空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

年初の読書(の続き)……音楽本

年初の読書、小説以外のものではこんなものを読了しましたよ。



書影 録音術

昨年新刊案内で見かけて、細野さんの音楽の愛好者兼宅録好きのプレイヤーには興味深い話が満載なのではないかと、刊行前から楽しみしていたもの。年をまたいでしまいましたが、本書で取り上げられている細野作品をBGMに、実に興味深く読みましたよ。



版元の内容紹介によれば、こんな本です。《歌謡曲からフォーク、ロック創世記の音づくり、コンソールの変遷、アナログからデジタルへ。テクノ、ニューウェイヴ、アンビエント、トランス…。激動のレコ―デング発展史と、あらゆるジャンルの音楽を咀嚼してきた細野晴臣。「自分と同業者のために音楽をつくっている」と公言してきた、その録音作品の歩みを、「未来の音楽」のために、エンジニアと細野晴臣本人にインタヴュー》。


インタビューの対象がエンジニアであることからも想像がつくと思いますが、よくある楽曲解説や、作品が生まれた背景などを解き明かす類の本でなく、本書のキーワードは「録音」。ですので、どのスタジオで録ったとか、マイクがどうとか、コンソールがどうとか、ミキシングがどうとか、そんな話が頻出します。頻出、というか、そういう話しか出てきません(笑)


ぼくは自分でもいっとき(アナログ時代に)宅録をしていたぐらいで、録音マニアチックなところがあったりするのですが、そういう身には大変おもしろい内容になっています(ただ、自分では存分に楽しみながらも、こういう話ってどれぐらい一般的なニーズがあるのかなあ、などと読んでいてちょっと心配になったりしたのも事実です(苦笑)


なので、万人向けとは言いがたいし、音楽好きなら、細野晴臣作品のファンなら誰でも楽しめる、とも思えないところがあるのですが、ただ、それでもあえて音楽好きには広くすすめたいと思うのです。


音楽の制作環境のデジタル化は、この本で語られているような70、80年代とは比べものにならないほど進化(と単純にまとめられない面もありますが、ともかく)しています。現在では、素人でもプロと同じような録音環境を用意することが費用的にも機材的にも可能になっています。実際、安価なアプリのなかにも驚くような高品質のものも出てきていて、それらを駆使して商業音楽と比べてなんら遜色のない独自の音楽を生み出している音楽愛好家たちがたくさんいます。


そのような時代だから、かつて音楽作品が、どんなふうに記録されていたのか、どんなふうに録音され、それが商品化されるまでにどんな過程があり、どんな苦労がなされていたのかを、現場に居合わせたプロたちのことばを通して知ることは、意味のないことではないと思うからです。


年初からいい音楽本に出会うことができました。細野作品、とくに個人的にも大好きな初期のものを、本書片手にじっくりと聴き返したくなりました。また、久しぶりにMTR(マルチトラックレコーダー)を引っ張り出して、宅録をやってみたくもなりました。


版元のDU BOOKSは、本書以外にも『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』『スタジオの音が聴こえる 名盤を生んだスタジオ、コンソール&エンジニア』など、単なる作品解説ではなく、その音がどのようにつくられたのかにスポットをあてたユニークな音楽本を複数出していますね。『細野晴臣 録音術』をおもしろく読めた方は、これらにも手を出してみるといいでしょう。


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