週に一度の書店関連ニュースのまとめです。 (昨年まで平日朝にツイートしていた出版・書店業界情報のうち、書店関係をまとめたものです。網羅的に調査したものではなく、新聞報道・Webのニュースなどを目についたものをまとめたものです。)
- 「(ひととき)本屋さんの閉店」(2/2 朝日新聞)
読者の投稿記事です。記事に店名が出ていないのですが、先日の記事でもふれた白楽のブックス玉手箱のことですね。《駅前の本屋さんが突然、店じまいをしました。シャッターに貼られた紙には、店主が急逝したこと、急な閉店のおわびとこれまでのお礼、また残務処理の日付が書かれていて、ご家族の誠実さが感じられました》。
《3日後、その前を通ると、貼り紙の余白に、細かい文字でメッセージが書き込んでありました。その数日後には、シャッターに新しい紙が貼られ、感謝やさびしさの言葉で埋め尽くされていました。そばにはメッセージを書くためのボールペンまで用意されていました》。
《絆というのは、歩いていく道の前にはなく、静かに誠実に歩いて振り返った後に見えるものだということを改めて教えていただきました。そしてこの町に住んで良かったと感じました》。
紀伊國屋書店アミュプラザおおいた店のオープンは4/16、場所は《大分市要町に開業する大型商業施設「アミュプラザおおいた」》内とのこと。
プレスリリースによれば約450坪の広さ。《「INSIGHT by BOOKS KINOKUNIYA」コーナーでは、初の試みである、ボックス型の提案スペース「KINO LAB.(キノラボ)」を設置し、お客様の知的好奇心を刺激するフェア、イベント、空間を提案していきます》とあるのが気になりますね。
- 「第1回沖縄書店大賞に「おばぁタイムス」」(2/2 沖縄タイムス)
各地で増えてきている、本屋大賞の地方版といえそうな独自の賞の1つ。《県内の書店員が、お勧めの本を選ぶ「第1回沖縄書店大賞」(主催・同賞実行委員会)が2日発表され、郷土書部門の大賞に大城さとしさんの「おばぁタイムス」(沖縄タイムス社刊)が選ばれた。小説部門の大賞には池井戸潤さんの「銀翼のイカロス」(ダイヤモンド社)が決まった》。
《同2013年8月1日からの1年間に刊行された日本の小説、沖縄の郷土書の2ジャンルを対象に、県内25店舗の書店員計約160人が投票》。
- 「「イスラム国」思想統制、図書館を襲撃し本焼く」(2/3 読売新聞)
《イスラム過激派組織「イスラム国」が、実効支配するイラク北部モスルなどで、図書館や書店を襲撃して奪った本を焼却処分する動きを加速させている》。本の世界を、書店を愛する者として、ことばも出てきません。
《西洋などの思想・文学などを害悪とみなすイスラム国による言論・思想統制がさらに強まっていきそうだ》。
- 「出版産業の未来を考えるシンポジウム、都内で開催」(2/3 FNN)
《出版産業の未来を考えるシンポジウムが2日、東京都内で開かれた。このシンポジウムは、日本文藝家協会が主催し、作家・林 真理子さんなどが、パネリストとして出席した》。
《シンポジウムでは、デジタル・ネットワーク社会における「理想の図書館」についてや、図書館や書店・作家・出版社が共存していく「活字文化」の未来などについて、意見が交わされた》。図書館が中心の話だったようですが、書店についてもふれられたんでしょうか。参加したかったんですが、所用で行けず、残念。
- 「昭島・中神のブックカフェがサンドイッチ販売専用窓口「カツサンド かつざわ」」(2/2 立川経済新聞)
記事で紹介されているのは、JR青梅線中神駅前にあるブックカフェ「マルベリーフィールド」。どこが書店関係の話題なのかというと、記事には
《1975(昭和50)年創業の「かつざわ書店」を2013年9月に父から引き継ぎ、ブックカフェを立ち上げた店主の勝澤光さん。「出版不況の中で、本に代わる商材として始めた地元の野菜の販売がヒットし、その後に行ったパンの販売も地域に受け入れられた》とあります。
《テークアウト窓口には書店名の「かつざわ」を復活させた。「事業活動期間の長かった名称でもあり、認知度が中神では非常に高かった。引き継いでくれた父への感謝の思いも込めている」と勝澤さん》。
- 「高架下に新刊書店「ブックスタマ」2月オープン!」(1/24 NewsACT)
- 「ブックスタマ、高円寺店をオープンへ。賀詞交換会に137人」(2/3 文化通信)
