空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

編集者の話はやっぱりおもしろいなあ

「編集」関係の本を続けて読みました。



編集本3点

『ミステリ編集道』、興味のある方のところを拾い読みしているだけでお腹いっぱいになってしまい、しばらく途中になっていたのを、ようやく読了しました。人選は超豪華だし、話の中身はおもしろいし、本の仕立ても読みやすいしで、すらすら読めそうな感じなんですが、なにしろ語られていることがいちいちすごいことばかり、含まれている情報量が、現在のミステリというよりは昔の探偵小説に興味があるような当方のような身にはとにかく半端でないので、さらさらと読み流すことができなくて、それで時間がかかっていたたのでした。



本書に登場する編集者は13人。その顔ぶれについては、版元のサイトか現物の目次をご覧いただきたいのですが、最初の5人のお名前をあげておくだけで充分でしょう。(かっこ内は版元のサイトに上がっている表現ママ。)
原田裕(東都書房/鮎川哲也、松本清張、山田風太郎らとの交流)
大坪直行(宝石社/「宝石」編集長)
中田雅久(久保書店/「マンハント」編集長)
八木昇(桃源社/大ロマン復活の仕掛け人)
島崎博(幻影城/「幻影城」編集長)


いやはや。どうですか。探偵小説好き、オールドミステリファンならば、この時点ですでにのけぞっているのではないでしょうか。『本の雑誌』の連載で既読のミステリ好きも多いと思いますが、13人の大先輩の話をまとめて読めるということに意味がありますし、まとめて、続けて読むと、13人の方の話が、あっちでもこっちでもつながっていたり、交差していたりするのがわかり、単独で読むよりもさらに興味深いものになっています。


次の『漫画編集者』は、《気鋭のインタビュアー・木村俊介が丹念に紡いだ、漫画が生まれる現場の第一線でたたかう5人の漫画編集者のインタビュー集》。取り上げられているのは、以下の方々です。
猪飼幹太/「月刊コミックリュウ」(徳間書店)
三浦敏宏/「ヤングマガジン」「ヤングマガジンサード」(講談社)
山内菜緒子/「週刊ビッグコミックスピリッツ」「月刊!スピリッツ」(小学館)
熊剛/「月刊Gファンタジー」(スクウェア・エニックス)
江上英樹/「IKKI」(小学館)


一応、こちらもそれなりの年数、編集の仕事に携わってきたわけですから、この年齢、このキャリアで、あんまり“素”な感想を口にするのもどうかと我ながら思うのですが……いやあ、おもしろいなあ。いろいろなジャンルの編集に関わってきましたが、コミックは、仕事ではまったく縁がなかったので、ひとくちに「編集」といっても、仕事の仕方、作家・漫画家との接し方などなど、ぜんぜん違うものだなあと、大変新鮮な思いで読みました。


それにしても。すばらしい仕事をしてきた編集者の話は、ジャンルや世代に関係なく、ほんとにおもしろい。トークイベントを企画・主催している身にも大いに参考になりました。


最後の『“ひとり出版社”という働きかた』。前2冊と違い、「編集」だけにスポットをあてたものではありませんが、とうぜん「ひとり出版社」のみなさんは編集もご自分で担当するわけですから、編集に関わる話もふんだんに出てきますので、併せて紹介します。タイトル通りの本で、「ひとり出版社」(厳密には「ひとり」出版社でないところも含まれています)の代表の方10人が登場しています。そのなかに、港の人、里山社、ゆめある舎など、イベントや出版関係の集まりでお会いしたことのある方が何人もいるほか、夏葉社の島田さんも寄稿しているとなると手にとらないわけにはいきません。


取り上げられている社やみなさんのやり方考え方のすべてに共感・賛同を覚えたわけではありませんし、お出しになっている本への関心の度合いも一様ではありませんが、大変に勉強と刺激とになりました。


出版関係のイベントを手がけていることもあり、「ひとり出版社」または小出版社の方とは縁があります。この本に登場する版元以外にも、ぼくの周り、知り合いだけで、苦楽堂、ビーナイス、猿江小會といった「ひとり出版社」がありますし、先日紹介したハマザキカクさんのパブリブもそうでしょう。また、面識はありませんが、先の『漫画編集者』に登場している江上英樹さんも退社後、ブルーシープを立ち上げています(パートナーがいらっしゃるようで、「ひとり出版社」ではないようですが)


昨年末には「ひとり」だけではありませんが、小さな出版社にスポットをあてたムック『一度は読んでほしい 小さな出版社のおもしろい本』も出ています。簡単にブームだのなんだのとまとめたくはありませんが、本の世界が厳しい厳しいと言われているいま、このような小さな出版社が次々に生まれているのは、とても興味深いことだと思いますし、すばらしいことでもあると思います。


ひとり出版社フェア冊子表ひとり出版社フェア冊子裏

↑「ひとり出版社」と言えば、こちらのフェアもぜひ。東京堂書店で開催中のフェア「ひとり出版社という生き方」、店頭で無料配布されているパンフレット。フェア自体も何度も通いたくなる中身の濃いものですが、このパンフレットも、手作り感にあふれていて、とてもいい感じです。

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