空犬通信

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10代はリアル書店好き?、紙+電子で成長?……書店関連のニュースをまとめました(1/2)

週に一度の書店関連ニュースのまとめです。 (昨年まで平日朝にツイートしていた出版・書店業界情報のうち、書店関係をまとめたものです。網羅的に調査したものではなく、新聞報道・Webのニュースなどを目についたものをまとめたものです。)先週さぼったので、2週間分たまってしまい、ものすごく長くなってしまいました。(1週抜けてもあまり影響がないということは、このようなまとめ自体が必要ないのかもしれませんが、とりあえず(苦笑)。)


まず最初に。SNS他で話題になっているリブロの件ですが、この件についてはふれません。このまとめは、なんらかのかたちで報道されたものを中心にまとめたもので、正式に報道されていないものに不用意にふれるようなことはしたくないからです。


くだんの記事には《書店という近現代の神話的物語の終焉を告げる出来事だと思われるから》だとして、《箝口令がしかれ、まだ報道されるに至っていないこの一件をあえて記す》とあります。それは書き手がそのように自分で判断した、個人的に考えた、ということでしかなく、そこには、その店・社で働いている人たちがいること、そして、そのような人たちがいきなりこういうかたちできわめて重大な情報を知らされることへの配慮がごっそり抜け落ちています。そのような書店員のことなど自分には関係がない、ということなんでしょうか。


業界の情報を発信すること、業界の情報を必要な人に届けることに多少なりとも関わってきた者として、情報発信というのは、そのような態度でされるべきことではないと(個人的には)(強く)思っています。



《店内には、豪華なディスプレイが至るところに飾られている。これらの多くは、出版社各社が行う飾付けフェアなどに合わせて製作されたものであり、これまで幾度も上位入賞を果たしている》。紙面では店内の写真なども使って大きく紹介されていますので、ぜひ実際の紙面でご覧いただきたいものです。



《静岡県内の181書店が参加して開催中》だという同フェア。《静岡書店大賞実行委員会は2月12日、大賞フェア販売実績の中間集計を発表した。グランプリを獲得した児童書・新作部門の『うみの100かいだてのいえ』(偕成社)は1851冊、小説部門の『本屋さんのダイアナ』(新潮社)は726冊、映像化したい文庫部門の『書店ガール』1〜3(PHP研究所)は1868冊。大賞フェア11タイトル合計で8211冊を販売し、合計約9180万円を売り上げた》。いやはや、すごい数字ですね。しかも《集計値はPOS導入店のみのもので、非POS店や外商部門を加算すると、合計数はさらに膨らむ》とありますから、驚きます。地域の複数の書店が中心になった賞は各地で出てきていますが、この規模での成功例はなかなかないのではないでしょうか。





「町には本屋さんが必要です会議」vol.16@大阪にご夫婦で参加くださったという中村佳太さんが、『本屋会議』にもふれながら町の本屋さんについて書いています。全部を読んでいただきたいので、部分を引くことはしないでおきます。



とりあげるタイミングが遅くなってしまったので、日本通信販売協会が実施したこのアンケート調査結果については、もういろいろな方がいろいろなところでいろいろなことをさんざん書いてしまった感じですね(苦笑)。今さら感はありますが、一応、ふれておきます。


《本を買う際にインターネットの通信販売をよく使うのは40〜50代で、10代は「リアル書店」好き――。日本通信販売協会が実施したアンケートで、こんな結果が出た。協会担当者は「ネットに親しんでいるイメージがある若年層のネット利用が少ないのは意外だ」と驚いている》。


どのようなものであれ、リアル書店が支持されている、利用されているという結果自体は歓迎すべきものですし、個人的にもうれしく感じはしますが、10代が多いって、そんな、クレジットカード所有率とか、行動パタンとかふつうに考えてもいくつも理由が思い浮かぶわけで、あまり短絡的なまとめをされてもなあ、という気がどうしてもしてしまいますね。記事によってはそのあたりに踏み込んだものもあるようですが……。



《米国小売業のオムニチャネル戦略を歴史的に振り返ってみると――といっても、この10年くらいの短い歴史だが――最初の頃に比べると、その中身が変化してきていることがわかる》ということを紹介した記事。書店関連だけの内容ではありませんが、書店に関心のある方は目を通しておいたほうがいいでしょう。


《店舗受け取りサービスを提供することで付加売り上げが期待できるリアル店舗のほうが、アマゾンのようなネット専業よりも競争優位に立てるというのが当時の大方の見解だった》。


