空犬通信

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さらばミラノ座……『新宿ミラノ座より愛をこめて 〜LAST SHOW〜』が始まりました

『新宿ミラノ座より愛をこめて 〜LAST SHOW〜』、初日初回の『E.T. 20周年アニバーサリー特別版』を観てきた。(以下、今回の記事は、本にも本屋さんにも関係のない話題です。)


新宿ミラノ座 外観

↑ひどい写真ですが、並んでいる人たちを見て、入り口に急ぎながら撮ったもので……。



『新宿ミラノ座より愛をこめて 〜LAST SHOW〜』は、この年末、12/31で閉館となる新宿ミラノ座が、閉館までの10日ほどの期間に行う特別上映。サイトの案内によれば、このような内容だ。《TOKYU MILANO(旧新宿東急文化会館)で公開した大ヒット作品を再上映いたします。1,000を超える座席数を誇る最後の大劇場『新宿ミラノ座』の大画面で是非ご鑑賞下さい》。


新宿ミラノ座 ポスター

閉館を伝える記事、「新宿ミラノ、シネスクとうきゅう、丸の内ルーブルが閉館へ」(5/15 映画.com)によれば、新宿ミラノは、1が1064席、2が588席、3が209席。2008年に閉館となった、同じ歌舞伎町の大型劇場、新宿プラザが1,044人で、それを上回る大型劇場で、長らく新宿を代表する映画館の1つだった。同記事には、《新宿ミラノ1が閉鎖すれば、都内に座席数が1000を超える映画館はなくなり、TOHOシネマズ日劇1の944席が最大となる》ともある。


かつては、歌舞伎町と言えば、小から超大型まで、複数の映画館が軒を連ねる映画館街だったが、トーアも、オデオンも、プラザもなくなってしまった。そして、今回、新宿ミラノ座とシネマスクエアとうきゅうが閉館となる。なんだかさびしい話である。


「さびしい」というのは、単にまた映画館が1つ閉館になるからということではない。新宿ミラノ座は、ぼくにとっては、単なる大型映画館の1つではなく、初めて東京で映画を観た、思い出の場所でもあるからだ。そのときの映画は、『プラトーン』。1987年4月のことだ。


新宿ミラノ座 プラトーン

その春、大学入学のために上京した。年の離れたいとこがいて、まだ友だちも彼女もいなくてひまをもてあましているだろうとでも思ってくれたのか、映画に誘ってくれた。彼女が連れていってくれたのが、新宿ミラノ座だった。


今にして思えば、彼女は、どの作品を見に行こうか、ではなく、どの映画館につれていこうか、で、選んでくれたのかもしれない。というのも、彼女は、『プラトーン』をとりたてて観たくて選んだわけではなかったようで、それどころか、どのような映画かよくわからぬままに選んだふしもあり、大画面での激しい戦闘描写に鑑賞後すっかりダウンしてしまい、「しばらくものが喉を通らない……」と、映画後の食事の約束も切り上げて帰ってしまったほどだったからだ。そんなこともあって、連れてきてくれたいとこには大変気の毒なことになったが、映画少年気取りの大学生には、大変に印象的な東京映画館デビューとなったのだった。


それからも、ミラノでは、たくさんの映画を観た。ここでそれらをリストアップすることはしないが、過去上映作のポスター(ロビーに展示されている)を見ていたら、ああ、これも観た、これも観たなあ、という作品がたくさんあった。でも、この数年は映画館を支えるようないいお客とは言えなくなっていた。いちばん最後に観たのは、テレンス・マリックの『ツリー・オブ・ライフ』だったか。調べたら、2011年の作品だった。


新宿ミラノ座 ブレードランナー新宿ミラノ座 ポスター1新宿ミラノ座 ポスター2

『新宿ミラノ座より愛をこめて 〜LAST SHOW〜』、さぞ、混むだろうと早めに出かけた。館の前、以前、噴水などがあった広場は現在工事中で、館の正面からの写真が撮れないのが残念だ。まだ開場時間にはずいぶんあるのに、入り口にはもうたくさんの人が並んでいた。今回の特別上映は、1本たったの500円。安いのはうれしいけれど、でも、もっと払ってもいいと思った。


入り口では、入場記念のカレンダーが配られていた。それを受け取って、客席へ。シネコンの小ぶりな箱に慣れてしまった目には、新鮮な大きさだ。何度も足を運んでいるのに、あらためて、こんなに大きかったのか、と思った。


