空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

本屋の旅、ガケ書房、阪神・淡路大震災20年の歩み……書店関連のニュースをまとめました

週に一度の書店関連ニュースのまとめです。 (昨年まで平日朝にツイートしていた出版・書店業界情報のうち、書店関係をまとめたものです。網羅的に調査したものではなく、新聞報道・Webのニュースなどを目についたものをまとめたものです。)



紀伊國屋書店の高井昌史会長の、悠々会の新年懇親会での発言を紹介する記事。有料記事なので、冒頭だけになりますが、《縮小する出版市場を復活させるには、再販制度の弾力運用、時限再販制、一定の返品を認める買切制の導入に……》と紹介されています。



「ザ・本屋さん」は今回の新店を含め10店を展開する北海道のローカルチェーン。《帯広市に本部を置くザ・本屋さん(高橋千尋代表)は2014年12月18日、室蘭市中央町にある商業施設スーパーアークス室蘭中央店3階に「ザ・本屋さん室蘭中央店」をオープンした》。



《日本出版販売(日販)は1月13日、出版社向けの情報提供サービス「オープンネットワークWIN」をリニューアルし、データ保持期間の延長や受注・在庫情報の開示、パブリシティ情報の提供など機能強化を実施した》。リニューアルについては、同社のニュースリリースに詳細がまとまっています。



書店の減少について、数字をあげて、いついつには1万店を割り込むなどとし、アルメディアのデータを引いて、人口減少にコンビニにネット通販などを理由にあげてまとめるこの手の記事には、もううんざりという出版・書店関係者も多いでしょう。誰がどう書いても同じ切り口で、はっとするような視点や、解決・改善策の提示などを含むものはついぞ目にしたことがない気がします。



《新たな知識を「手に取って見られる」場所として、書店をより良い形で残していく方法を、業界も消費者も考えなくてはならないだろう》とあるけれど、当然業界はいろいろな試行錯誤をしているわけで、消費者側にできることはたとえばどんなことなのか、他業種の成功例で参考になるものはないのか、など、もうあちこちで目にしたようなことはいいので、そういうものを示してはいただけませんでしょうか……などと言いたくなる気にさせられるのは当方だけではないのでは、そんな気がします。



2012年の刊行時に話題を呼んだ書店本が3年を待たずに早くも文庫に(小学館文庫)。《東日本大震災により東北全体の9割の書店が被害を受けた》《津波で流失した店舗。水没した在庫。原発事故の影響で断たれる流通網。逆境のなか、それでも本を届けようと奮闘した書店員たちの姿を、真摯な眼差しで追ったルポルタージュ》。文庫化にあたり《被災書店の厳しい現状を再取材した「文庫版加筆 それからの日々」を付する》とあります。



「たびのたね」はJTBパブリッシングの電子書籍サービスで、JEPA電子出版アワードも受けています。その特集連載企画として始まったのが、「内沼晋太郎『本屋の旅』」。


タイトル通り、内沼晋太郎さんが、全国各地の本屋を旅する企画で、《本屋を取材した様子を内沼さんならではの視点で語っており、1月9日公開の「プロローグ」では「なぜ本屋の旅か」と題し、特集連載企画への思いを掲載している》とのこと。全国各地の書店ということで、当方が関わった『本屋図鑑』『本屋会議』『本屋はおもしろい!!』などで取り上げたお店などともおそらく重なってくるものと思われますが、どのエリアの、どんなお店が、どんなふうにとりあげられるのか、楽しみです。



上で紹介した連載企画のサイトです。



前者には《フランスの風刺週刊紙シャルリエブド特別号の販売を予定しているベルギーの複数の書店に、「報復」をちらつかせて販売中止を要求する脅迫文が届いたと伝えた》、後者には《首都ブリュッセル北部の書店4店に14日、「(イスラム教)預言者ムハンマドの風刺画を載せたひどい週刊紙を販売した場合、店に何かが起こる」などと脅迫する手紙が届いた》とあります。



閉店ではないものの、このニュースに驚いたり残念に思ったりしている本屋好きは多いことでしょう。《京都市左京区・北白川の[ガケ書房]が移転することに。2月13日(金)を持って今の場所からはお別れ、[ホホホ座]として名を変更し、3月頃に同じく左京区の浄土寺エリアへ》。


《11年目を迎える[ガケ書房]は、車が壁に突っ込んだインパクトある外観から町のランドマーク的存在としても有名。新刊+古本、zine(自費出版の小冊子)、CDなど、棚に店主・山下賢二さんの個性があふれ出る書店として愛されてきました》。


