空犬通信

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やっぱりすばらしい紀伊國屋書店グランフロント大阪店……大阪書店回りレポート その1

10/19の記事で、《後日、簡単な訪問レポートをまとめる予定》などとしておきながら、すっかり遅くなってしまいました。すみません……。大阪での町本会公開会議の翌日10/18は、大阪で本屋さん巡りをしてきましたので、うちいくつかのお店について簡単にレポートしたいと思います。


まずは、紀伊國屋書店グランフロント大阪店から。オープン直後に訪ねて以来、数度目の訪問です。開店直後の様子は詳細なレポートにしていますが、しばらく前に店内の一部が改装されたと聞いていましたので、売り場がどんなふうに変わったのかを見せてもらおうと、久しぶりに訪ねてきました。(店内写真はすべてお店の方に断って撮影したものです。写真は10/18の様子で、お店の様子は変わっている場合があります。)


改装箇所を中心にざっと見るぐらいのつもりでいたら、結局午前中全部使ってしまいました。だって、ほんと、人もお店も最高で、お店から出られなくなってしまったんですよ。以下、そのときの様子を。同店を訪問したことのない方は、こちらのフロアマップをご覧になりながら読むと店内の様子がわかりやすくなるかもしれません。


改装について話を聞かせてくれたのは店長の星真一さん。店内の案内までしていただきましたよ。改装のポイントは2つで、鉄道グッズコーナーの新設とコミック売り場の拡大。鉄道グッズは、周辺の棚と在庫を少しずつ調整して場所を生み出したものだそうです。たしか以前に訪問したときには、座り読みのイスなどが置かれたスペースでもあったように記憶します。お客さんがいたので写真が撮れなかったのですが、本もグッズもなかなかの量になっています。鉄道書の聖地、旭屋書店本店がなくなってしまった後、梅田の鉄道好きがどこをメインの買い物場所としているのかわかりませんが、こちらも十分にマニアたちの興味を引きそうです。


今回の改装で、鉄道グッズ以上に目立つのは、やはりコミック売り場の拡充。洋書売り場を大幅縮小したそうで、もともとのコミック売り場はそのままに、通路をはさんで大きく売り場が広がっていました。帰宅してから、オープン直後に撮らせてもらっていた店内写真とも比較してみましたが、よくぞここまで一気に、と思わずにいられないほどの、一大売り場になっています。


紀伊國屋書店のコミックと言えば阪急32番街コミックハウスがあります。こちらは専門店ですから品揃え的には十分過ぎるほどの存在ではあるものの、ビルの30階ということもあり、ふらりと寄るにはちょっと立地が微妙だったりもします。その点、アクセスしやすいグランフロント店の中にこれだけの売り場があることは、コミックの品揃えを期待するお客さんにとって、大きなメリットになりそう。ワンフロアの総合大型店ですから、他のジャンルの本と一緒にコミックを見たいというコミック好きにとって、これ以上便利かつ心強い存在はないでしょう。梅田本店との差異化も図れますね。


店内では、前日の町本会にも駆けつけてくれた理工書担当の豊島寛子さんに会えたので、理工書の棚を案内してもらいました。ポピュラーサイエンス系の読み物が好きなので、ふだんから理工書の棚はよくのぞくほうなんですが、今回、担当の方に案内してもらったら、いやはや、あちこちに工夫やしかけがあって、おもしろいのなんの。


ひとくちに理工書といっても、生物・農業・物理・化学・建築・宇宙・機械・数学などなどと、下位に内包されるサブジャンルは非常に幅広い。大型店の場合、1つのサブジャンルで、棚が何本にもなったりしますから、担当するのも大変です。


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↑レギュラーの棚はもちろんですが、それぞれの棚のエンドで展開されている小フェアやグッズのディスプレイもおもしろい。こちらは理学のエンドで、これだけ見ると、どこの雑貨屋さんかというぬいぐるみの充実ぶりですが、隣に昆虫食の本が並んでいたり、手前にはユニークな科学入門書として話題のシリーズ「ワンダー・ラボラトリ」の2冊が並んでいたりと、にぎやかで、かつ目を引くものになっています。


