空犬通信

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ロンドン書店回り その2……個性派書店、その他編

ロンドン本屋巡りレポートの続きです。今回は、大型書店以外の中小規模店、個性派店をご紹介します。(店内写真はすべてお店の方に断って撮影したものです。写真は3月頃の様子で、お店の様子は変わっている場合があります。)



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アレフは、エジプトのチェーン書店。ベーカー・ストリート沿いにあるこのお店は、2015年に初の海外支店としてできたばかりとのこと。観光名所として人気のシャーロック・ホームズ博物館と同じ並びにあり、駅から見ると博物館の数軒手前という絶好の立地です。実際、シャーロック・ホームズ博物館の帰り道と見られる観光客が多く立ち寄っているようでした。ぼくもシャーロック・ホームズ博物館を見た後に寄ってきましたよ。



エジプトの一般的なお店がどんな感じか知らない身でいうのもなんですが、壁紙の模様、什器の色合いなど、店舗デザインに、この後あちこちで目にすることになるロンドンの他の書店とは違った中東風でおしゃれな雰囲気が満ちています。ただ、過度にエキゾチックな感じにはなっていないので、ふつうの本屋さんを求める客が長居しづらい感じはありません。


基本的には、英語の本を扱うふつうの本屋さんですが、店内をよく見ると、アラビア語の書物がたくさん並んでいます。おもしろいのは、アラビア語書物のコーナーをもうけて、そこだけに集めるのではなく、英語書籍と棚を分けずに並べたりもしているところ。店内のあちこちにアラビア語のジャンル表示や背文字が見えることになりますから、異国感もいや増します。


本のディスプレイには奇をてらったところはなく、オーソドックスな感じです。在庫点数はそんなに多くはないようで、面陳・平積みが多用されています。文芸の新刊平台には、新刊・準新刊がずらりと並び、うちいくつかには「BUY ONE / GET ONE /HALF PRICE!」のシールがついていました。これは、2冊買うと、2冊のうちどちらか(通常は高い値段のほうとのこと)が半額になるというサービスです。この店独自のサービスではなく、あちこちの新刊書店でふつうに見かけました。


それほど大きくはないスペースをうまく活かすようなディスプレイの工夫がなされていて、店内の本は見やすく、おすすめの本などもわかりやすい並べ方になっています。ただ、POPやチラシの類はいっさいありませんでした。


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↑フィクションの棚は、面陳多用。


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↑店内にいくつか置かれた台。本がぎっしりと平積みになっています。


通りに面した窓側に数本の棚が並びますが、外観写真からもわかる通り、窓が大きめにとってあるため、その分、棚は少なめ。窓の前は大きめの平台になっていて、そこにもたくさんの本が平積みされていました。


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↑窓ぎわに置かれた平台(左)と、その平台の置かれている窓を外から見たところ(右)


店内中央には背の低い棚が背中合わせで並び、上段ではロンドン本やビジュアル本などを面陳多用で見せていました。下の段にはアラビア語の本が並んでいました。先に書いた通り、とくにここからはアラビア語の本といった表示もなく、あえて混在させているような感じでした。


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↑店内中央の棚。写真ではわかりづらいかもしれませんが、上の段は英語の児童書や一般書が並んでいますが、下の段にはアラビア語の本が並んでいます。


店の奥には、児童書コーナーがあります。壁で緩やかに仕切られ、独立性の高いスペースになっていました。本は、書棚に比較的整然と並べられています。おもちゃが並んでいたり、面陳になっていたりする本もありますが、全体にはおとなしめのディスプレイです。


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↑児童書の棚。


スペース中央には、小さなテーブルと子どもいすがおかれていましたが、これは読書用ではなく、陳列台として使われているようで、実際、テーブルには本が並べられていました。


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↑児童書コーナーに置かれたいすとテーブル。実際に座り読みコーナーとしても使えるようですが、テーブルはご覧のように平台代わりに。いすの1つにはパディントンが座っていました。