もちろん、これだけではないのでしょうが、移転の理由・きっかけについては、こんなふうに説明されています。《[ガケ書房]が発行した『わたしがカフェをはじめた日?どうして彼女はカフェなのか』なんだとか。この本が完売し、今後は小学館より発売となったことから「本を作ったグループ・ホホホ座が盛り上がってきて、こっちにもっと力を入れようと思ったんです」と山下さん》。


気になる新たな店名について。《[ホホホ座]は、店主の山下さん、古書と文化雑貨店[コトバヨネット]の松本伸哉さんと早川宏美さん、古本とレコード店[100000t]加地猛さんによる、編集企画グループ名》。


ガケ書房の利用者やファンが気になるのは移転・改称後の同店がどんなお店になるのか、でしょう。《新刊+古本のほか、これから開発するオリジナル商品の販売がメインとなるお店に変身》とあり、《「僕の中で、次の展開は本屋というよりも、イメージはお土産屋さん(笑)」と山下さんのやや謎めいたひと言》とも。場所については《京都市左京区浄土寺馬場町71 ハイネストビルに移転予定。メンバー松本さんのお店[コトバヨネット](下は同店の内観、こちらも2月で一旦クローズ予定)と合体しての2フロア展開だそう》とあります。


移転にあたってラストイベント『ByeBye ガケ書房、Hello ホホホ座』が予定されているそうで、開催は2/13(金)、ガケ書房にて。入場無料で、「買物も可」とのことです。



この記事、ちょっと頭にきてしまいました。紹介するのも気が進みませんが、町本会に関わってきた身には無視するわけにはいかないところもあるため、一応紹介します。


冒頭に、こんなふうにあります《書店でじっくり本を選ぶのが至上の喜び。そんな本好きの人たちから「最近、本屋がつまらない」との声を聞く。本がぎっしりある大型店でもそうらしい。なぜだろう。そして、どうにかならないものか》。要するに、最初から「本屋がつまらない」というスタンスで書いているわけです。


これだけで、おそらく書店の問題に敏感な人は、どのような主旨で記事が展開されるか想像がつきそうですが、案の定、(書き手の考える)個性的なお店をよしとし、大型店はダメ、韓国や中国のバッシング本が並んでいる店はダメという論調で、『『本屋』は死なない』の石橋毅史さんのコメントを引き、売れ筋本にたよる店はコンビニ化してダメ、と、売れる本を売る店がまるで何やら主義主張や商売人の良心のないダメな店であるかのようにまで書かかれいます。


最後までこの調子なので、いちいち引用はしませんが、こちらがかちんときたのは、この部分。《書店の大規模化は「つまらなさ」の原因にもなっているようだ。ある大規模店の店長は先月、シンポジウムで「1000坪の店舗は広すぎて、本との出合いを求める客には逆に本が見つからない」という趣旨の発言をしている》。


これ、昨年の12月に開催した町本会シンポジウムでの、紀伊國屋書店グランフロント大阪店店長、星さんの発言の一部です。当日の話を聞いてくださった方には説明不要だと思いますが、単に大型書店を批判するためになされた発言ではありません。この前後には、一つの店でどこまで目が届くかという、店舗を預かる立場とお店のサイズの関係のことや、自分で店をやってみるならどれぐらいのサイズがいいか、などの話がいろいろあり、そうした話の一環として、ご自分が大型店の店長の立場にありながらも、そのように思えることがあるという話を星さんはされたわけです。だいたいご自身が大型店を預かる責任ある立場の方です。単純な大規模店批判をするはずがありませんし、しても意味がない。自分の書きたいことを書くために、書店に対して多くの前向きな発言が飛び出したシンポジウムのごくごく一部を恣意的に取り出して、どのような会でのどんな発言者によるどのような文脈での発言かが読み手によくわからない状態で使うなんて、大新聞に記事を書く立場の人がすることでしょうか。


大型店の対極にある存在として、あゆみBOOKS小石川店ほか、いくつかの(書き手が良心的だと感じたのであろう)お店が紹介されています。あゆみBOOKS小石川店はぼくも個人的に好きなお店で、『本屋図鑑』でも『本屋はおもしろい!!』でも取り上げていますし、店長の久禮さんの本や棚に対する考え方にも大いに共感を覚えた一人です。ただ、ぼくは、同店の魅力は《店内に「ベストセラー紹介」の棚はない。文庫や文芸書コーナーには、スタッフ手書きの「ポップ」が多数立ち、「嫌韓本」は隅に並ぶだけだ》というようなところにあるのではないと思っています。だいたい、書き手がどれぐらいのお店をきちんと見たうえで書いているのかわかりませんが、《手書きの「ポップ」が多数》の店はそれ自体別にめずらしい存在ではありませんし、「嫌韓本」のたぐいをことさらにプッシュしていない店だって、ぼく自身いくつも目にしています。


