先日、近所でツバメの姿を見かけました。
ぼくは鳥が好きなんですが、野鳥のなかでも、とくにツバメが大好きです。そんなツバメびいきの身には、一年でいちばんうれしい季節の到来です。これからしばらくの間は、通勤の行き帰りに街で彼らの姿を見るのが、また巣での子育ての様子(まだ少し先ですが)を見るのが、とても楽しみです。
ツバメに関する本は毎年のように新しいものが出ていますが、今年も先ごろ、こんな本が出ました。
- 考森まさひで『ツバメの観察記 たくさんのふしぎ傑作集』(福音館書店)

巣作りの様子から始め、産卵、抱卵、ひなへのえさやり、成長、巣立ち、アシ原のねぐらへの大集合、そして南への旅立ちまで、写真と文章で非常にわかりやすく見せてくれています。「新刊」といっても、元になったのは2004年発行の『たくさんのふしぎ』ですが、ツバメの子育ての様子の流れを写真で見せる作りになっているため、十年以上前の情報でもまったく問題ありません。
ツバメに限定した本ではありませんが、最近出たこちらの野鳥本にもツバメが登場しています。
- 大橋弘一『日本野鳥歳時記』(ナツメ社)

帯には、「鳥の呼び名」「昔話や伝説」「文学との関わり」とあります。紹介されている野鳥それぞれの生物学的な生態の解説ではなく、「はじめに」にあるように、「「文化系」的な見方で鳥の見方をご紹介」した1冊です。大きめでカラーの図版もたっぷりで、図鑑タイプの野鳥本とはまた違った、ページをめくる楽しさにあふれた本です。
ツバメ(本書では「燕」。通常鳥の名称はカタカナ表記ですが、漢字の持つ魅力を強調するためということで、本書では漢字表記に読みをそえたものが見出しにあげられています)は、《人々に愛される春の象徴》として、紹介されています。
こちらもツバメに限定した内容ではありませんが、最近出た野鳥本のなかでは印象に残るものの一つです。
- 樋口広芳『鳥ってすごい!』(ヤマケイ新書)

冒頭、「はじめに」から鳥への愛あふれる筆致で、野鳥たちの飛行術などの身体的能力の高さや、くちばしや羽毛色のバリエーションといった身体構造的な魅力など、鳥たちのどこががどう「すごい」のかをわかりやすく伝えてくれる1冊です。
ちなみに、この文章は、関東で春の嵐が吹き荒れた4/17に書いています。朝からの強風は、屋内にいても不安になるほどの音で、野鳥たちの巣やひなは、そして、ひなだけでなくからだの小さな野鳥たち自身は大丈夫かなあと、気になっていました。
午後からは少し空も明るくなってきましたが、ガラスごしにはまだまだごうごうと風の音が響いています。パソコンに向かう当方の目の前にある窓を、時折黒い影が高速で横切ります。ツバメです。大きな木々の枝をわさわさと揺らすほどの大風のなか、これから近所で子育てをするのであろう2羽のツバメが、すいすいと空を駆け巡っていました。まさに「鳥ってすごい」なあと、そんなことを思わずにはいられませんでした。



↑毎年、ツバメたちの姿を見かけると、その姿をぜひ写真に収めたいものだとカメラを片手に窓の前でがんばってみるのですが、当方の腕と機材ではまったく歯が立ちません。かろうじて写っているような写っていないような、そんな写真ばかり(苦笑)。

↑当方のツバメ好きを知る知人がこんなすてきなしおりを送ってくれました。