141018紀伊國屋GF 理工書 ノーベル賞141018紀伊國屋GF 理工書 青色

↑この時期、理工書の棚で最大の話題はノーベル物理学賞の日本人受賞。関連書が少なかったり難しかったりで書店の担当者泣かせだ、などという新聞記事が全国紙に出たりもして話題になりましたね。関連書のセレクトに漏れがないのはもちろんとして、見ていただきたいのはこのディスプレイ。切り絵(?)風のイラストに手描きのPOP、それも文章で読ませるものから、遠くからでも目を引くものまで、タイプの違うものを効果的に組み合わせているのがわかります。



141018紀伊國屋GF 理工書 建築141018紀伊國屋GF 理工書 大阪は

↑建築棚のエンドでは、9月に出たばかりの新刊『大阪名所図解』(140b)がどんと積まれ、「大阪はかっこいい!」の文字が。


141018紀伊國屋GF 理工書 宇宙

↑あくまで他と比べて、ということですが、比較的おとなしく見える宇宙・天文のエンド。ディスプレイに派手さはありませんが、セレクトがおもしろくて、宇宙もののSF小説に宇宙エレベーターにNASAテーマの新書にと、一見なんでもありのようですが、眺めていると、おお、これとこれを並べてるのか、という陳列の妙が目につきます。


案内してもらっている途中、何度も、担当の豊島さんの口から「めっちゃ楽しいです」というセリフが出てきます。ほんとに、何度も何度も。それも、無理にこちらに合わせている感じはまったくなくて、自然に出てくる。嬉々として、昆虫食やミミズの本の魅力を語ってくれるのです。……などと書くと、なんだかエキセントリックな人みたいに聞こえてしまいそうですが、ご本人は小説が好きで文芸の担当をしたかったという、ごくごくふつうのチャーミングな女性です。


理工書が希望だったわけではない。専門に勉強したわけでもない。でも、担当しているうちに、愛情がわいてきたんでしょうか。こちらが生物関連の本が好きだというと、棚の前で、気になる本をいくつも教えてくれる。鳥の本が好きだというと、こんな新刊がある、この本はきれいだと、教えてくれる。なぜこの本を並べたか、動きがどうなのかも教えてくれる。ふだんから棚に手をかけている人からしか聞けない話が、次々に飛び出してくるのです。


自分の仕事や担当が「めっちゃ楽しいです」というセリフが書店員さんから聞けるのは、本屋好きとしてはとてもうれしいこと。しかもそれが、書店員の間でも人気のある文芸やコミックではなく、専門外の方からは距離を置かれがちなジャンルの担当の方からだったりすると、なおのことうれしいです。こういう方が担当しているジャンルの本は幸せだなあと思うし、こういう方が担当しているジャンルの本のお客さんも幸せだろうなあと、そんなふうに思うのです。


豊島さんは、奥野智詞さんと一緒に、新刊台も担当しているというので、そちらも案内してもらいました。


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↑入口を入ると、すぐに目にとびこんでくる大きな新刊台。一見、文芸書が中心の、ふつうの新刊台ですが、一部コミックが混ぜてあったり、同じ作家の旧刊関連書を並べたりと、あちこちに工夫の跡が。


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↑こちらは、そのエンド。写真ではおそらくその質感、手作り感が伝わりにくいと思うのですが、POPやらポスターやらがものすごく作り込まれていて、その手のかけ具合に驚かされます。この場所でどれぐらいの期間、展開できるのかわかりませんが、短期間の展開にここまでするか!と驚かされるような、手のこんだものになっています。


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↑驚かされる、という意味ではさらにすごいものが、あちこちで目につきました。前回訪問時よりも入り口周辺にワゴンが増えたなあ、と思って、それぞれを見てみたら、もうなんというか、あっちにもこっちにも、紙を使ったオリジナルのPOPやポスターが。なかには、ほとんどペーパークラフトというか工作大会みたいなことになっているものまであります。


聞けば、多くは同じ書店員さんの手になるものだそうで、ほとんど職人です。かつて、本町店の文芸書エンド台をワンダーランド化していたHさんのディスプレイを思い出しました。いやはや。びっくりしました。


こんな調子でお店を見せてもらったものですから、開店直後に入ったというのに、午前中で見終わりませんでした。長くなったので、買い物本の報告は割愛しますが、あちこちの気になる棚、とくに今回は理工書の棚から、たくさん本を抜いてくることになったのは言うまでもありません。やっぱり本屋はおもしろい……そのことを強く感じさせてくれるお店でした。


