空犬通信

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武井武雄、村山知義、竹久夢二らが描く大正モダン・キッズ……板橋区立美術館で『子供之友』原画展が開催中

やっぱり原画はいいなあ、と実感させられました。こんな展覧会を見てきましたよ。


子供之友原画展 チラシ表子供之友原画展 チラシ裏

展示の内容について、ちょっと長くなりますが、美術館のサイトから内容紹介を引きます。《子どもたちに向けた、モダニズムの新たな文化が花開いた大正期。自由な風潮のなか、『子供之友』は、1914(大正3)年4月に婦人之友社の創業者羽仁もと子、吉一によって創刊されました。その後、1943(昭和18)年に第二次世界大戦下における用紙制限によって休刊するまでの30年間、子どもの自立による近代的な人間育成を一貫して掲げ、生活教育を積極的に展開した絵雑誌として、童話や伝記読物、漫画やクイズなどの多彩な内容で多くの子どもたちから愛されました》。



《創刊より絵画主任を務めた北澤楽天の洒脱でユーモアあふれる表現に、竹久夢二の豊かな情感が加味され、『子供之友』は当初から高い芸術性を誇りました。後年、童画家第一世代と呼ばれる武井武雄、村山知義らも独自の作品を発表し、休刊まで多彩な画家たちの魅力的な作品が毎号を飾りました》。


《本展では、北澤楽天、竹久夢二、武井武雄、村山知義を中心に、最終号を飾った深沢紅子にいたる数々の画家たちが『子供之友』のために描いた原画150余点を一堂に展示し、その芸術性とともに、絵雑誌における子どもに向けた美術の世界を紹介するものです。また、原画とあわせて、雑誌『子供之友』も展示します。子どもたちを取り巻く社会環境が激動する今だからこそ、『子供之友』の歩みは、未来の大人である子どもたちに何をすべきか、その指針を与えてくれるに違いありません》。


紹介文中にもありますが、童画家第一世代による、時代を思えばあまりにもモダンなすばらしい絵の数々を、たっぷり楽しむことができます。ぼくは、この世代、画家群のなかでは、武井武雄、村山知義がとにかく大好きで、刊本・絵本・作品集などをいくつも持っているのですが、やはり原画はいいですね。印刷物で見るのとはまったく別の魅力があり、本や作品集でよく見知っている絵でも、思わず目を奪われてしまうこと必至です。


武井武雄、村山知義作品がお目当てだったので、この二人の絵が想像していたよりもたくさん見られて、大変満足。それだけでも行ったかいがあったんですが、ほかにも、この二人ほどには知らなかった画家にもすばらしい絵がたくさんありました。また、雑誌の実物も展示してあり、観音開きなど、絵をパノラマのように横長に見せる工夫など、紙面や造本にこらされたアイディアが、ページをめくる動画なども使って紹介されていました。雑誌好き、装丁好き、グラフィックデザイン好きは要チェックでしょう。


展示は3月27日(日)まで。紹介が遅れ、あと20日を切ってしまっています。ご興味のある方は忘れずに駆けつけてください。平日は17時までと閉館が早いので、訪問時間にもご注意を。


子供之友原画展 美術館外観1子供之友原画展 美術館外観2子供之友原画展 美術館外観3

↑同館の外観。後述しますが、美術館のある公園内に入ると、この季節は梅が開いていて、いい感じなのですが、それまでの道がちょっと……。


子供之友原画展 美術館内観1

↑中に入ると階段がこんなふうになっています。


子供之友原画展 書影1子供之友原画展 書影2

↑目録は買いませんでしたが、婦人之友社から刊行されている『子供之友』復刻版のうち、村山知義の表紙画が大好きな号を買ってきました。この、ちょっとさびしげな女の子の横顔、不思議なバランスの家、色使い、絶妙な文字バランスのタイポグラフィ、全体のデザイン……何度見てもいい表紙、いい絵だなあ、と思います。


子供之友原画展 書影3

↑こちらは、同じく婦人之友社から出ている『村山知義童画集』。『子供之友』に寄せた作品が収録されています。


同館1階のミュージアムショップでは、上記2点を含む、『子供之友』関連書籍が販売されていますので、帰り際のチェックをお忘れなく。


ところで、この板橋区立美術館、児童書・児童文化に興味のある方には、「ボローニャ国際絵本原画展」の開催館としておなじみの美術館ですよね。昼休みや会社帰りにふらりと行ければいちばんいいんですが、残念ながら、東京都西部エリア在住者にはアクセスがいまひとつで、武蔵野からはともかく、勤務地の神保町からでもちょっと面倒なんですよね。


いくつかルートがありますが、たとえば、都心から都営新宿線を利用して西高島平で降りる場合だと、水道橋または神保町から乗換こそないものの約30分。西高島平駅は、駅周辺にコンビニだのチェーン店だのがずらりの駅に慣れた身には驚くほどシンプルな駅で、ふだん降りない駅を利用する際の最大の楽しみである書店は当然なく、食べるところも駅前にラーメン屋さんが1件軒あるだけ。よそ者には、ちょっとさびしい感じです……。


