同時期に3点も、それぞれ別の文庫から名探偵のパスティーシュ新刊が出たので、これらがみんな平台に仲良く並んでいましたよ。
- 芦辺拓『金田一耕助VS明智小五郎 ふたたび』(角川文庫)
- ガイ・アダムズ『シャーロック・ホームズ 神の息吹殺人事件』(竹書房文庫)
- 北原尚彦『ジョン、全裸連盟へ行く: John & Sherlock Casebook 1』(ハヤカワ文庫JA)

金田一耕助、明智小五郎、シャーロック・ホームズ……目新しさゼロでも、すでに山ほどパスティーシュ・パロディは読んでいても、それでもファンならやっぱり買ってしまうんでしょうねえ(笑)。まあ、ここにも一人いるわけだし(苦笑)。
『金田一耕助VS明智小五郎 ふたたび』は、角川文庫の金田一ものということで、カバー装画はもちろん、杉本一文先生。

↑前作と2点並べてみました。
杉本一文先生ご本人にうかがったのですが、往年の角川文庫横溝作品のカバーを描いていたころはエアブラシを使っていたそうですが、現在は使わなくなってしまい、絵の技法が変わったのだとか。今も、こうしてパロディやオマージュなどで、あの感じで!と依頼されることがあるそうなんですが、そういう技法上の問題でかつてのカバー画とは同じようなタッチにならないのだそうです。といはいえ、今のものも、妖しくて、怖くて、やっぱり杉本一文先生タッチであることは変わりありませんよね。ぜひファンはお手元の角川横溝と絵の感じを比べてみてください。
芦辺拓さんには、順番違いの『明智小五郎対金田一耕助』(創元推理文庫)もあります。そちらは、装画は杉本一文先生ではなく影山徹さん。
残り2点はホームズもの。『ジョン、全裸連盟へ行く』はカバーもハヤカワ文庫のホームズものパロディ。「1」とあるから、これは続編があるということですね。
今月は、単行本のルネ・レウヴァン『シャーロック・ホームズの気晴らし』(国書刊行会)もあるし、先月は『名探偵ホームズとドイル ヴィクトリア時代の一つの人生、二つの履歴書』(海竜社)、先々月は『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、それに『ユリイカ』(青土社)のホームズ特集増刊号もありましたね。しかも、文庫では、河出文庫の『シャーロック・ホームズ全集』全9巻(訳者は小林司さん、東山あかねさん)が刊行中だし、創元推理文庫の深町眞理子さん新訳版は『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』が出たばかりで、あとは『恐怖の谷』を残すのみ。
いやはや。ほんと、ホームズファンは大変ですよ(苦笑)。