同店には、2013年の4月のオープン直後、5月に訪問していますが、そのときの様子を記事にしています。こちらこちら。併せてご覧いただけると、どこがどのように変わったかなどが確認できていいかもしれません。


併読と言えば。空犬通信で、これまで何度も取り上げてきた、ダイワハイテックス発行の書店情報誌「ダイワレター」。最新の第43号に、グランフロント大阪店の店長、星真一さんのインタビューが掲載されています。なぜこの同店がこのようなすてきな空間になっているのか、棚に愛情のあるすばらしいスタッフが育っているのかがよくわかるものになっています。PDFがダウンロードできますので、ぜひそちらも併せてお読みください。


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ルクアのオープンから3年半、グランフロントオープンから1年半がたちましたが、JR大阪駅周辺は今も開発の動きが進行中で、大阪三越伊勢丹が縮小、蔦屋書店が入ることがすでに報道されています。


店長の星さんに、(蔦屋書店は)あの辺りに入るんですよ、と教えてもらったのですが、まさに目と鼻の先。書店としてのタイプが違いますし、いくら近くとはいえ、商業施設についているお客さんも違いますから、直接的な影響がどの程度あるのかはわかりません。でも、影響はゼロではないでしょう。ただ。この日、時間をかけて店内をあらためて、ゆっくり、じっくり見せてもらって思ったのです。紀伊國屋書店グランフロント大阪店は、近くに書店ができたとしても、きっと大丈夫だろうと。このお店についたお客さんはそんなに簡単には離れないだろうと。


というわけで、以上、大阪書店回りレポート、キタ篇でした。続いて、天王寺・あべの篇は稿をあらためてお送りします。


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コメント

空犬様、こちらでもおじゃまします☆

グランフロント店、とにかく居心地がいいのは、
通路ゆったり加減と、
棚が並行ばかりではないから「島へ来た!」感があるのと、
エンドの面白さ!

そしてなによりpopがうるさくない。
棚では本の並びと視野に入る最小限の情報量で勝負、
エンドやコーナーで思い切り目を引く(しかも手作り)、
という紀伊國屋さんの姿勢は素晴らしく好みです♪
ぬいぐるみも夏休みらしく恐竜シリーズが置いてあり、
しかもめちゃめちゃ可愛くて肌ざわり良くて、
全種類買いたいくらいでした。
キーチェーン付きの2個に絞りましたが。

こちらではミシマ社の「コーヒーと一冊」(装幀・内容すべて◎)や
大阪から始まる青春18切符の旅(旅行ムック)
子供向けのよく飛ぶ紙ヒコーキの本などなど
好みドンピシャの数々と出会えて
内心興奮状態!
しかもおいてある椅子が多くはないけどどれも背もたれが心地いいんですよ。
特に鉄道コーナーのが。
本を10冊くらい持ったらここで選んでました。
(駅名キーホルダーも買いたかったなー。)

コーナーも新潮文庫のベストセラーに全て手作りpopのコーナー、
大人の時間コーナー(うろ覚え)、
向田邦子の巨大コーナー、
素晴らしい!!

もうなんでしょう、過不足なく本屋の楽しみを凝縮されている空間でした。
次回は京都丸善のオープンを待って、
絶対グランフロント店とハシゴします♪

  • 2015/08/15(土) 08:40:01 |
  • URL |
  • みこ #nLnvUwLc
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  • 2015/08/15(土) 11:31:59 |
  • |
  • #
  • [ 編集 ]

大阪の書店を

みこさん>
訪問&コメント、ありがとうございます。

大阪の書店を楽しまれたようで、何よりです。
いい本屋さんにあたったときの気持ちの盛り上がりや
うれしさが伝わってくるコメントでした。

お店に知り合いがいるので、知らせておきますね。




(他にいただいたコメントも含め、
とくに問題と思われるような表現も見当たら
なかったので、そのままにさせていただいています。
何かありましたら、またコメントでご連絡
ください。)

  • 2015/08/15(土) 23:41:51 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

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  • 2015/08/16(日) 14:00:01 |
  • |
  • #
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