文化通信を引きます。《ブックスタマは1月30日、東京・立川市のパレスホテル立川で賀詞交換会を開き、出版社、取次など112社137人が参加。加藤勤社長は2月6日にオープンする13店舗目となる高円寺店への協力を呼びかけた》。
本稿執筆時点では、まだお店のサイトには店舗情報があがっていませんが、社長さんのツイッター(@bookstama)に開店工事中のお店の様子があがっています。近く、高円寺で途中下車してお店を見てきたいと思います。
- 「集英社と三省堂書店がiBeacon機能を利用して店頭集客キャンペーン実験 来店顧客対象に独自コンテンツを配信」(2/4 BIGLOBEニュース)
三省堂書店と集英社が共同で行う《書籍のもつ豊富なコンテンツを配信することで、顧客の書店への来店を促す試み》なのだそうです。iBeacon連携機能を活用したものだそうですが、要約しづらいので、キャンペーン詳細はこちらをどうぞ。《三省堂書店では、今後もリアル店舗とデジタルコンテンツを組み合わせることで、書店空間を面白くする試みを展開していく計画です》と、この種の施策が今後も展開される予定であることも明記されています。
- 「Amazonでは味わえないときめきがここにある」(2/3 それは恋とか愛とかの類ではなくて)
《本屋が好きだ。週に5日は本屋に行く》という本屋好きの方の、本屋愛あふれるブログ記事。
- 「相次ぐ閉店…仙台の書店状況」(2/5 新文化)
空犬通信でも何度か取り上げたことのある仙台周辺の書店事情に、大きな変化が起こっている、という記事。《東北の玄関口、仙台駅周辺の書店が相次いで閉店し、地元の出版マーケットが危機に瀕している。昨年、東日本大震災から復旧したジュンク堂書店仙台本店(10月)、あゆみブックス仙台店(12月)が撤退したのに続き、駅ビルで40年近く営業してきたブックスみやぎが3月に営業を終了する。経営不振や再開発による撤退など、様々な事情があるものの、地元の出版関係者は「やはり異常な状況」と口を揃える。駅周辺の<書店地図>は書き換えられるが、これは再編の胎動なのか。地元出版関係者に話を聞いた》。
喜久屋書店阿倍野店のレポート。昨年の記事で取り上げている《再開発が進む大阪の天王寺。大型書店や個性派書店などがひしめく中、喜久屋書店阿倍野店(大阪・阿倍野区)は「漫画館」や「子ども館」といった専門フロアをもつことで存在感を発揮している。品揃えと接客に力を入れ「お客様にとって快適で楽しいお店」でありたいと話す榎本年孝店長に取材した》。
- 「「本屋が本を売る」ために人力をフル活用 丸善&ジュンク堂スマホECサイトの役割を考える」(2/4 EC Zine)
《欲しい本が決まっているなら、Amazonへ。では、リアル書店を運営する「丸善&ジュンク堂」がネット通販で提供するものとは? スマホサイトが果たす役割を中心に考えました》という内容の、丸善&ジュンク堂スマホECサイトの紹介記事。
- 「米流通再編、アマゾン震源 家電量販2位が破綻 ネット、実店舗のむ」(2/7 日本経済新聞)
- 「米家電量販、ネットに屈す ラジオシャック破綻 消費者、店で確認し通販で購入」(2/7 朝日新聞)
書店に直接関連する記事ではありませんが、リアル小売店がアマゾンに屈したといった書き方で、リアル小売店の1つ、書店で本を売ったり買ったりしている身にも無縁の話ではありません。
日経から。《米流通業界に再編・淘汰の新たな波が押し寄せた。家電量販2位のラジオシャックが5日、経営破綻し、残る家電量販大手はベストバイだけとなった。1990年代の米流通再編の火付け役は、圧倒的な安さで業容を拡大したウォルマート・ストアーズ。その役割は今やネット通販で急成長するアマゾン・ドット・コムに移った。米流通再編のうねりは日本の未来も暗示している》。
朝日から。《今回のラジオシャックの破綻で、全米に店舗網を持つのは最大手のベストバイだけとなる》。
《ネット通販が勢いづいた背景には、「ショールーミング」と呼ばれる動きもあった。店頭では商品を手にとって価格をチェックし、実際の購入はネット通販を使う、という消費行動だ。家電量販の業界に限らず、店舗を持つ米小売りチェーン店はどこもショールーミングの増加に苦しんでいる》。ショールーミングに悩まされているというのは書店業界も同じですね。