《アマゾンが、年会費79ドルを払うプライム会員に、配送料無料で2日以内に配送というサービスを始めたのは05年1月。それまでは25ドル以上注文の場合は配送料無料という一般的によく見かけるサービスを提供していた。無料配送サービスは期待以上の効果を発揮し、プライム会員は通常客より150%も多く購買し、サービス開始前の予測である2年より早く、わずか3カ月で損益分岐に達することが明らかになったという》。


《このようなアマゾンへの対抗策として小売店も自社サイトで迅速な無料配送サービスを進めざるを得なくなったわけだ。しかし、それには経費がかかるので、客自身に店舗へ受け取りにきてもらおうと考えたのが、O2Oの始まった理由だといわれる》。



《「訪れる客のほとんどが弁護士」という珍しい書店がある。東京・霞ヶ関の弁護士会館の地下1階に店を構える「弁護士会館ブックセンター」だ》。ぼくも行ったことのないお店です。店内の写真こそありませんが、店長さんのインタビューからお店の品揃えや雰囲気、ユニークさが伝わってきます。



《東京都の小学2・5年生の未読者(不読)率は平成19年度に比べ半減しており、「第二次東京都子ども読書活動推進計画」の目標を達成したことが、東京都教育委員会が実施した調査から明らかになった。平成27年度からは第三次計画が実施される》。


こういう調査結果は、もちろんそれが事実だとしたら我々出版関係者にとってはうれしいことではあるんですが、でも、どれぐらい実状を反映したものなのかなあ、とも思ってしまいます。自分が小中学校で見聞きしてきたこととシンプルにつながっているようには感じられないからです。もちろん、これはぼくの個人的な印象に過ぎないのですが……。


《未読者をとりまく環境をみると、「身近な人に本を読んでもらったことがある」「身近な人と図書館や書店に行くことがある」「身近な人と本の話をすることがある」などの割合が、1冊以上本を読んでいる児童・生徒に比べ、30ポイント以上低い。未読者は身近な読書経験が少ないという傾向があり、読書環境の整備や家庭への啓発が必要だという》。


くわしくは、文科省のページ、こちらをどうぞ。「「第二次東京都子供読書活動推進計画」の策定について」。文中に概要・本文にPDFへのリンクがあります。



書肆スウィートヒアアフターの宮崎勝歓さんが取り上げられています。宮崎さんからは、開店前、まだクラウドファンディングを募っているときに、ご連絡をいただいたこともありますが、昨年無事に開店にこぎつけられたようで何よりです。


《神戸市中央区海岸通4丁目にあるレトロな雑居ビルの2階に、昨年12月、小さな本屋が開店した。「書肆(しょし)スウィートヒアアフター」。わずか8坪のスペースながら、新刊と古書を扱い、ギャラリーコーナーも備えている。インターネット経由で小口の出資者を募る「クラウドファンディング」という手法で、この店を開いたのが同区在住の宮崎勝歓(かつよし)さん(36)だ。「人と本が出合う“現場の奇跡”」を信じて》。



下北沢の「クラリスブックス」、根津の古書カフェ「狐白堂」、鳥取の児童書専門古書店「みつけどり」が紹介されています。



《楽天が12日に東京・品川の本社ビルで開いた2014年12月期の決算説明会》についての記事で、書籍関連についてもふれられています。《赤字事業にはメスが入った。電子書籍を展開するカナダのKobo(コボ)社には、赤字の通信会社を黒字化した実績を持つ日本人トップを送り込んでリストラに着手した。乱発していた割引クーポンの発行を抑えたり、電子書籍端末の在庫を削減したり、発売する機種を絞り込んだりと矢継ぎ早の見直しを進めた》。



サイズ・立地など、書店に関わるところを引きます。《平均客単価は増加率2.2%増と、7年連続のプラス。店舗規模で「301〜400坪」のみ1.3%減と前年割れしたが、その他の規模・立地の増加率はプラスとなった。特に、「駅前・駅ビル」の増加率は4.8%増と最大であった》。


《店舗規模別では、「100坪以下」の合計の売上増加率が5.4%増と、最も大きく落ち込んだ。他の規模に比べて売上構成比の高い文庫の売上不調(9.3%減)が影響を与えた》。