その代わりということなのかどうかわかりませんが、児童書コーナーの外、すぐ脇のところに、座り読みコーナーが設置されていました。コーナーといっても2人がけのソファ席。絵本『Are You Sitting Comfortably?』が飾ってあるのが、しゃれていますね。


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↑あざやかな赤が目を引く座り読みコーナーと、児童書コーナー。


雑貨の扱いもありました。ロンドンみやげのグッズ類、文房具、読書グッズ(読書灯、しおり、ブックスタンドなど)、ペンギンのペーパーバックデザインのトートバッグなど。ただし、点数はそれほど多くはありませんでした。この雰囲気ならカフェがあってもおかしくない感じですが、カフェはありませんでした。


日本ならば、この立地、この規模で2015年に新規店をオープンしようと思ったら、カフェ併設の複合店になりそうなところですが、こちらは、書籍中心の品ぞろえで、それも外国語の書籍の占める率の高い品ぞろえのお店。日英の違いを単純比較するつもりはありませんが、新刊書店の開店閉店を追いかけてきた身には、とても興味深い事例でした。


DAL AR TAQWA BOOKS

↑すぐ近くには、イスラム系の書店、Dar Al Taqwaが。



今回のロンドン本屋巡りで、もっとも楽しみにしていたお店の1つが、こちら、ドーント・ブックス。ぼくが大昔にロンドンで本屋巡りをしたときにはなかったお店ですが、その後、本屋関連の文献や特集で何度もその外観や店内の様子は目にしていましたから、行ってみたいなあとずっと思っていたのでした。


お店は、シャーロック・ホームズでおなじみ、ベーカー・ストリート駅から徒歩数分、ポールスミスなどのブランドショップが並ぶマリルボーン・ハイストリート沿いにあります。


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↑外観。店の前の車がちょっと残念……。入り口が2つあって、2つのセクションに分かれていることがわかります。


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↑左側の入り口脇のウインドー。


緑をテーマカラーにした重厚な外観は、写真で何度も目にしていましたから、すぐにわかりました。日本でいうと東京堂書店のような雰囲気のお店です。というか、東京堂書店が改装にあたって参考にしたのではないかと言われている本屋さんなので、こちらがいわば本家ですね。


外から見ると小さめに見えるなあと、思って店内に足を踏み入れると、奥行きがあるのと、天井が高めなのとで、中は思ったよりも広め。壁には背の高めの書棚が並び、本がぎっしり詰まっています。店内の様子も東京堂書店、それもかつての東京堂書店を思わせるような雰囲気です。


店内は左右に2つのセクションに分かれていて、左側は手前がFiction、奥にはリファレンス、趣味書、生活実用、児童書などが並んでいます。右側には、手前がBiography(英語圏ではこのジャンルが非常に充実していて、かつ一般的)、Nonfictionなどが並んでいました。


その奥のスペースは、1階、地下1階、中2階(ギャラリー)と、ここだけが複層階の造りになっています。地下にはアフリカなど、1階にはヨーロッパなど、中2階にはロンドン、ウェールズなどのように、エリアごとに本がまとめられていました。ガイド、地図だけでなく、そのエリアに関係のある文芸書・人文書などもまとめられていて、なかなか見応えがあります。この店はもともと旅行者のための本屋さんだったのが書籍全般を使う一般書店に転じたと言いますから、各国本の品ぞろえが圧巻なのもなるほどという感じでした。


中2階(ギャラリー)は入り口側から見て左側がロンドン、ウェールズ、スコットランドなど、イギリス関係で、右側には古書が並んでいました。


今回は新刊のチェックをメインにと決めていたので、古書はざっと流すだけで、とくにどんなものがセレクトされているかとか値段がどうなっているかとかはチェックはしませんでした。ただ、棚の前をぶらぶらしていたら、ナボコフのハードカバーが目についたので、それだけ抜き出して値段をチェック。『Details of a Sunset and Other Stories』(ロシアに届かなかった手紙)、『A Russian Beauty and Other Stories』(ロシア美人)、『Glory』(青春)の3点ですが、値段を見てみたら、いずれも35ポンド(7000円弱)とけっこう高めです。うち『Sunset...』は同じハードカバーをぼくもたまたま持っているんですが、神保町(田村書店)で1500円で買ったっけなあ……だからどうだという話ではありませんが、参考に記録しておきます。