新宿ミラノ座 スクリーン

上映開始までまだ時間があるが、スクリーン前のカーテンがあがった。チラシやポスターに使われている『新宿ミラノ座より愛をこめて 〜LAST SHOW〜』のビジュアルが映し出され、映画館の歴史を写真で見せる、スライドショーのようなものが始まった。できたころの映画館の様子。過去に上映された代表作。この館に、歌舞伎町の映画館に通い詰めたファンならば、これだけでも観る価値があるかもしれない。そう思った。


ぼくが席に着いたときにはまだ余裕があったが、次々にお客さんがやってきて、上映開始直前には1000を超える席がほぼ埋まっていた。うれしいことに、小さな子ども連れもたくさんいた。字幕版なのに。それでも、この作品を、大スクリーンで見せたいと思ったのだろう。とてもよくわかる。このサイズの映画館の席が満席になっているところなど、久しく目にしたことがなかった。壮観だった。


上映開始前に、ミラノ座の支配人、横田さんが舞台の端に現れ、あいさつをした。長年関わってきた館の、最後の10日間の上映プラグラムの案内とあいさつである。どのような思いでいらっしゃるのかは、想像もつかない。でも、目の前の客席がほぼ満席の状態になっているのを見て、きっとうれしく思っていらっしゃったことだろう。


初日の初回に選ばれたのは、『E.T. 20周年アニバーサリー特別版』。オリジナル版も含めると、テレビやビデオでは何度も観ている作品だが、劇場で観るのは初めてだ。終わって、ああよかった、と自然に声が出た。大画面で、大音量で観るのにぴったりの1本だった。いいセレクトだなあ、と思った。


新宿ミラノ座 E.T.

映画好きが集まっていたのだろう、いつもならば、エンドロールが終わるのを待たずに、ばたばたと席を立つ人が多いのだが、今回は多くの人が、エンドロールが終わるまでじっと座って、最後の最後まで、映画を楽しんでいた。終映後、自然に、拍手が起こった。拍手がしたくなったのだ。


帰宅して、入場者プレゼントとして配られていたカレンダーを開けてみた。本編上映開始前にスライド上映されていた、映画館の歴史や過去作のポスターの写真が使われたものだった。あの写真、欲しいなあ、もっとゆっくり見たいなあ、そんなふうに思っていたところだった。この館に思い入れのあるファンにとって、これ以上すてきな入場者プレゼントはないだろう。


新宿ミラノ座 カレンダー

閉館まで、あと10日ほど。なんとか時間を作って、あと何度か駆けつけようと思っている。


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コメント

僕も学生の頃は年間100本くらい映画館で映画を観ていたのですが、最近はとんとご無沙汰気味で、久々に映画館(シネコン)に行ったら、システムが変わっていて面食らったということがありました。
大きい映画館もなくなるし、座席は指定で入れ替え制になるしで、映画界もすっかり変わってしまいました。
昔は、ミラノ座だけでなく、渋谷のパンテオンとか、他にも大きな映画館がありました。
僕が上京して初めて観た映画は、『ゴッドファーザーRARTⅢ』ですが、これを観た池袋の映画館も、今ではビックカメラになっています。
名画座もどんどんなくなるし(文芸坐や早稲田松竹のように、復活したところもありますが)、フランス映画社は倒産するし、これも時代の流れなのでしょうか。

  • 2014/12/22(月) 10:32:53 |
  • URL |
  • 某版元営業 #o08q7Kow
  • [ 編集 ]

映画館

某版元営業さん>
訪問&コメント、ありがとうございます。

映画館の変化もありますが、客側の変化もありますね。
書こうかどうしようか迷って記事には入れませんでしたが、
客側のモラルの変化もけっこう大きいのではと個人的には
感じていて、ぼく自身が映画館に通う回数が減ってしまった
原因の1つになっています。

たとえば、今回もびっくりさせられ、あきれさせられた
のですが、遅れて、上映が始まってから入ってきた
客が、スマホの画面の光か、懐中電灯アプリか何か、
とにかくけっこう明るい光を堂々と周囲に翳して、
空き席を探していたりします。それも、1人
2人じゃない客が。すでに座っている客の顔に
光が直接あたってもおかまいなしです。

今回のような、コアなファンが集まりそうな特別上映
ですらこうですから、心ある映画好きが通わなく
なるかもなあ、などと思わずにはいられません。

すみません、愚痴っぽくなりました。

  • 2014/12/26(金) 22:24:59 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

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