空犬通信

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吉祥寺の児童書専門店「トムズボックス」が今年いっぱいで閉店に……

東京・吉祥寺にある児童書専門店「トムズボックス」。吉祥寺には、新刊古書、一般専門を併せ何店もの書店がありますが、そのなかでも人気の高い、吉祥寺の名所の1つといっていいお店です。そんな同店が、なんと、今年いっぱいで閉店になってしまうのだとか……。同店の店主、土井章史さんのツイートで本日知りました。


土井さんのツイートを引用させていただきます。
《1993年に吉祥寺にトムズボックスを店を開いて22年かな、長らくご愛顧いただいたのだけれど、今年いっぱいで店を閉めることにしましたよ。となりのカレルチャペックはもういなくなってあと年末までの4ヶ月間その空間を使わせていただけることになりました。楽しみですねい。》(原文ママ)


この春に洋泉社から刊行されたムック『子どもと読みたい絵本200』では、全国の児童書専門店のガイドのパートで、お店のセレクトと文章とを担当させてもらったんですが、そのなかで、同店もいちばん最初に、見開きで大きく取り上げています。同書の紹介文に、こんなふうに書きました。一部を引きます。


《売り場面積四坪と小さな店だが、約三〇〇〇冊の絵本が背の高い書棚にぎっしりと並んでいる。店内にはところ狭しと絵本やグッズが置かれていて、絵本好きなら店内に足を踏み入れるだけでわくわくさせられる》。



《お店のオープンは一九九三年。千坪クラスの大型店を含め、何店もの書店がそれほど大きくはない商圏でしのぎを削る、東京屈指の人気タウン、吉祥寺。そんな書店激戦区でこの小さな店が続いてきたのは、お客さんに確実に支持されてきたから。書棚にぎっしりと並ぶ絵本、自店製作の手作り感あふれる自主流通本やグッズたち、壁に展示された人気作家の作品……店内を眺めていると、あちこちで気になるものが目に入り、発見があって、目移りする。同店を訪れた客はみな、いつのまにか時間を忘れて、棚に本に絵に見入ってしまう。短時間滞在すれば、この小さな店が絵本好きに愛されてきた理由が、絵本好きに必要とされてきた理由がきっとわかるはず。そしてまた同店を訪問したくなるはず》。


《「絵本のことならなんでもやりたい」。サイトにうたわれた文言通り、絵本に関するあれこれが、小さな店の中にぎゅっと詰まっている。吉祥寺、いや中央線沿線を代表する児童書専門店の名店だ》。


同店が開店した1993年は、ちょうどぼく自身、駆け出しの編集者として、本業で児童書に関わっていたころなので、同じころにできた同店には、勝手に親近感を持っていました。仕事で訪れたことも、私用で訪れたことも数え切れないほどあり、同店で買った本、同店で買ったグッズ、同店で目にした原画展など、思い出もたくさんあります。


ここ数年は、一般新刊書店を応援する立場でものを書いたりイベントをしたりしていることもあり、また、本業では児童書を離れて久しく、子どもも児童書を読む年齢を離れてしまっため、同店をはじめとする児童書専門店に足を運ぶ機会は減ってしまっていましたが、それでも、ぼくにとっては、地元・武蔵野の大事なお店の1つであることは変わりありませんでした。


ツイッターでは土井さんのツイートがRTされ、閉店を惜しむ声がたくさんあがっているようです。Webのニュースサイトを見てみると、Fashionsnap.comに早速記事が出ていました。「吉祥寺の老舗絵本屋「トムズボックス」が閉店 22年の歴史に幕」(8/27 Fashionsnap.com)。


記事の一部を引きます。《トムズボックスは絵本を専門に取扱い、長新太や井上洋介、片山健、スズキコージ、荒井良二など作家を厳選して作品を販売。小規模ながらギャラリーを併設したユニークな店舗として人気を集めてきた》。


《同店舗の運営のほかに絵本の編集とワークショップなども手掛けている土井章史氏は、「この20年強の間は常にアップアップ右往左往しておりました。お客さんや作家や版元にも多くの迷惑と不義理を重ねてきました。不備が生じてもただただ『すみません』と謝りまくり、その状況をしのいできました」と綴り、限界を感じたこともあって今回の閉店を決めたという》。


店を訪問しているだけでは、店頭の様子を見ているだけではわからない、大変な事情があったんですね……。そんななか、すてきなお店を維持してきてくださった土井さんとお店のスタッフのみなさんには、ただただ、感謝の思いしかありません。


同店は、販売だけでなく、小さなスペースを最大限に利用した展示にも力を入れてきたお店ですが、《閉店までの4ヶ月間は、同じ空間に構えていたカレルチャペック紅茶店の場所を利用して井上洋介や長新太、たむらしげるらが展覧会を開催する予定》とあります。閉店までに開催される展覧会は全部見ておきたいなあ。


本屋好き、児童書好き、児童書関係者には衝撃としか言いようのないニュースですが、Fashionsnap.comの記事の最後には、こんなくだりがありました。《スタッフは全員解散するが、土井章史氏は将来的に絵本の古本屋を出店することも検討しているという》。


いつか、この空犬通信で、土井さんの新しい古本屋さんのオープンのことを紹介できたらいいなあと、心からそんなふうに思います。


閉店は今年の年末。まだまだ時間はありますから、同店のファン、近隣の本屋好き・児童書好きは、せっせと通いたいものです。ぼくもそうするつもりです。また、同店の名前を知りながらも訪問する機会がなかったという本屋好き・児童書好きのみなさんは、ぜひ年末までに、たくさんの利用者から、プロの絵本作家たちから愛されたこの小さなお店を訪ねる機会をつくってください。きっと、きっと幸せな時間を過ごせるはずですから。



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コメント

憧れてました・・・

空犬様、こんにちは。
絵本好きなので、トムズボックス、ずっと憧れてて、
一度行って絵本やピンバッチたくさん買いたかったです。
たむらしげるさんの作品を扱ってるというだけで
いいお店に違いないと思ってました。
たむらさんや長さんの展覧会ですかぁ・・・行きたいなあ。
行きたいなあ!

  • 2015/08/29(土) 07:48:42 |
  • URL |
  • みこ #nLnvUwLc
  • [ 編集 ]

トムズボックス

みこさん>

ぼくも、たむらしげるさん、大好きなので、
トムズボックスでは、本やグッズをいろいろ
買いましたよ。ここでしか買えないものがあります
からね。年末までまだ少し日がありますから、
それまでに訪問のチャンス、あるといいですね。

  • 2015/08/29(土) 21:45:03 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

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