このギャラリーがあるエリアは天窓になっていて、明るいのはいいんですが、本の焼けが心配になります。よく見ると、天窓の部分はシートで覆えるようになっていました。


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↑吹き抜けエリア。左が1階、中が2階。右も2階で、1階がどんなふうに見えるかがわかります。左の写真では、天窓の一部にシートが見えているのがわかるでしょうか。写真手前に手すりが見えているのは、地下への階段。写真中央の男性の左に移っている、シート状のものはラッピングペーパー。イギリスの書店にはブックカバーはありませんが、こうしたラッピングペーパーは一般的なのか、あちこちの本屋さんで見かけました。有料です。


店内左側のエリアのいちばん奥は、児童書のコーナーになっています。大きなスペースではありませんが、奥の棚で自然に区切られたかっこうの奥まったスペースのため、居心地は良さそうです。面陳をうまく使っているため、圧迫感もありません。座り読みのコーナーはありません、小さないすが一つだけ用意されていて、ちょうど若いお母さんが子どもをいすに座らせ、自分はその傍ら、床にべたりと座り込んで読み聞かせをしている場面に出会えました。


この店にかぎったことではありませんが、「Fiction」「Nonfiction」「Biography」などジャンル表示は、細分化された日本のそれに慣れた目にはずいぶんあっさりしたものに見えます。下位区分表示がほとんどされていないため、ファミリーネームのアルファベット順で探せばいいFictionはともかく、ジャンル混在のNonfictionやBiographyは、慣れないと、とくに外国人には目当ての本を探すのが大変。


POPやチラシなど、日本の書店でふつうに使われている拡材のたぐいは、出版社が用意したものも、店で独自に用意したものも、どちらもあまり見あたりません。わずかに、版元用意の本のポスターがある程度。


ときどき「DAUNT BOOKS」という帯がかかっている本があるので、おすすめ本かと思って見てみたら「Signed Copy」(サイン本)でした。前回のレポートにも書きましたが、以前(といっても四半世紀前ですが)は一度も見かけなかったサイン本。現在ではロンドンでも、日本同様、サイン本はふつうに新刊書店で売られているようでした。


『18 Bookshops』という本屋本がnonfictionの棚で見つかったので、ほかに本屋本はあるかと店員に聞いてみました。すぐに検索で調べてくれたんですが、これというのがないらしく、ユーモアものでよければ、ということで、案内してくれたのが『Weird Things Customers Say in Bookstores』。もう持ってるというと、ほかにはないとのことでした。前回のレポートに書きました通り、『BOOK LOVERS' LONDON』という本にこの後Foylesで出会うんですが、この店にはなく、「bookshop」「bookstore」で調べてくれたからなのか、検索にもひっかからなかったようでした。


今回ロンドンで回ったお店で唯一、お店のしおりが用意されていて、買った本につけてくれました。


Daunt しおり表Daunt しおり裏

↑しおりには、「DAUNT BOOKS FOR TRAVELLERS」とあります。また、同店を"The most beautiful bookshop in London - designed for travellers who like reading" と評したDaily Telegraphの文章が引用されています。


ギャラリーのある吹き抜け部分を除けば、ざっとひと回りすれば全ジャンルを見渡せるサイズと造りのお店です。前回のレポートで紹介した大型書店とはまた違った良さがあります。本屋好きのみなさんはロンドンの本屋巡りのルートに加えるのを忘れずに。


大型書店以外は、まとめて1回で報告するつもりが、まだ2店なのにすでにこの長さになってしまったので、いったんここで稿を分けます。


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