記事で発言を不本意なかたちで引かれてしまった星さんが店長をつとめる紀伊國屋書店グランフロント大阪店は、ワンフロア型の大型店ですが、この記事でレポートしているように、店内の新刊コーナーや文芸書コーナーはもちろんのこと、一般には文芸書などに比べるとそのような工夫が控え目になることの多い理工学書の棚まで、手書きのPOPであふれていて、POPだけでなく、チラシやポスター、なかにはもうペーパークラフト作品としか呼びようのないものまで店頭に並べたり掲示したりしています。このような、手書き拡材でいっぱいの大型店のことは、この記事の書き手はどのように評価するのでしょうか。それ以前に、安易に発言を引用する前に、このお店のことを取材するなり、訪ねるなりしたことはあるんでしょうか。


最後のほうに『ぼくは本屋のおやじさん』の早川義夫さんのコメント《本屋の書棚にどんな本が並ぶかは、結局はお客さんが決めるものです。ニーズから離れた書店経営はできませんから》が引かれていますが、特定の宗教の本や、ある国をバッシングする本を置く(または置かざるを得ない)店を批判的に取り上げた記事の論調と合いません。それで、《ともあれ、良い本との出合いが読者を育てる。頑張れ、本屋さん!》とまとめるなんて、これがプロの書き手のすることでしょうか。だいたい、《頑張れ、本屋さん!》などとありますが、じゃあ、その《本屋さん》には大型店は含まれない? ナショナルチェーンは含まれない? 個性的で、良心的(だと、記事の書き手が考えるよう)な一部の店だけを持ち上げて、それで、本屋の世界を応援していることになる? 自分の好みに合う店だけがあればいいということなんでしょうか。大型店を否定して、いったいこの業界にどんなプラスがあるんでしょうか。町本会での発言の使われ方だけでなく、いろいろと不愉快な思いをさせられる記事でした。



荻窪駅北口にある駅前書店、ブックセンター荻窪が1月12日に閉店。《荻窪駅北口にタウンセブンが建設されていたころに営業を始めたという同店。北口ロータリーの中央という好立地で、通勤や通学帰りに立ち寄る客も多かったという》。


駅前の路面店という好立地ではありましたが、お隣はブックオフ。同じ荻窪駅の北口側には、ルミネ内に八重洲ブックセンターが、タウンセブン内には啓文堂書店荻窪店もあります。荻窪駅周辺には大型店こそないものの、新古書店を含む4店が徒歩2、3分以内という立地で競合していたわけですから、商圏規模を考えると、ラクな商売ではなかったはずです。それでも、名称もそうですし、立地的にもそう、まさに荻窪の本屋さんというイメージのお店だっただけに、沿線・地元の利用者のみなさんにとってはさびしいニュースでしょう。



相模大野ステーションスクエア内に、1/15にオープン。「神保町いちのいち」は、三省堂書店のオリジナル雑貨ブランドで、名前の通り、神保町本店の1階に昨年できたもの。


《相模大野店は、「shop in shop」で展開する東京ソラマチ店のエッセンスを凝縮したという初の単独店》だそうです。さらに記事には《同書店では今後、単独出店も含め、「神保町いちのいち」ブランドを順次展開する予定》ともあります。



阪神・淡路大震災から20年。このタイミングで《兵庫県書店商業組合が書店の被災や復旧の記録をつづった初めての記録誌「阪神・淡路大震災 20年の歩み」》が刊行されたようです。《全国の書店からの義援金や、再開を願う地域住民の声が励ましとなったことなどを記載。同組合は「書店の災害対応の参考になれば」と話している》。


東日本大震災については、先に書評を紹介した『復興の書店』ほか、震災時の出版・書店の状況をまとめた資料が存在しますが、阪神・淡路大震災については資料が少なく、網羅的に調べたわけではないですが、ぼくが調べたかぎりでは、『本屋図鑑』の巻末資料でふれた、日沖桜皮編『阪神大震災と出版 33名の報告と証言』(日本エディタースクール出版部)しかありませんでした。


今回の記録誌は、《加盟店の被災状況を1店ずつ紹介。神戸や阪神間、淡路島などの約200店が、全半壊や書物の散乱などの被害を受けた。書店業界の義援金約1億2千万円を加盟・非加盟を問わず被災店舗に配分し、復旧に役立てたことなども伝えている》という内容だそうですから、これは震災と書店を考えるうえで、貴重な資料になることは間違いないでしょう。