降りてから美術館までの距離は徒歩で公称13分。美術館を含む赤塚溜池公園は梅まつりで知られるところですから、ついてしまえば季節によっては花も楽しめていいんですが、そこまでの道が殺風景というかなんというか(個人の感想です)。首都高速沿いの、途中に店がコンビニしかないような道をひたすら歩かねばならず、散歩気分を楽しめるようなルートとは残念ながら言いがたい感じ。なので、数字から受ける印象よりも遠く感じます。


ただ、サイトにはこんなお散歩マップ(PDFです)もあがっていて、ルートによっては、もう少し行き帰りを楽しめるようです。(ぼくは、他のルートを試したことがないのでよくわからないのですが……。)ですので、同館を訪問される方は、前後の時間に余裕をもって、このお散歩マップを事前に用意して、成増か下赤塚を利用するルートを試してみるといいかもしれませんね。以上、同館を訪問される方の参考までに。



本の力を実感させてくれる展示としては、これもぜひおすすめしたいです。



祖父江慎展 1祖父江慎展 2

千代田区立日比谷図書文化館で、3/23まで。


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コメント

いいなあ・・・

ああ、羨ましいです。
五味太郎さん、馬場のぼるさん、佐々木マキさん、SF展、
原画展行ったのは以上の作家さん方のみ。
原画ってほんと美しいですよね~。

村山さんは「おなかのかわ」が好きです☆
長男が保育所で買っていた「こどものとも」で出会いました。

  • 2016/03/11(金) 21:32:55 |
  • URL |
  • みこ #nLnvUwLc
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美術館の周辺には東京大仏や植物園もあって、これからは成増方面からのお散歩にもいい季節です。

  • 2016/03/14(月) 00:37:13 |
  • URL |
  • Nob #-
  • [ 編集 ]

原画展

みこさん>
いつもありがとうございます。

> 五味太郎さん、馬場のぼるさん、佐々木マキさん、SF展、
いい原画展にあたりましたね。
印刷物とはまた違った魅力があっていいですよね。
今回紹介したものも、お近くならばぜひにと
すすめたいところです。

  • 2016/03/14(月) 23:44:02 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

……

ワロタの私だ さん>
訪問&コメント、ありがとうございます。
擁護してくださったととっていいのでしょうか……。
ただ、自分のブログのコメント欄でこのような
やりとりがされるのは本意ではなく、前のコメントを
ご覧になっている方がほかにもいるかもしれないので、
しばらくそのままにしますが、その後は
申し訳ないですが、こちらのコメントも削除と
させていただきます。

  • 2016/03/14(月) 23:46:31 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

美術館周辺散歩

Nobさん>
訪問&コメント、ありがとうございます。
成増方面からは行ったことがないので、次に機会が
あったら、試してみたいと思います。情報、ありがとう
ございます。

  • 2016/03/14(月) 23:47:35 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

四月から・・・

空犬様、
この展覧会は間に合いませんが、四月以降ちょっと身軽になるので
(次男が高校卒業したので)
東京方面でなにかいい催しがあったら、
馳せ参じたいと思います。
北陸新幹線で長野にも寄ってみたいし、
国立近代美術館や古本屋さんにも行きたい。
あちこちアンテナ張っているのですが、
空犬様の情報も楽しみに読ませていただきますね~☆

(地元で観られたのは五味太郎さん展のみ。
遠征しなければほとんど観られません・・・泣)

  • 2016/03/17(木) 13:56:33 |
  • URL |
  • みこ #nLnvUwLc
  • [ 編集 ]

展覧会情報

みこさん>
この春から動きやすくなるとのこと、
あちこちでいい展覧会・イベントに出会えると
いいですね。

またおもしろそうなものがあったら
このblogやツイッターで紹介したいと
思いますので、何かの参考になれば
うれしいです。

  • 2016/03/22(火) 20:46:40 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

空犬様、こんにちは。
上橋菜穂子さんの守り人シリーズの展示が、世田谷文学館で催されるようですね!
嬉しい!大好き!! 
読み始めた頃は(3作目あたり)こんなにもスーパー注目される作品になろうとは
思ってもおらず。知る人ぞ知る、って感じの児童文学になるなって感じでした。
今ではこんなに大きい存在になって、複雑ではありますが、
どうなふうに展示されるのかとても楽しみです。

というわけで初夏は世田谷と国立近代美術館(東山魁夷作品目当て)、
そして余裕があれば中央線沿線の古本屋などにも寄ってみたいです。
コンコ堂とか。

  • 2016/04/12(火) 18:34:34 |
  • URL |
  • みこ #nLnvUwLc
  • [ 編集 ]

初夏の散策

みこさん>
いつもありがとうございます。

> 上橋菜穂子さんの守り人シリーズの展示が、世田谷文学館で催されるようですね!
おお、そうでしたか。チェック漏れでした。
これですね。
http://www.setabun.or.jp/exhibition/exhibition.html
ドラマの放送もあり、いいタイミングですね。

文学館に美術館、古本屋……初夏の散策、楽しみ
ですね。天気に恵まれますよう。

  • 2016/04/12(火) 21:45:41 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
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