空犬通信

本・本屋好きが、買った本、読んだ本、気になる本・本屋さんを紹介するサイトです。

町本会公開会議も残すところあと2回……そして「金太郎飴」についてちょっとだけ

先日9/26、恵比寿で開催された町本会公開会議は、おかげさまで盛況に終わりました。お集まりくださったみなさま、ありがとうございました。


10月の公開会議は、10/5の沖縄・那覇と、10/17の大阪の2回となります。どちらも予約受付中です。この10月の2回で、町本会公開会議の開催はいったん終了となります。近隣の方は、ぜひご参加ください。


(以下、町本会の公開会議とは直接関係ない、というか、関係なくはないのですが、とにかく、長めの独言です。)



町本会、前回の恵比寿のように都内近郊で開催できるときはいいのですが、地方の公開会議は費用や日程の都合もあってなかなか参加できず、残念な思いをしています。その代わり、というわけでもありませんが、12月に夏葉社から刊行予定の『本屋会議』(仮)に掲載される文章のほうはせめてがんばろうということで、このところ、夜中や休日の時間を使ってせっせと原稿書きに取り組んでいます。


『本屋会議』掲載の文章は、本屋さんの歴史に関連する内容のため、いろいろと調べ物が必要になります。この数か月は、過去に出版・書店業界について書かれた業界の資料本を、手元のもの(けっこうたくさんあります)はもちろん、公共図書館や国立国会図書館にまで出向いて、あれこれひっくり返しています。


それらを読んでいて、つくづく感じることがあります。今も昔も、業界で問題になっていることって、ぜんぜん変わらないのだなあ、ということ。曰く、流通、客注、配本、正味、活字離れ、万引き……。10年前の本を開いても、20年前の本、30年前の本を開いても、業界の問題として出てくることは、ほとんど同じです。この手の問題について、「私は以前からずっとこのことを指摘してきたが」みたいに、あたかもその問題に気づいているのは自分だけだというような書き方をする人がときどきいるようですが、いやいや、そんな誰か個人「だけ」が気づいているような問題なんて、ないんですよね、おそらく。とにかく、文献をひもとくと、あちこちでいろんな人がいろんな書き方で、これらについていろんなことを書いてきたことが、あらためてよくわかりました。


書店への批判や不満も、ぜんぜん変わっていませんね。自分では使わない言葉だし、そのようなタイプの店があるとも思っていないのですが、新刊書店への典型的な批判としてよく出てくるのは、いわゆる「金太郎飴書店」問題。先日も、ある資料本を読んでいたら、金太郎飴書店のことを、それはもう、激烈に批判しているくだりがありました。


(説明するまでもないですが)書店はどこも同じだ、金太郎飴だ、書店人としての矜持はないのか、というような主旨ですね。ところで、こういう批判をするみなさんって、そんなにたくさんの、あちこちの書店に足を運んでいるものなんでしょうか。そして、もう1つ素朴な疑問として、いったい誰にとって「金太郎飴書店」はダメだ、ということを言ってるんでしょうか。


ふつうの人がふつうの生活の範囲で利用する書店って、職場(または学校)の近くのお店と、自宅最寄り駅のお店ぐらいじゃないのかなあ。書店の品揃えの動向を云々できるほどに、あちこちの、少なくない数のお店に日常的に出入りするのって、書店営業を仕事にしている人か、ぼくのようなごく一部の本屋マニア的な物好きぐらいじゃないのかなあ。それに、こういう人たち(プロの書店営業や書店マニア)は、仕事柄や趣味柄、店頭をよく見ていて、品揃えや見せ方などの店ごとの違いにもめざといから、どれもこれも同じだなんて見方はしないし、そんな雑ぱくな言い方もとらえ方もしないと思うんですよね。


「金太郎飴書店」っていうけど、仮に、自分がふだん利用しないお隣駅の本屋さんと、自分がよく行くお店の品揃えが、(言うほど同じではないと思うけれど、それはさておき)同じだとして、それで何か、その人にとって不都合があるんでしょうか。自分の買い物をする店は、独自の店であってほしい、ってこと? よそのお店に同じものが置いてあったら困る、ってこと?


よくわかりません。


「金太郎飴書店」として批判されるとき、問題にされるのは、その店が置いているのがベストセラーばっかり、売れ筋ばかり置いている、ということなんですよね。そりゃそうでしょう。書店はそれで食べているんだから。売れるものは置く。置きたくても置けないことがあるぐらいで(配本とか、刷り部数とかの問題で)、基本的には、「ベストセラー」とか「売れ筋」は、そりゃあ置きますよね。『ONE PIECE』や『妖怪ウォッチ』のように、置いたら(相当高い確率で確実に)売れるとわかっているものは置くでしょう。それに、売れるというのはそれを求めている人(この場合は子どもたちとその親や中高生)がいるってことで、そりゃあ、この駅の周辺にもあの駅の近くにもそういう子たちはいるし、お隣駅の町にもいるでしょう。


「金太郎飴書店」批判の文章を読むたび、いったい「いい本屋さん」ってどんなお店のことなんだろう、と考えてしまいます。いまここで何か結論めいたものを言えるわけではないので、今回はここまでにしますが、この問題については引き続き考えていきたいし、機会があれば、もう少しちゃんとしたかたちで論をまとめたいなあとも思っています。


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コメント

金太郎飴書店…

どこでも同じものが買えるって実はとてもありがたいことだと思っています。でも、出版されている本の多さを考えても、どこも同じなんてありえなくて、同じ本を並べていても、見せ方が違えば全然違うのに!と思ったりもします。ベストセラーでもいい本はいい本だと思いますし。合う合わないはあるけれど、合わない=金太郎飴ではないんだよな…。

名古屋に行ったときに「本屋図鑑」を参考に「ちくさ正文館」に行ったのですが、ほんとにすてきな棚で、時間がなくじっくり見られなかったのですが、近くに欲しいと思う本屋さんでした。全国どこでも同じではないという証拠かなと思います。

いま図書館の「無料貸本屋」論にとても関心があります。研究とかではなくなんとなく意識をして本を選んで読んでいるだけなのですが…。それも同じく、答えがなくて、言われるとなんか悔しい(苦笑)。
長々とコメントすみません。

  • 2014/09/29(月) 10:47:32 |
  • URL |
  • のんのん #ihMNMLjo
  • [ 編集 ]

Re: 金太郎飴書店…

のんのんさん>
訪問&コメント、ありがとうございます。
コメントは短くても長くても、なんでも
大歓迎ですよ。

> どこでも同じものが買えるって実はとてもありがたいことだと思っています。
まったく同感です。

『本屋図鑑』を参考に本屋さんを訪ねてくださった
とのこと、ありがとうございます。あの本でも、
本屋さんの個性や違いを見せると同時に、
ジャンルのあり方などの共通点もきちんと
見せることを意識したつもりなんです。

> いま図書館の「無料貸本屋」論にとても関心があります。
難しい問題ですね。単純に是非は判断しづらい
問題です。ぼくも図書館のことは書店のありよう
と無縁ではないので、ブログで取り上げたり
イベントのテーマにしたりしたいとずっと
思ってるんですが、なかなか難しいです。

  • 2014/09/29(月) 22:32:55 |
  • URL |
  • 空犬太郎 #-
  • [ 編集 ]

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