A4判、48ページ。《800部印刷し、東日本大震災の被災地や兵庫県内の全市町に無料で配布》。希望の場合は、事務局の巌松堂書店に電話で連絡を、とあります。電話番号は078-936-4069。ぼくも早速電話で連絡をとってみましたが、市役所・図書館などの公共機関、大学などの研究機関、メディアなどに優先的に配布するため、個人の希望者はそれからの対応になるそうです。



《阪神・淡路大震災が起きた1995年1月17日から20年が経とうとしている。兵庫・神戸市の中央区、長田区、灘区、西区で壊滅的となり、当時、取次会社の調べから書店被害は「全壊」11店、「半壊」13店が確認されていた。被災した書店は大阪、京都にも広がり、その惨状は日本中を震撼させた。井戸書店の森忠延社長も被災した書店のひとりである。森氏に当時の支援、震災需要の様子や、そこから得た書店経営のあり方、業界関係者へのメッセージを寄せてもらった》。東日本大震災と違い、阪神・淡路大震災については、本の世界には当時のことをよく知らない、覚えていないという若い世代の関係者も多いでしょう。そのような方にはぜひ本紙の記事を読んでほしいです。先の「阪神・淡路大震災 20年の歩み」にもふれられています。


先日、芥川賞・直木賞が決まりましたね。たまたま目にしたニュースで、西加奈子さんの受賞コメントが聞こえてきたんですが、(自分以外にも、ということだと思いますが)すばらしい作家がいっぱいいるので、本屋さんに行ってほしい、という主旨の発言が耳に入り、印象に残りました。毎回チェックしているわけではありませんが、芥川賞・直木賞の受賞コメントに、本屋さん応援的な発言が出てくるのはめずらしいのではないでしょうか。


正確にはどういう発言だったのか知りたくて、直後の報道をいくつか見てみました。



本屋さんにふれた部分をそれぞれ引いてみます。
《面白い小説ってめちゃくちゃあって、私もすごく助けられました。とにかく皆さんに本屋に行ってほしいなと思います》(ま)。
《「文学もいま本が売れないと言われる。太宰(治)で終わったとか、小説をかくことダサいと言われたこともある。でもすごい作家(選手)が全力で書いている。また絶対盛り上がる」と熱く語り、「みんな本屋に行ってほしい。とにかく一冊買って読んでほしい」と文学の再興を願った》(THE PAGE)。
《面白い小説はたくさんある。私も助けられてきた。どうか本屋さんに行って本を1冊買ってほしい」》(報知)。
《面白い小説ってめちゃくちゃいっぱいあって、私もすごい助けられたし。自分は作家やけど、読者として、こんな面白い小説あるんやといつも思ってます。だから、とにかく皆さんに本屋さんに行ってほしいなと思います》。(産経)


本屋さんが好きな人なんだなあ、そんなふうに思いました。



昨年12月にオープンした《イオンモールが西日本の旗艦店と位置付ける「イオンモール岡山」》の詳細な紹介記事。イオンモールといえば郊外の巨大店舗のイメージでしたが、今回の岡山のは駅から徒歩数分の場所への出店ということで、話題を呼びましたね。記事では書店にはふれられていませんが、書店にも関連のある話題ということであげておきます。


施設内、5階には、未来屋書店Life with Books(書籍)、未来屋書店 Reading and Writing(文具)、4階には、みらいやのもり(キッズ書籍)が入っています。以前の記事でも紹介したことのある「みらいやのもり」について、サイトには《めばえときずなを育む場所。3世代家族のためのキッズブックストア》という説明があります。


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コメント

本屋さんの相乗効果

荻窪の本屋さんの件、だけではないのですが、
大きな本屋さんも小さな本屋さんも好きな身からすると
どこか1店舗あればいいのではなくて、
複数の本屋さんも古本屋さんも図書館も共存していければいいのにと思います。
もちろん、客である私たちが買わなければいけませんが…。
複数の本屋さんをハシゴするのって楽しいですよね。
最近とても、好きな本をもっと本を買おうと思います。

いつも情報ありがとうございます。
今、「受験サプリ」の動画も見て考えているところです。

  • 2015/01/19(月) 09:32:07 |
  • URL |
  • のん #2JqTmnB.
  • [ 編集 ]

Re: 本屋さんの相乗効果

のんさん>
訪問&コメント、ありがとうございます。

> 複数の本屋さんをハシゴするのって楽しいですよね。

ほんとにそうですね。いろいろな本屋さんが共存
できていてこそ、我々本好き本屋好きが楽しめること
でもありますね。

  • 2015/01/20(火) 19:57:49 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

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