空犬通信

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木山捷平の「新刊」が一度に3冊も出るなんて

1904年生まれで1968年没だから、生誕も没後も、何周年というきりのいい年には関係がない、はず。最近、メディア化されたとか、何かに取り上げられたという話もきかない。偶然、重なっただけなんでしょうか。木山捷平の「新刊」がこの1月に3冊も店頭に並びましたね。



書影 行列の書影 暢気な書影 酔いざめ日記

《読書人のための、新たな文芸書シリーズ》として、2015年1月に創刊された銀河叢書。渋めのセレクトと瀟洒な造本で、昭和の文学好きをうならせ、喜ばせてきたシリーズですが、創刊1周年ということで、同時刊行されたのが今回の木山捷平の未刊行作品2点。


タイトルからして木山捷平らしいとしかいいようのない『行列の尻っ尾』は《酒を愛し、日常の些事を慈しみながら、文学に生涯を捧げた私小説家の未刊行随筆89篇を初集成》というもの。こちらも、書名に木山捷平感があふれる『暢気な電報』は《ほのぼのとした筆致の中に浮かび上がる人生の哀歓。新発掘の、ユーモアとペーソスに満ちた未刊行小説集》。そろえると値はややはりますが、木山捷平読みなら、これは2点とも手元に置いておきたくなりますよね。


そして、旺文社文庫なき後、木山捷平の諸作品を、詳細な巻末資料付きで世に送り出し続けてきた講談社文芸文庫からも新刊が。『酔いざめ日記』は、こんな内容です。《昭和七年(二七歳)から、亡くなる直前の昭和四三年(六四歳)までの木山捷平の日記、初文庫化》。そう、これ、初文庫化なんですよね。


《詩から始まり、昭和八年に太宰治たちと同人誌「海豹」創刊後、小説を発表し、様々な作家と交遊を深めた木山。生活は困窮をきわめ、体調をくずしながらも書き続けた日々。作家の心情、家庭生活、そして何よりも、自らの死までも、じっと作家の眼で冷静に描ききった生涯の記》。単行本も持っていますが、やはり文庫(過去に何度か書いたことがありますが、日記は文庫という容れ物がぴったりだと思うのです)で、それも講談社文芸文庫でそろえておきたくなります。


それにしてもこの『酔いざめ日記』、講談社文芸文庫ですから、値段が高くなるのはある意味当然というかしかたないことですし、この本は740頁超と分量もありますから、それなりの値段になるのはわかるけれど、税込みで2700円の文庫というのはさすがにちょっとすごいですね。四六判上製で、300〜400ページほどの銀河叢書が3千数百円ですから、単純に値段の問題というよりは、どのフォーマットで出すのが、読者に届きやすいのか、読者にとっていちばんうれしいのか、本が残りやすいのか、というのが、この手の復刊(やそれに準じる)文芸ものを出すときの判断のしどころになってきているのかもしれませんね。

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コメント

根強い人気

驚きの二冊。
こうなれば、昭和35年の連載もの。(週刊文春)などもとおもいますが、どうでしょうか。

  • 2016/12/06(火) 14:49:46 |
  • URL |
  • ぽん #GCA3nAmE
  • [ 編集 ]

Re: 根強い人気

ぽんさん>
訪問&コメント、ありがとうございます。
まさに
> 驚きの二冊。
ですね。幻戯書房ならでは、という企画だと
思いました。

> こうなれば、昭和35年の連載もの。(週刊文春)などもとおもいますが、どうでしょうか。
幻戯書房や講談社文芸文庫には、さらに手広く
発掘、開拓してほしいものですね。

  • 2016/12/07(水) 00:53:06 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

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