空犬通信

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梅崎春生の随筆集

先日買った梅崎春生のエッセイを読んでいます。



梅崎書影 悪酒の時代

まだ冒頭の数編に目を通しただけですが、副題にもなっている猫ものが実にいい味を出しています。食卓の上のものをかすめとる家猫に本気で怒っている様子を隠さない一篇など、実におかしい。しかも、続く一篇が、その一篇により、愛猫家の読者諸氏からさんざんな批判を浴びて難儀したという話だったりするのですから、ほんと、たまりません。



ところで。ある作家の作品を読む際に、最初にどの作品で出会うかによって、その作家の印象はずいぶん変わるでしょう。作風に幅のある書き手であればなおのこと。


梅崎春生の場合だと、たとえば、代表作の1つで直木賞受賞作の『ボロ家の春秋』と、遺作でこちらも名作の名高い『幻化』、どちらを先に読むかで、作家のイメージは大きく異なるのではないかと思います。


ぼくの梅崎作品との初めての出会いは、後者の『幻化』でした。一読、驚嘆しました。これはすごいなあ、と。後に、戦争もの、貧乏もの、梅崎作品はいろいろと読みましたが、今もなおぼくにとっての梅崎は『幻化』の作家です。


だからなおのこと、このような肩から力の抜けた日常エッセイが、なんともおかしくて、そして、なんとも好もしく感じられるのです。


真冬の深夜の飲酒読書にぴったりの1冊です。


梅崎書影 幻化

↑『幻化』の新潮文庫版。最初に読んだのは単行本ですが、今は文庫判で所有、愛読しています。左は同じく新潮文庫の『桜島・日の果て』。現在は、主要作品は講談社文芸文庫で読めます。


梅崎書影 ちくま

↑梅崎作品がバランスよくまとめられたちくま文学全集の巻『ボロ家の春秋』は収録されていますが、『幻化』は入っていません。巻末の解説は中野翠さん。表紙がチョウチンアンコウなのは、エッセイの代表作といっていいのかな、の「チョウチンアンコウについて」が収録されているから題材に選ばれたのでしょう。


梅崎書影 新書3点

↑昭和30年代に刊行されていた新書判の文芸書。いずれも装丁がいい感じです。左から、『春の月』『限りなき舞踏』『砂時計』。


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