《立地別では、前年に引き続き「ビジネス街」の落ち込みが大きく、合計の売上増加率は6.4%減となった。全立地の中で唯一、文庫の売上増加率が2ケタ割れ(11.8%減)しており、コミックの売上増加率もマイナス(2.0%減)という結果になった》。



先日、ツイートで《全3章のうち第1章が「書店の使い分け術」で、分量にして全体の半分強が書店関連の記述にあてられている。これは読まないわけにはいかない》と紹介した『購書術』(小学館新書)。書き手は『角川映画 1976‐1986』の中川右介さん。


《たとえばある本を買おうと思っていても、発売からしばらくたって本屋に行ってみると、目当ての本はもう置いていなかったという経験をお持ちの方もいることでしょう。しかし、その本は、売れたために本屋からなくなったわけではないのだそうです》。


《日本には本を作っている出版社は約3700社あり、月に7000点弱、1年間では約8万点の新刊が出版されているとのこと。その量の多さから、新書や文庫であれば「今月の新刊」であるうちは平積みされるものの、翌月には1冊だけ棚に残され、売れ残った半分近くは版元に返品されることに。そのため、すぐに書店の店頭から消えてしまうのだと中川さんはいいます》。


空犬通信を訪問してくださるような、本屋さんにふだんから関心の高い方向きではないかもしれませんが、本の買い方、本屋さんの使い方について示唆に富む本です。



《全国出版協会・出版科学研究所(出科研)の調査によると、2014年の出版物の総販売金額(書籍+雑誌)は、1兆6065億円。前年比マイナス4.5%と、統計を取り始めて以来、最大の落ち込みとなった。これを受けて各種メディアでは、出版不況がさらに深刻化した、との報道が相次いだ。そうしたニュースを見ていると、まるで出版産業は崩壊寸前のように思えてしまうが、本当にそうなのだろうか? 元編集者、そして現在は電子書籍編集者の視点から、現在の出版における「統計と実態」についてまとめてみたい》。


読むと、ほんと、おっしゃる通りです、という内容で、不況宣伝調の報道をしょっちゅう読まされる我々業界関係者にとっては、ありがたいような気までしてしまう冷静な分析です。ぜひ紙面で記事全体を読んでいただきたいと思います。


ただ、このような記事を読んでも、心から晴れ晴れとした気分になれないのは、そうはいっても、やはり紙を中心にしている出版社や本屋さんが厳しいことは変わりがなく、電車の中から紙の本・雑誌を手にした人の姿が激減していることも事実なわけで、「電子を計算に入れたら不況じゃないよ」、それだけでは喜べない、安心していられない、という方が(とくにこの空犬通信を訪問してくださるような方、『本屋会議』に関心を持ってくださるような方のなかには)多いのではないかと思われます。



《あおい書店春日店(東京・文京区)が店を構える本郷エリアは、一帯に同規模の書店がひしめく激戦区だ。その中で差別化を図るために、大西健文店長は他店にない品揃えを意識している。「自分が楽しくないといい仕事ができない」という信念から、棚には自身の感性や好みが色濃く表れることもしばしばだが、同時に地域特性をしっかりつかみ、ニーズにも応えている》。


小石川・本郷エリアというと、本屋好きには、あゆみブックス小石川店をひいきにしている人も多いと思いますが、こちら、あおい書店春日店もいいお店ですよね。タイプの違う店なので、ぼくも時間のあるときは必ず、両方に寄るようにしています。



《6月16日、岡山・北区の岡山コンベンションセンターで書店と出版社の交流会「もっとBOOKMAN」(主催/本屋さんTRIP)が行われる。同県の若手書店員が中心となって企画した。出版社を招き、交流や勉強会を行う》。「若手書店員が中心となって企画」というのがいいですね。しかも《申込制ではなく、書店が「会いたい」と感じた出版社に直接〈ラブレター〉を送付することで参加社を決める》とあって、ますます気になります。



『本屋会議』でも取り上げたウィー東城店。同店の店長/社長の佐藤さん佐藤友則が本を出したとなったら、これは読まないわけにはいきませんね。ところが市販本ではなく、書店関係者への配布本なんだとか。うーん、これ、書店・取次関係者以外でも入手できるのかなあ。


《ウィー東城店(広島・庄原市)の佐藤友則社長がこのほど、『これからの本屋さんを目指して』を上梓した。同書は、明日香出版社が書店や取次会社関係者などに無料送付する「書店お役立ちマニュアル」の第15弾》。


2週分ということで、長くなりますので、いったん記事を分けます。


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