のそれとはちょっと違っていたのかもしれませんが、それらについては印象以上のことはわかりませんので控えます。


厳戒態勢、ということで言えば、圧倒的にぴりぴりしていたのは(それが、通りすがりの観光客にも感じられる程度に、という意味で)、シャルルドゴール空港。トランジットで数時間滞在しただけだというのは本文に書いた通りですが、パスポートコントロール以外のところにも、警官、それも、にこりともしない、あやしいやつは絶対通さないぜ的なものすごく厳しい雰囲気の警官が立っていて、乗換客全員のパスポートを厳しい顔でチェックしていました。荷物検査を経て搭乗ゲートのある出発ロビーに入るまでの雰囲気は、なんというか、ちょっとこわめでしたね。シャルルドゴール空港は、10年ぐらい前に、同じくトランジットで利用しているんですが、そのときは、あまったユーロを使って買い物するのが楽しかった、という記憶しかないので、今回、雰囲気の違いが、印象に残りました。


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